番外編3

第188話 番外編3 準第四世代型歩兵拡張装甲スペック

I.E.A Infantry Expansion Armour 歩兵拡張装甲


サムラオウ(侍×益荒男×王)


形式番号   MSKー009

設計者    麻生・スカルノ・富士子

制作     設楽インダストリー歩兵拡張装甲開発部門

開発形態   準第四世代型試験機

全高     12.1メートル

重量     3トン

動力源    多積層型クアンタムバッテリー『バルトナイズX02』

最大作戦時間 30〜50時間

最高自走速度 主脚走行で60キロ ローラー走行で120キロオーバー

最高跳躍高  ジャンプユニット仕様時で30メートル

固定武装   サイド・リボルバー・クーロン・ハーケン前門×2 後門×2

       腕部スラッシュ・クーロン・ハーケン×2

       肩部アーマー・ブレードアンテナ×2

       腕部カナードブレード×2

       脚部テイルブレード×2

補助武装   姿勢制御用エアーブレーキ噴射口×12

       加速用プラズマジェット噴射口×1

       電磁バリア投射口×8

素材     アロン・ベリリウム軽量装甲

機体カラー  純白(ブランクカラー)

操縦補助AI OUKAーS9搭載(コールサイン桜花)

コックピット 第三世代型アクア・リキッド・クレイドル仕様

操縦者    マリア・スウ・ズムウォルト



1、仕様特徴

侍、益荒男、そして王と。

強きモノ、猛々しいモノ、尊きモノ。

それらをイメージした歩兵拡張装甲。

第三世代型I.E.Aを超える第四世代型トライアル機。


第三世代型のスペックを極限まで使いこなしていたマリア・スウ・ズムウォルトの搭乗のみを想定し、『秋葉原テロ災害』時のYFー23ブラック・ウィドウの戦闘データが反映された究極にして完全なる純国産歩兵拡張装甲。


アダム・スミスから齎されたI.E.A用軽量装甲の剛柔性と機動力を損なわないギリギリの体躯を実現したが、それでもF−22Aラプターよりも2メートル近い大型化となってしまった。



2、外観

零零式ベルキーバより倍近く、ラプターよりも高身長。

外見は鋭角的なデザインをしており、空気抵抗が少なかったベルキーバよりも攻撃的であり、ラプターにより近い。


機体静安性を打ち消す高重心設計であり、上半身はマッシブ、下半身はスマートという第三世代型I.E.Aの特徴は踏襲している。


また、大型で折りたたみ式、前後に回転・展開が可能だった大型の肩部アーマーは廃止された。


その代わりに換装された肩部アーマー・ブレードアンテナは、平刃の短剣型をしている。大型の肩部アーマーよりも遥かに取り回しがしやすく軽量であり、同時にこれは電磁フィールドの発生・収束装置になっている。


収束規模を任意に調整でき、大型の肩部アーマーと遜色ない大きさまで広げて、水平飛行を行ったりすることが可能。※詳しくは三次元機動の項目にて。



3、新動力源

グラン・エクストラ・テクノロジー株式会社(以下GX社)が独自開発した次世代型二次電池、多積層型クアンタム・バッテリー『バルトナイズX02』を使用しており、より大容量長時間の戦闘行動が可能となった。


『バルトナイズX02』はシート状の皮膜構造体であり充電層を有している。充電層の内部は金属酸化半導体が充填され、紫外線を照射することで光励起構造変化現象を誘発。金属酸化半導体のバンドギャップ(本来電子が存在できない領域)に新たなエネルギー準位を形成させ、その準位領域に電子を捕獲することで充電を可能とする。


薄くて軽量で安全性が高く長寿命であり、シートを積層することで容易に高電圧化が可能となる。肩部アーマーブレードの表面や、機体各部の面積が広い部位に最大1万2000枚が圧縮設置されており、基本的に野外で太陽光を浴びれば、フル稼働時でも1時間あたり、約15%のリバース充電が可能となる。



4、武装

全身凶器(リーサル・ウェポン)の異名を持つ機体であり、究極の近接戦闘仕様機。


大容量積層型クアンタム・バッテリーにより、YF−23ブラック・ウィドウを遥かに超える回数の電磁フィールド投射、電磁フィールド展開、電磁フィールド収束が可能。最大の特徴が電磁フィールドを機体各部に展開することで機体の堅牢性を瞬間的に向上させることができる。


特にこれまでは揚力獲得のためにしか使用できなかった肩部アーマーを小型化。『肩部アーマー・ブレードアンテナ』に換装することにより、電磁フィールドを収束・延長させることで攻防一体のブレードにすることが可能となった。


手首から肘にかけて取り付けられたカナード(前翼)ブレードにも電磁フィールドを纏わせ、翼としたり、ブレードとして切りつけたり、また盾として使用することもできる。


両膝脇の跳躍ユニット兼テイルブレードも大出力化しており、片方の出力だけでも3トンの機体を10メートル超持ち上げるだけのパワーを有する。



5、三次元機動

零零式ベルキーバ、YF−23ブラック・ウィドウ、F−22Aラプターを始めとした第三世代型の特徴だった、折りたたみ式の大型肩部アーマーが廃止され、腕部もラプターより一回り以上マッシブになり、可動領域が広がった。


これは後述する『サイド・リボルバー・リング』との干渉を考えたためであり、バッテリーの大容量化によって、大型肩部アーマーの代わりとなる『肩部アーマー・ブレードアンテナ』が開発されたためでもある。


肩部アーマー・ブレードアンテナは、旧式の大型肩部アーマーをマウントしていた部位に換装されている。その外見は大型肩部アーマーに比べれば小さく、スラッシュ・クーロン・ハーケンを一回り大きくした程度である。だが、強固な電磁フィールドを収束させることで大型肩部アーマーと同様に主翼としての役割を果たすと同時に、そのまま敵機へとアタック攻撃が可能となった。


今回さらに追加された最大の機構が『サイド・リボルバー・リング』である。

胴体と腕を繋ぐ肩口の間にはめられた円盤状のリングがそれであり、そのままハーケンの射出機構を有している。前方に2門。後方にも2門。それぞれ発射口から電磁フィールド投射口がついており、空中に射出展開した電磁フィールドに撃ち出したハーケンを固定し、超電導ウインチによって巻き上げ、機体を牽引することが可能。機体とハーケンとを繋ぐのは更に強靭になったハイコーネックス・ナノワイヤーVer.2である。


『サイド・リボルバー・リング』は最大で前後の砲門が上下60度の角度調節が可能であり、これによって今までは腕部射出口を任意の空間にポイントしてからの機体牽引しかできなかったのが、腕部がフリーの状態でかつノーモーションから、直上、直下への機体牽引が可能となった。


また、これまでと同様、手首袖下からクナイ型のスラッシュ・クーロン・ハーケンも射出可能。サイド・リボルバー・リングでは左右前後に取り付けたクーロン・ハーケンを直上、直下へ射出し機体を牽引。手首袖下からの射出は横方向への機体牽引と使い分けが有効。結果、移動と腕部による攻撃が同時にできるようになった。


大容量大出力になった多積層型クアンタムバッテリーの電力と、アロン・ベリリウム装甲の摩擦抵抗で発生した電力を蓄電し一気に放出する『加速用プラズマジェット噴射口』を背部に持つ。ただし一番の電力バカ食い機構なので頻繁には使えない。


機体の各所には強力なエアーコンプレッサー噴射口が左右胸部、左右腰部、左右脚部に取り付けられており、それが背面にも同様に付いている。これはあくまで姿勢制御を補助する目的であり、AI制御によってオートで作動する。



6,操縦と人工知能による補助機能

機体機構のすべてが純国産でありながら、コックピット周りだけは、YFー23ブラック・ウィドウと同じく、第三世代型のアクア・リキッド・クレイドルが使われている。ただしリミッター解除版であり、より高純度のアクア・リキッドをアクア・リキッドスーツに充填できるようになった。


サムラオウの破滅的な三次元機動に耐えるため、限界を越えた肉体行使が必要であり、そのためにはより身体能力を向上させなければならない。これまでは希釈率――アクア・ブラッドを1/100に希釈したものを純度100%のアクア・リキッドとしていた。つまりマリアは希釈率85%――1/85濃度のアクア・リキッドを使用していたことになる。サムラオウの三次元機動に耐えるためには、通常1/60〜50の希釈率が必要となる。


また、秋葉原テロ災害時に綾瀬川心深を洗脳し、命令をしていた技術、アクア・リキッドで超微細振動を発生させ、それを命令形脳波と誤認させて直接脳に指令を出す『アクア・リキッド・エコー』の技術を逆転。搭乗者の脳波をアクア・リキッドで素早くスキャニング、人工知能がそれを読み取り反映させることで、パイロットの操作を大幅に短縮・高速化することが可能となった。この間接思考制御技術はまだまだ研究段階だが、サムラオウには試験的に導入されている。それらを補助するAIが『OUKA−S9』、コールサイン『桜花』である。



7,補助OS

もともとOSによる操縦の補助は二、五世代から導入され、自衛隊の第二世代機にも追加導入されている。


人間の処理能力の限界を超える戦闘機動を想定して造られたサムラオウは、パイロットでは制御しきれない、あるいは戦闘に集中できるように、機体制御をOSが統合制御している。


ブラック・ウィドウは高度なアビオニクスと火器管制システム、さらに衛生とデータリンク機能も兼ね備えているが、OS桜花はスタンドアローンで局地戦を行うことを想定されて作られた。まだまだ改良の余地が多い技術であるといえる。

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