第5話 パチンコで勝つ方法(その1)

 日本で最も代表的なギャンブルと言えばパチンコでしょう。都会にも地方にも、駅前から幹線道路沿いまで、至るところにパチンコ店が乱立しています。その歴史は古く、1930年頃から日本にはパチンコ店が存在していました。海外に目を向ければ、グアム、ハワイ、台湾にもパチンコ店がありますが、日本で開発された中古台が使用されており、またその規模は日本とは比較にならないほど小さいです。過去には韓国にも多くのパチンコ店が存在していたようですが、「人間を駄目にする」という理由で2006年に法規制がなされ、ほぼ全廃されています。個人的には、これは懸命な判断だと思うのですが如何でしょうか?


 日本のパチンコ産業のピークは2005年で、年間売上は34兆8460億円でした。当時のパチンコ参加人口は1710万人であったとされています。最新のデータによれば、2017年の年間売上は19兆540億円で、参加人口は900万人となっています。少々乱暴ですが、パチンコ業界の規模はこの12年でほぼ半減したと言っても良さそうです。パチンコ産業が衰退した理由には、趣味の多様化、若者のパチンコ離れ、規制強化によるギャンブル性の低下、パチンコ依存症の社会問題化などがあげられます。昨今その規模は年々縮小しており、現在は最低水準にまで落ち込んでいると言われています。また、パチンコ店経営者の多くが朝鮮系であるというデータもあり、その一部が北朝鮮の資金源になっているという指摘もありますが、本稿ではこのことについては深く追求しません。あくまで、どうすればパチンコで勝てるのかという点にフォーカスしていきます。


 余談ですが、僕は知り合いのアメリカ人が来日した際にパチンコ店に連れて行くことがあります。どういう反応をするのか見たいからというのがその理由なのですが、パチンコ店の環境に5分以上耐えられたアメリカ人は今のところ一人もいません。タバコの匂いと、あまりの騒音に、皆が逃げ出すように店から出ていきます。一日中、時には10時間以上もパチンコを打ち続ける日本人がいると説明すると、口を揃えてクレイジーだと言うのが彼らの率直な感想です。


 それでは、パチンコとはどういったギャンブルなのかを解説していきましょう。


 パチンコと一口に言っても、いくつかのタイプが存在しますが、ここでは現在のパチンコホールにおいて9割以上の設置を占める「デジパチ」タイプのものを取り上げます。まずは入店してから大当たりを引いて換金するまでの一連の流れをおさらいしましょう。


①入店し、遊戯したい台を選んで着席

②千円、五千円、または一万円札を投入

③貸玉ボタンを押し、五百円分のパチンコ玉を購入する

④ハンドルを右回りにひねり玉を打ち出す

⑤台中央下部にあるヘソと呼ばれる穴に玉を入れる

⑥ヘソに玉が入ると大当たりの抽選を受けることができる

⑦大当たりを引くまでこれを繰り返す

⑧大当たりを引くと大当たりラウンドが始まりアタッカーと呼ばれる場所が開く

⑨アタッカーに玉を入れると玉がたくさん出てくる

⑩出てきた玉数は持ち球としてカードに記録される(持ち球での遊戯も可能)

⑪遊戯を終了し、カードを景品カウンターへ持っていく

⑫持ち球を景品と交換する(薄い金のプレートみたいなもの)

⑬パチンコ店を出て、近くにある景品買取所で換金する


 簡単に書いてしまうとこれだけです。一万円を使って、三万円分の持ち球を獲得することができれば二万円勝ち、ということになります。一方で、五万円使って一度も大当たりを引けないこともあります。


 ①~⑬まで項目別に列挙しましたが、重要なところを改めてピックアップしてそれぞれ解説していきます。


 ※細かく説明するときりがないので、エッセンスだけ抽出します。悪しからず。


 ①入店し、遊戯したい台を選んで着席


 パチンコ台はバラエティに富んでいて、様々な種類のものがあります。台ごとにスペック(仕様)が設定されていて、大当たり確率や、連荘(れんちゃん)継続率、大当たり時獲得出玉などがそれぞれ異なります。代表的な機種を例に挙げて、より詳しくみていきましょう。


【とあるパチンコ人気機種のスペック】

大当たり確率:1/319.6

確変突入率:55%

確変時大当たり確率:1/36.4

確変システム:次回大当たりまで

時短システム:通常大当たり後100回

賞球数:4&2&14&3

大当たりラウンド:2ラウンド(70発)、12ラウンド(1512発)、15ラウンド(1890発)

カウント:9

ボーダー:4.0円/20.3回転、3.57円/21.2回転、3.33円/21.8回転


 なんのこっちゃという人の為に解説していきます。まず、パチンコは「完全確率」抽選のギャンブルで、福引タイプの抽選とは違います。大当たりはヘソに玉が入るたびに抽選されますが、この機種ではそれが1/319.6という確率になります。「完全確率」なので320回抽選を受けたからと言って必ず大当たりを引き当てられるとは限りません。わずか10回の抽選で大当たりを引くこともあれば、1000回抽選を受けても大当たりを引かないこともあります。ちなみに、「完全確率」抽選のギャンブルはどんなときも、確率分母以内に当たりを引く確率は約67%です。サイコロを6回振って、1回以上1の目が出る確率と同じ。この機種に限って言うならば、320回の抽選を受けて大当たりを引く確率は約67%で、逆を言えば約33%は320回の抽選を受けても大当たりを引けないことになります。パチンコ店の釘調整や機種によっても異なりますが、一般的にパチンコは千円で15~20発くらいの玉がヘソに入るようになっています(千円あたりの回転数と言う)。仮にあなたが台に座って、その台が千円あたり18回転回ったとすれば、320回転回すまでに17,777円が必要となります(320 ÷ 18 x 1000円)。17,777円使えば、約67%の確率で大当たりを引けるということですね。

 

 確変とは「確率変動」の略です。この機種は、大当たり時の55%で確変に突入し(確変大当たりと言う)、以降は確変状態が継続する限り、大当たり確率は1/36.4にまで上昇します。基本的に確変中はどの機種も持ち球が減りにくいような仕組みになっていて、一度の抽選にかかるスピードも大幅にアップします。かつ、この状態は次に大当たりを引き当てるまで必ず継続します(次回の大当たりも約束されているということ)。つまり、確変は持ち球を大きく増やす為の爆発契機になっているのです。確変中に大当たりを引いて、もう一度55%の抽選をクリアすれば、更に確変状態を継続することができます。全てのパチンカーはこの確変を引き当てるためにパチンコを打っていると言っても過言ではないでしょう。先ほど17,777円を使えば……という話をしましたが、今度は確変を引き当てる確率を計算してみましょう。17,777円を使って確変を引き当てる確率は36.85%(67% x 55%)、更に続けてもう一度確変を引く確率は20.26%(36.85% x 55%)となります。この機種において、仮にそれが千円で18回転回る台だったとすれば、17,777円を使って320回転回せば、およそ5回に1回の確率(20.26%)で確変を2連荘させることができるという訳です。


では、大当たり時に55%の確変抽選に漏れてしまった場合はどうなるのか。言い換えれば、45%の方を引き当ててしまった場合はどうなるのかということです(これを通常大当たりと言う)。この場合は、時短という状態に突入します。時短とは「時間短縮」の略です。時短状態は確変と違って大当たり確率は上昇せず1/319.6のままなのですが、持ち球が減りにくく、抽選にかかるスピードがアップします。つまり、大当たり確率が上昇しない確変状態のようなものです。この機種のスペックでは、時短システムは通常大当たり後100回となっていますが、これは通常大当たり後の100回転のみに限り時短状態が継続するということを指します(確変と違って、次回大当たりまで継続しない)。通常大当たりを引いても、最初の100回転だけはお得な状態に突入しますよ、ということですね。


 賞球数というのは、ヘソやアタッカーに玉が入った場合、払い出されてくる玉の数のことを表します。ここではあまり気にしなくてOKですが、玉が一発入るごとに3玉や14玉が払い出されますよという意味で、持ち球が増える契機となる重要な数字ではあります。


 次に、大当たりラウンドとカウントについて説明します。大当たりを引き当てると、アタッカーと呼ばれるパチンコ盤面にある扉のような場所がパカパカと開きます。ここにまとめて玉を入れることで賞球を得ることができ、持ち球を増やすことができるというのがパチンコの大当たりの仕組みです。この機種では、大当たりラウンドは2ラウンド、12ラウンド、15ラウンドの三種類があって、ラウンド数が多いほど獲得できる出玉が多くなります。大当たり時にどのラウンド数が選ばれるかは、専用の振り分けテーブルに従って抽選されるようになっています(大当たり時の20%が2ラウンド、50%が12ラウンド、30%が15ラウンドのようなイメージ)。カウントが9というのは、1ラウンド中に玉を9発アタッカーに入れることができますよという意味です。アタッカーは1ラウンドごとに開閉を繰り返しますが、9発目が入った時点で一旦閉じるようになっています。この台では15ラウンド大当たり時の獲得出玉が1890発となっています。なぜこの出玉数になるのかちょっと計算してみましょう。


 1890発 = 15ラウンド x 9カウント x 賞球数14発


 上記の計算式で求められました。ここで大事なことは、本当は持ち球は1890発も増えないということです。打ち出してアタッカーに入らなかった無駄玉もありますし、そもそもアタッカーに玉を1発入れて、それが14発になって払い出される訳ですから、実質アタッカーに玉が入るごとに増える玉数は13発のはずです。実際は15ラウンドの大当たりを引いても、増えるのは1600発から、いいとこ1700発くらいではないでしょうか。特にパチンコ・パチスロ関連のギャンブルでは、このような大げさな表現や言い回し、時には明らかに嘘とわかるような公称データが出回ります。プレイヤーを煽って稼働を上げるの目的ですから、騙されないように注意しましょう。ちなみに、パチンコの玉は(地域や店によって違いますが)、一般的に1玉4円で店側から借りる仕組みになっています。この機種で15ラウンドの当たりを引いて1700発の持ち球を獲得したすれば、それは6800円相当の価値があると言えます(1700発 x 4円)。



 途中ですが、今回はここまで!!


 次回からはボーダーとはなにか、というところから解説していきますが、これはパチンコで勝つために最も重要で必要不可欠な概念です。


 いやあ~、それにしてもパチンコの仕組みの解説って時間がかかりますね。随分と端折っているのですが、正直こんなに大変だとは思っていませんでした。全然必勝法を説明していないじゃないか、と言われる読者の方もいっらしゃると思いますが、これからしっかりとやっていきますので。。。ちなみに、パチンコのあとはパチスロ、そのあとはカジノ編に移っていこうと考えています。これからも応援よろしくデス。

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