第2章

第47話 設備もスタッフもリニューアルです

「ではこんな感じでどうですか?」


「おぉ、中々にいい感じだ。テト殿の能力は素晴らしいな。ここが、俺の新たな城になるわけか。」

 

 僕は今、魔王ノルマーの為の新ダンジョンを建設中です。ノルマーの希望を聞きながら、20階層程度のダンジョンの作ります。

 まず初めにノルマー用の最深部から作り始めて、ようやく納得の行くデザインに仕上がりました。

 

「でもノルマーさんが話しやすい人で良かったですよ。魔王なんて、普通はこうやって話をするなんてありませんから。」

 

「テトラ殿との約束もありますからな、ダンジョンマスターであるテト殿は、俺にとってはテトラ殿と同様な存在。

 普通の人間とは思って接してはいませんよ。あと、俺への敬語は不要だと申したではないですか、テトラ殿の気に障らないようお願いしますよ。」

 

 ノルマーは僕が留守にしている間に、テトラに教育を受けていたらしい。それはもうトラウマになるほどだったとベスティさんが言うもんですから、怖くなって内容までは聞いていません。

 しかし、そのおかげでとても良く接してくれます。

 ただ、普通の人間と思って接して欲しいですけどね。まさしく一般人ですから。

  

「ごめんごめん。気をつけるよ。」

 

 女性ばかりになりそうだったダンジョンに、ノルマーが入ってくれたおかげで僕も気が楽になった。

 

 ですが、レイジアさんが丘での一件以来大変なんです。まさか結婚を申し込まれるとは思っても見なかったですから、僕はあの後何も返答出来ませんでした。

 困惑していた僕を気遣ってくれてか、レイジアさんは一旦話を保留にしてくれました。

 流石にいきなり過ぎましたし、僕もどうしていいのかわかりませんでした。やっぱりこう言うのって、お付き合いから始めなきゃいけませんよね?

 

 女性とお付き合いしたことなんて無いので、そう言う事はさっぱりです。

 ただ、アレからレイジアさんの僕への態度が一変してます。

 

「では、今日は一旦管理室に戻りましょうか。続きはまた明日からです。」

「承知した。」

 

 作りかけのダンジョンを後にして、僕はノルマーと管理室へ戻る。時刻はすでに夕方を迎えて、お腹が空く時間になっている。

 

「ただいまー。」

 

 扉を開けて中へ入ると、三人の女性が待っている。テトラにベスティさん、そしてレイジアさん。

 

「テトくぅ〜ん!私、夕飯作って待ってたんだよ!」

 

 これです。レイジアさんの僕へのアタックが止まらないんです。

 昨日の夜、どうしてもと言われたのでレイジアさんは一緒にダンジョンの管理室へとやってきました。

 流石に家の人が心配するだろうからと、ちゃんと話して来て貰いましたが、どうやらしばらく居候するみたいです。

 

 テトラと二人のんびり暮らしていたシンプルな管理室も、気付けば賑やかになったものです。

 

「ありがとうございます。」

 

 レイジアさんの押しが強過ぎて、すこしたじろいでしまいます。

 ただ、朝もお昼もレイジアさんの手料理を食べましたけど、すごく美味しいんですよね。

 あれだけおっちょこちょいな一面を見ましたから、すごい料理が出てくると思ったんですが、意外な才能でした。

 

「みんなでご飯にしましょう!」

 

 人も増えたので、テーブルを作ってみました。あまり美的センスはないので、シンプルな四角形です。

 椅子もついでに作って、今は管理室に食卓があります。

 

「では、いただきます!」

 

 あ〜むっ!美味しいです!

 食材も今までと違ってちゃんと市場で買ってきた物なので、健康だしお肉も入ってます。

 

『パンパカパーン!』

 

「え?」

「何!?」

「「お?」」

「来店ね。」

 

 せっかくのご飯なのに、まさか来客が来るなんて……。訪問を告げる音にレイジアさんは何事かと驚いています。

 ベスティさんとノルマーは期待をしていたかの様な反応。流石にテトラは落ち着いています。

 ご飯を食べたいですが、せっかくなので見ていたいですし……。

 

 あ、そうだ。

 

「クリエイト!」

 

「何を作る……なるほどね。」


 テトラは途中で言葉を止めて、僕のする事に納得してしてくれました。モニターをもう一つ作ったんです。

 あまり場所を取るのもなんなので、そこまで大きくはないですが、これなら食事をしながらでも楽しめます。

 

「食べながらとは、なかなか贅沢だな。」

「うむ。」


 ベスティさんとノルマーも新しいモニターに満足しているようです。

 

「へー、こういう風に見えるのね。テトくん、私の事もこうやって見てたの?」

「そうですね。」

 

「テトくん、女の子を覗き見なんて、ダメだよ?」

「…………はい。」

 

 そうですね、知られなければなんて事無いですけど、自分がこうやって監視されてると思えば嫌ですよね。

 

 レイジアさんには悪かったと思いますが、これが楽しいんですから仕方ないです。

 きっとレイジアさんもモニタリングの楽しみをわかってくれると思います。

 さて、今回やって来た方々は……。

 

 おや?なんだか見覚えのある方々ですね。今日はもう夜だというのに、こんな時間からご来店ですか。


「再びのご来店、ありがとうございます!」

 

 さて、今度は何階層まで行ってくれるんでしょう?

 実はここ数日で、変わったのは管理室の中だけじゃありませんよ?階層も少しリニューアルしてます。お楽しみ頂けると幸いです!

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