第11話 ただ今猛省しております
騎士団ご一行はストーンタートルの横を素通りして、さらに奥の階層へと進んでいきます。
素材とらないんですね。僕ぼろ儲けです!
「素材、あとでいただきます!」
と、言ったところでふと思いました。
僕が行く前に誰かに取られたらどうしよう?僕、ただのピエロになっちゃいますよ?
ん〜。どうしたものか。
取りに行きたいけど、急に誰か戻ってきたりしたらどうしよう。
見られるのはちょっと避けたいですよね。
「どうしたのだ?」
腕を組んで悩んでいると、テトラが声をかけてくれました。
テトラはいつも僕の事を気遣ってくれます。本当に嬉しいですね。
「ストーンタートルの素材を取りに行きたいんだけど、見つからずに取りに行けるかなぁって思って。誰かに取られたくもないですし。」
どうしましょう?
「それなら、それ用の部屋を作って、そこにストーンタートルを落とせばいいのではないか?無理なのか?」
「何言ってるんですか、ダンジョン内ならどこでも扉は作れるけど、そんなことしたら僕が石になって・・・。
ならないね!だって倒れてるもんね!?」
テトラ天才ですか!?
それなら簡単に回収出来るじゃないですか。誰かが来る前にストーンタートルだけ回収して、すぐに扉を閉めれば完璧です!!
「お前は頭が回るのか、そうでもないのかよくわからん奴だな。」
あ、もしかして呆れてます?
僕だって限度ってのがあるんですよ。そもそも、僕は頭が悪いですから!
「一言多いよぉ。とりあえず、それやってみるね。」
直ぐにとなりに大きめの部屋を作り、モニターで誰もいない事を確認してからストーンタートルを部屋へと落とした。
ドスンと音を立てて作った部屋へと落ちてくる。
間近でみると、とてつもなく大きいですよね。一昨日はおっかないから直視しなかったので、こんなに近づくのは初めてです。
ストーンタートルを回収した後すぐ、扉を閉じて僕のミッションは完了しました。
とりあえず、早くモニターに戻って続きを楽しもう!
管理室へと戻ってテトラの横に座り込むと、テトラが眉を寄せて微妙な表情でモニターを覗き込んでいる。
何かあったのかな?
僕もモニターを覗いてみると、騎士団は六階層のトラップに手こずっているようでした。
「テトよ、あれは何処で手に入れたのだ?」
アレっていうと、騎士団に絡みついているあのトラップの事ですかね?
「あのトラップも、テトラの住んでいた山の中腹にあったので、まるごとダンジョンに取り入れました!
密林みたいになって面白そうだったので。」
それは大きな蔦の海でした。
近づくとウネウネと動き出したので、何かされる前に丸ごとダンジョンに放り込んでやったんです。
入り口のサイズがかなり大きく作れたので助かりました。
でも、あんなに一杯ダンジョンに入れたつもりはなかったんですけど。
あれも増殖したんですかね?
「お前は、天然で恐ろしいな。
あれはヘルダイバーという植物の魔物だ。繁殖力が強く、本体は地中にいるため大規模な炎で焼きつくさない限り倒すことは不可能だぞ?
斬撃程度では蔦はすぐに再生してしまうし、あの騎士団の実力では突破は不可能だ。
下手をするとここで全員喰われかねんな。」
なんておっかない植物ですか!?
ただの嫌がらせ程度にしか思ってなかったんですけど、とんだ大失敗です!!
皆さん、無事に脱出してください!
騎士団は、それぞれの足下に絡みつく蔦を切り裂きながら後退を始めた。
もともと生息数の少ない魔物のため、騎士団の指揮者もその存在を認識していなかった。
ただの蔦の海だと思い込み、安易に前進したのが今回の過ちであった。
幸い、魔導師による炎魔法で蔦の勢いは弱まり、全員が生存を果たした。
苦渋の決断により、これ以上のダンジョン探索は不可能と判断されて騎士団は入り口へと引き返した。
あぁ、なんて事ですか。
せっかく新たなステージが大公開となるはずご、一つしか公開出来ませんでした。
「ごめんね、僕本当に知識がなくて・・・。テトラをもっと楽しませてあげたいけど、なかなか次へ進まないね。」
ただ今猛省しております。
少女なテトラの笑顔を見たいです。
こんな眉を寄せた微妙な顔は、嫌です!
「ま、まぁ。この情報を元に次は新たな客が先に進むやもしれん。
そう悲観する事もあるまい。
だが、我を楽しませてくれようとするその心は、本当にありがたく思うぞ。」
僕を励まして、テトラは優しく笑ってくれました。
この笑顔を、僕の手で作ってあげたいです。ドラゴンだとか、そういうのはあんまり気にならなくなってきました。
テトラは心も最高に綺麗なんですから。
次は、もっと熟練者を期待致します!
テトラをもっと楽しませてあげて下さい!!
でも、自分でできない事を他人に任せるのはどうかと思うので、死なないようにだけ頑張って欲しいです。
あ、早速騎士団ご一行様がストーンタートルが消えたことに不信感を抱き始めてます。
しかし、これからは倒れた魔物を回収していこうと思うので、お客様もそのうち慣れてくれるはず。
ここはそういうダンジョンなんだ、と。
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