第13話戦艦ノア

揺れる地面に困惑しながら、ミカは守の腕を掴む。抱きつき、離れない。

赤毛を揺らし、ユマは武蔵に飛びつく。

どうにか体勢をたもちつつ、彼らは地面が避けるのを見た。

軽くきしむ機械音をならし、四角い穴が出現する。

「さあ、こちらです‼️」

ミリアが轟音の中、叫び声に近い音量で言い、守の手をつかみ、駆け出す。

手を掴むミリアの顔をむすっとした表情をし、ミカはさらに腕にしがみつきく。

五人は突如出現した穴に転がるようにして、飛び込む。

彼らが穴に飲み込まれた次の瞬間、穴は閉じてしまった。

それは重い重い鉄の扉であった。


背中と腰と尻に冷たく硬い感触を覚えながら、守は滑り落ちていく。

長い長い鉄の道を滑走する。

「な、な、な、なんなのだ‼️」

鼓膜がいたくなるほどの大声でユマが悲鳴をあげる。

「姫さん、舌をかんじまうぜ」

小柄なユマの体を抱きしめ、武蔵は言う。

「もうかんだのだ。痛い、痛いよー」

涙を流し、ユマは言った。

おおよそ30を数える時間、滑り落ちた後、彼らは広い空間にたどり着いた。


最初そこは暗闇であった。

パッパッパと次々と白い光が点灯する。

その人工的な光は眩しく、目がなれるのに少し時間がかかった。

多くの機器類がならび、正面には巨大なモニターが鎮座する。中央に大航海時代に使われたような木製の舵が自慢げに立っていた。

そして、その手前に六本の爪を持つ台座が存在していた。


つかつかと靴音をならし、その台座に近づき、ミリアはクリスタルを置いた。

クリスタルはさらに光を増し、周囲を照らす。

揺れ動く白銀と真紅の美しい輝きを守は見た。

六本の爪の内二本が同じ色に染まっていく。


ミリアは勢いよくローブを脱ぎ、投げ捨てる。

その下は純白の軍服姿であった。詰襟のデザインで手には軍帽を持っている。その軍帽を頭に乗せ、深くかぶる。

力強く舵を握り、

「セラフドライブ起動‼️‼️」

楽しそうに彼女は叫んだ。

モニター画面に光がともり、計器類と機械たちが稼働する。

「なんだこれは」

何度も瞬きし、武蔵はきいた。

「ここは方舟級恒星間航行機動戦艦シューティングスター・ノアの艦橋よ。王家に伝わる技術をシルバードワーフ族が復活させ、建造したの。どんなにこの瞬間をまちわびたことか……」

涙ながらにミリアは言った。

ぐいっと手の甲で涙をふきとる。

「ありがとう、王女様方、星騎士のお二人」

そして、再び笑みを浮かべる。


心地よい浮遊感が彼らをつつむ。

メインモニターには夜空が映し出される。

闇夜のなか星の光がきらめく。

その景色は美しい絵画をみるようであった。

「さあ、まずはシリウスとベガを回収しましょう」

そう言い、ミリアは勢いよく舵をまわした。


まずバイクとバギーを回収し、続き森林地帯の星騎士二機を機内の格納庫に収納させる。


「敵影発見、敵影発見」

コンピューターの人工的な音声が艦橋内になり響いた。







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