第10話潜入

朝日の光を受け、二体の星騎士が空を飛行すする。

銀色にきらきらと光輝くのがシリウスで、太陽と同じ色の真紅の機体がベガであった。腹部に二対のキャノンを装備している。人型モードに変形したとき、それは両肩に装備される。

ベガは火力メインの機体であった。

装甲も厚く、防御力は高いが、機動性はシリウスよりもかなり劣る。

そのため、シリウスはベガのスピードにあわせて飛行せざるおえなかった。


王都を出発し、時々休息をはさみながら、半日後に工業都市ブルームの数十キロ手前に到着した。

そこは緑深い森であった。

森林地帯に二体の星騎士を隠す。

さすがに星騎士そのままでブルームに飛来するわけにはいかない。

「しかし、ここからでもまだかなりの距離があるな」

守がきくと、

「そこはまかせて」

楽しそうにミカは言うと、コクピット内のレバーを引いた。

コクピット部分が星騎士の機外に排出され、瞬時にバイクに変形した。

空中に放り出されたミカは守をキャチし、着地する。

素晴らしい身体能力だ。

「こっちの操縦は私にまかせて」

そう言い、彼女はバイクにまたがる。守は言われるがままに、後部シートにまたがる。

ベガのコクピット部分も排出され、こちらはバギーに変形していた。

武蔵はユマを抱きかかえ、着地する。

バギーのハンドルを握るのはユマだった。


風を切り、バイクは大地を疾走する。

「しっかりつかまって‼️」

楽しそうにミカは言う。

いい笑顔だ。

ごくごく単純に守はその笑顔をまもりたいと思った。

細い腰に手をまわすと、軍服ごしに肌の温もりを感じた。

頬を撫でる金色の髪は甘い香りがした。

こちらの世界にきてまだ間もないが、ミカはことあるごとに触れ、さわり、くっつきたがる。

美少女の体温を感じることに抵抗など微塵もないが、むしろ喜ばしいのだが、何故だろうと思う。

ユマにしてもほとんど武蔵に抱きついている。これには好意いがいの意味があるのだろうか……。


バイクを走らせること二時間ほど、視界に無数の煙突をようする都市が視界に入ってきた。

白煙がたちこめ、気のせいか鉄の匂いがする。

赤茶けた街であった。

ガンガンと機械の稼働音が街中に響いている。

「街の南の端に今は使われていない下水路がある。そこから街の中に侵入できる」

守は言った。


下水路の中の臭いはひどく、ユマは臭い臭いと道中ずっと文句を言っていた。口数の多い武蔵もだまったままであった。

ミカは軍服の袖で口と鼻を多い、守のすぐ後ろを静かに歩いた。

迷路のような下水路を守は迷うことなく進んでいく。

小一時間ほど歩くと人ひとりはいれるほどの登り口をみつけた。鉄の足かけに足と手をかけ、彼らは上っていく。

マンホールの蓋を開け、外にでた。

大きく深呼吸したユマだったが、工場からの排ガスがまじっていたので、むせかえって、涙を流していた。

「来たな……」

彼らに声をかけるのは、シルバードワーフ族のミリアであった。






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