第4話エンディングの先に
魔王ルシファーが口を大きく開けた。
口腔内に光の塊がみえる。
光は次第に大きさをます。
ついには口から吐き出されようとした。
「エネルギー反応よ。避けて‼️」
ミカが慌てて警告する。
操縦桿を目一杯ひき、機体を急速上昇させる。
ルシファーの口から放たれたエネルギーの粒子はシリウスの機体をわずかにかすめ、放出された。
機体が大きく揺れる。
内臓がゆさぶられ、ほんの少し、気分が悪くなる。
「エネルギーシールド能力40パーセントまで低下。右足部分損傷。機動力は80パーセントまで低下」
ミカが被害報告をする。
「かすり傷の範囲だな」
「そうね、マモル気をつけて、次くるわよ」
魔王ルシファーがその口を再びひらく。
体内からエネルギーを集めているのだろう。他の体の部位がぼろぼろと崩れ落ちる。左腕が落ち、宇宙の藻屑へと消えていく。美しく輝いてい羽が、かすみ、その光が薄れていく。
魔王にとっても捨て身に近い攻撃のようだ。
「だが、そうはさせない」
そういうとマモルはあえてシリウスをルシファーの方向に機首をむけ、突撃を開始した。
ひとつのかけに出る。
魔王ルシファーがエネルギーを放出する寸前に今出せる最高速度で飛行し、残りの追尾ミサイル全弾を発射した。
急速旋回し、ルシファーの額に鎮座するダイヤモンドめがけて、グラディウスを投擲する。
続けざま、シリウスを反転させ、空域を離脱する。
シリウスの後方でルシファーの口に集まったエネルギーがミサイルによって内部で誘発を繰り返し、巨大な堕天使は崩れ去っていく。
ダイヤモンドを砕かれた堕天使は完全に停止し、その美しき輝きが一切なくなり、ただの残骸へと姿をかえた。
爆発に巻き込まれないよう、さらにシリウスを加速させ、戦場空域から離脱する。
「congratulationマモル。おめでとう、ついにルシファーを撃破したわね」
明るく、本当に嬉しそうなミカの声。
「ああ、ありがとう」
祝福の声にそう答える。
彼の心は言い様のない達成感と満足感に包まれていた。
そして、ほんの少しだけ寂しかった。
もうこのゲームでの目標がなくなってしまったな。
そう思った瞬間、守の体は光りに包まれた。
視神経がやけ切れるのではないかというほどの眩しさだ。
60を数えるほどの時間が過ぎたのち、彼はどうにか瞼を開けることができた。
痛む目をこすり、やがて視界に入ったのは金色の髪をした美貌の少女であった。
「おめでとう、マモル」
彼女の形のよい、赤い唇から発せられた声はサポートAIのミカとまったく同じものであった。
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