第10話 laughing story...笑ってみた物語
ミオリは、足が1本失った代わりに浮遊の能力を手に入れた。
そして俺は、鋼の能力でミオリに義足を作った。
この後は、拠点を探しそこで1晩を過ごした。
翌日、目が覚めるとミオリが起きていた。
「おい。気分はどうだ?」軽く俺は、話かけた。
「えぇ。元気よ。」ミオリは俺に目を合わせずに言った。
「...。」俺は、下唇を噛んだ。
「なぁ、俺らちゃんと元の世界に戻れるよな....。」
「.........。えぇ。きっと大丈夫よ。」
ミオリの言葉には、一瞬沈黙の間があった。
気にしたが、あえてそこを追求する気は無かった。
「よし!今日はお前、大活躍な日だな!頑張れよ!」俺は、ぎこちない空気を吹っ飛ばす様に前向きな言葉をミオリにやった。
ミオリは、返答をしなかったがその行動を示す様に見えた。
しばらくしたら、残りの2人が起きてとうとう行動の時間だ。
「じゃあ、宜しく!!ミオリ。」
「分かったわ。」
みんなは、彼女に捕まった。
ミオリ中心に空を飛んでいる。
空中は風圧が凄くまともに前が向けない状態だった。
でも、空中に居る間はあっという間だと感じる程早かった。
周りに、見覚えのある建物が沢山あった。
「ここが....東京か....。」
目の前には、黒く見慣れない高層ビルの様な物が建っていた。
あれが本部で間違い無いだろう。
ここからは、浮遊や転移などの行動系の能力が使えない。
俺の知ってる東京は、もう少し新しく人が賑わっていて空も綺麗に見えた。
今見えている、"トウキョー"は、その正反対で殺風景に感じた。
つまり、一言で言えば終わっている。
俺が連れ去られたあとどうなったか、俺は悟った。
「東京はなァ...。エリート組が集まるところだァ...。だからここはお前らに勝てる事なんてねぇかも知らねぇ....。俺に任せなァ....。」
「分かった...ボクは、ちょっと避難するね。」
特に、俺とヒカリが下がっていないと死んでしまうかもしれない。
しばらく歩いていて俺は、とにかく息切れがすごかった。
俺は、うっかり地面に埋まっていた石につまづき倒れ込んでしまった。
体が全く、動く気配が無かった。
「おい...!大丈夫かァ...?ヒドイ息切れだぞォ...。」
ミオリは、何かに気づいたらしく俺の腕を見た。
9.8.6.4....。
「ねぇ....。これをなんで黙っていたの?」
「.........。」俺は、息切れをしながらその質問に答えられなかった。
「この単位じゃ....残り時間数分程度しか生きられないわよ.....。」
「ちくしょォ.........。どうすれば、良いのかァ....。」
「嫌だ....。ボク....また仲間が死ぬのは見たくない.........。」
ヒカリは、泣きながら言った。
ミオリは、何も言わずに俺を担ぎ2人と別の場所まで離れた。
その2人は、止めようと声をかけていたがミオリはそっちを向かずに去った。
俺たちは、木陰の多いとこに止まった。
「おい..........どうしたんだ.........?」
前を見ると、ミオリの顔から雫がたれた。
「タカシマ.........。今まで、ホントは好きだったわ.........。」
え.........?
そう心の中で呟いた。状況が理解出来なかった。
「私を.........殺して....。そうすれば、あなたは昇格出来るわ....。」
この言葉、会ってから2回聞く。
ミオリは、ナイフを作り出した。
そして、俺の手に握りさせた。
ミオリはそのまま俺の手ごと持ち、ナイフを彼女の胸に突き出した。
「約束は、守れなかったけど.........。私の分まで生きて帰って....。ありがとう........タカシマ.........。」
私の本名は、
神崎 澪梨。
言い残す言葉と同時に、ナイフが彼女の胸を貫く音が響いた。
俺は生き延び、苦しみがなくなった。
順位を見ると、
腕に、2346という数字が刻まれていた。
俺は、泣くのを我慢し
「なんだ.........。やっぱ、お前も無理してたんじゃねぇか.........。」
と1人で笑って見せた。
誰も居ないのに、彼女が居るように思えた。
to be continued....
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