第5-1話 対策会議は…
「魔法少女のはずなのに…何か変だよね」
金髪、小悪魔系尻尾と翼の姿をした りんり は、自室にある全身鏡を見ながら、疑問を口にした。
「正確に言えば、変身しているのは人間の方だからな」
隣のリビングで紅茶の香りを楽しんで一口飲んでから、針田は魔法少女の指摘する。
「一般的な『魔法少女』は、人間が持つピュアなエネルギーを魔力に変えて、悪と戦う。りんりの場合は逆だろ」
針田の言葉を補足すると、りんりは、魔族から人間に変身している。
『魔法少女りんり』は、変身魔法を解除した元の姿でバトルしているのだ。
「それって魔法少女と呼べないんじゃない?」
「魔法を使う少女だから、間違いはないだろう。それとも『魔法少女風りんり 』にするか」
「魔法を使う少女で良いよ」
「そう言う事にしておこう」
針田は紅茶を飲んでから掛け時計を見上げた。
「それはそうと、いい加減、パジャマから着替えてくれ。天気が良いから布団を干すぞ」
「日曜日ぐらいゆっくりさせてよ。針田、お母さんみたいだよ」
「保護責任者だからな。
ついでに魔法少女の監督として言わせて貰うならば、3戦目でセリフ言ってないだろ。4戦目は4戦目で…」
「さてと、そろそろ着替えようかな」
小言回避するため、りんりは和室とリビングの仕切りとなるふすまを閉めた。
「静馬が来る前に洗濯物を出しておいてくれ」
「え? 静馬が来るの?」
りんりは閉めたばかりのふすまを開け、顔だけ出す。
「今後の対策を練らないとな。それに静馬は魔法の基本を全く知らない。俺の指示なしでも動けるようにならないと」
「それは良いんだけれども…聖菜、来ないよね」
りんりは甦ってくる恐怖の記憶に、慌てて窓に駆けより、おそるおそる巨乳娘の姿はないか確認する。
「静馬には連れて来ないように念を押している。もちろん、尾行される事のないように注意もした。
それが無理なら、こっちに来ないで、ラインでミーティングに切り替える」
「ライン?」
「会話式メール。魔界でいう『ヤイン』みたいなものだ」
ふすま近くに戻ってきたりんりは、針田のスマホを見つめる。
人間世界のと変わらないが、一つ違いがあるならば、画面下にある人間世界のスマホなら契約している通信会社名のロゴ部分が魔界の文字になっている位だろう。
「……。針田のスマホ魔界用だよね。人間世界のアプリをダウンロードして使えるの?」
「情報を司る、うちの上司の特別な力ならば、何でも可能だ」
「納得」
りんりは針田の上司を思い出しうなづいた所で、針田のスマホがラインの受信を告げた。
「静馬だ。聖菜が家の前で張り込んでいるから、外に出られないようだ」
「聖菜…騒動の後だから、静馬がこっちに来るだろうと読んでいたんだね」
「ん、友達登録していると、通話が無料になるのか」
「ヤインと一緒だ」
「一文字ずつ打ち込むより、早く進むな……ふむ」
針田は何か閃いた。
「通話のみで進めるならば
『魔界、魔法電話相談室 風』にするか」
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