読書感想〉
鷲見恵
ウンガロ・ラガッツィ
出口治明さんがとても面白かったというので読んでいます。
毎日ちびちび読んで、いまようやく文庫本の上巻後半くらい。
天正少年使節の話ですが、上巻では少年たちそのものはまだそんなに
出てきていません。当時の日本の情勢や、キリシタン大名から仏教との覇権争い、ヨーロッパの情勢や宣教師達に紙面が割かれています。著者の若桑みどりさんは芸大出でイタリアにも長く住んでいたそうで、淡々とでも読者もイメージしやすい言葉やたとえ、若桑さんのユーモアの効いたコメントを用いながら情景を描き出しています。
個人的にあ、なるほどと思ったのは、確か遠藤周作の「沈黙」でヴァリニャーノが安土にのセミナオリオで聖歌が歌われ、宣教師達は絹を着るべきか木綿(麻だったかな?)を着るべきか真剣に討議した、いま思えばなんと贅沢な事よと回想する場面があったと記憶しているのですが、ここでは日本人の特性からそれを説明していることです。ここでは、日本人は着るもので相手を判断する、立派な人だと思われなければ話も聞いてもらえない、そのために絹を着るというものでした(ちなみに大名に会いに行く時には徒歩ではいけない、必ず輿に乗り供の者も何人か連れて行かないと会うに値しないと思われる、というのもあったそうです)。普通に布教のための戦略でした。
文学的には遠藤周作の方が良いのかもしれませんが(若桑さんのは時々、読みにくいところもある)、こちらの説明の方が論理的で腑に落ちました。
また、信長のキリシタンへの援助も相当の計算が働いていたことが論理的に説明されています。これはたまらん、面白いですわ♪ってときめきましたよ。
まだ下巻がひかえています。
そろそろ少年使節達が登場しますかしら・・・?
楽しみです。
いまでは考えられない旅、肉体的にも精神的にも、かなりの負荷をかけられた少年達はどうなっていくのでしょうか。
読書感想〉 鷲見恵 @akkari0902
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