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 警察署が爆破されたということは、走りながらインターネットで調べて知った。

 途中で、警察署に行った精密女に連絡を入れてみたが、なんの返事もなかった。ますます心配だけが、望まない雪のように積もっていく。とにかく走るしかない。駅まではそう遠くないはず……

 茅島さんと八頭司は私よりも遥かに足が速かった。置いていかれそうになりながら、私は必死で足を動かした。苦しかったけど、自分を呪い殺す勢いで耐えた。

 繁華街をくぐり抜けようとした時、遠くの方で茅島さんたちが立ち止まっているのが見えた。

 疲れたのだろうか、と思って駆け寄ると、歩道に立ちふさがる人間がいた。

 見た目はどう見てもホームレス。川辺で会った人とは別人だったけれど、どう見ても私達に用があるみたいだった。

「お前ら、茅島ふくみと加賀谷彩佳か?」

 ホームレスにそう問われる。なぜ私達のこと……

 茅島さんは、睨みつけながら、口を開く。

「違うわ」

「嘘だ、写真がある。お前たちに間違いない……」彼は指を向ける。「悪いが、大人しく着いてきてくれ……」

「なんでだよ、嫌だよ」八頭司がきっぱりと告げる。「ふくみ、彩佳、行こう。相手にしてられない」

「待て! 頼むから俺の言うことを聞いてくれ……」

 ホームレスが、すがるように、懐から取り出した包丁を私達に向けた。刃先が光っていて、新品のように輝いている。それが右手に握られていて、左手は川辺で話してくれたおじさんのように、模造品の機械腕になっていた。

 何かを焦っている、その態度。

「悪いようにはしない」

「そんな人が刃物を向けるとは思えないけど?」

「いいから黙れ! 時間がないんだ……!」

「何の時間よ」

「言えん」

 茅島ふくみの腕を掴もうとするホームレス。

 だけど彼女はするりと抜けて、彼を突き飛ばした。建物の壁にぶつかって、体制を崩した。

 それが逆鱗に触れたらしい。

「お前ら…………ふざけんじゃねえぞ! こっちは必死なんだよお前らごときに苦労させられてよ! 良いから黙って来いよ!」

 立ち上がって、包丁を振り回し始めた。

 観衆が、悲鳴を上げて彼から一瞬で遠ざかった。

「ちょっと……」

 茅島さんは、足を引いて、距離を取る。

「落ち着きなさいよ」

「うるせえ!」

 包丁に体重を乗せて突っ込んできた。

 それを水みたいに彼女は避ける。だけど足場が悪く、躓きそうになって、飛んで体を立て直した。

 観衆の方に突撃して、ホームレスは地面に転がった。怪我人は出なかったようだが、走って逃げていく人が大勢いた。

「許さねえ…………許さねえぞ…………お前たちのせいだからな…………」

 危険だ。

 このままでは、怪我人が出る……

 大通りの真ん中のほうで、二人は向き合っている。

 茅島さんの方を見ると、明らかに息が上がっている。走ってきた後にこれだ。

「八頭司さん、どうしよう……茅島さんが……」

 路地の方に隠れながら、私は彼女に話しかけた。心配が溢れ出して止まらなくなった。

「うん……いくらふくみだって、このままじゃ刺される。なんとかしよう……なんとかしなきゃ……」

「どうするんだよ!」

「待ってよ考えてるから!」

「八頭司さん喧嘩は強くないの?」

「強いわけないよ! こういう護身術に関しては、ふくみが一番成績良かったよ! でも所詮護身術だから…………」

 本気の格闘になったら、基本的に勝ち目はない。茅島ふくみ本人が、そう言っていた。

 どうしよう……どうしたら……

「よう。こんなところで何してる?」

 不意に、人間の顔が、路地を覗き込むようにして、顔を覗かせた。

「く……久喜宮さん!?」

 私は叫んだ。本当にびっくりした。

「な、何やってるんですか!」

 八頭司が狼狽えながらそう尋ねると、久喜宮は怪訝そうに言う。

「何やってるもないだろ。仕事だよ。ずーっと仕事。君たちこそ、こんなところに隠れて何してる? あとあれは何だ?」

 久喜宮は茅島さんの方を指さした。振り回される刃物をずっと避け続けている彼女。

「あの人、急に絡んできて、危ないって思ったからここに隠れたんだよ! 助けてよ刑事さん! あいつ、私達を何処かへ連れて行こうとしたんだ! このままじゃ、ふくみが危ないよ……」

「ふうん……そうか。なるほどな。よし、じゃあ俺に任せろ」

 深刻そうな態度を少しも見せないまま、久喜宮は、私達に背中を向けて、懐をまさぐった。

 出てきたのは、拳銃だった。

 黒光りする外観の中に、人を問答無用で殺すことが出来るシステムを組み込まれたその威圧感を、私は初めて見た。

「現場捜査より得意なんだよ、こっちの方がな。ちょっとここで待ってろ。本庄谷を呼ぶ。あいつの指示に従ってくれ」

 端末で連絡をとった後、久喜宮は拳銃を掲げたまま、人を掻き分けて、茅島さんの方へ向かった。

 茅島さんも彼に気づいた。

「久喜宮刑事!?」

「俺の住処で勝手されちゃ困るんだよな……」

 拳銃を、まっすぐにホームレスに向ける。

「大人しく包丁を降ろせ。俺は真っ当な警察官じゃないから、引き金は馬鹿みたいに軽いぞ」

「お前…………畜生……舐めやがって……」

 ホームレスは包丁を構えたまま微動だにしなかった。

「お嬢さんは早く逃げな。本庄谷に誘導を頼んである」

「あの…………久喜宮刑事……警察署は」

「確かに爆破されたよ。だから、俺に代わりに見てきてくれ」

 茅島さんは頷いて、私の方へ走ってきた。

 息を切らせながら、彼女は私に尋ねた。

「彩佳……大丈夫?」

「はい……茅島さんこそ、怪我はないですか……?」

「ええ…………ちょっと、疲れただけ……」

 そこへ、呼ばれたであろう本庄谷が、思いっきり不本意そうな顔をしてやって来る。

 軽く会釈をしても、返事はなく、睨むように久喜宮の方を眺めた後、ため息を吐きながら私達をついでのように見やった。

「……俺が地下鉄に誘導する。そのまま警察署へ連れて行くよう、久喜宮のバカに頼まれている。土堀のことは、先輩も気になっていた」

 ずっと考えていたようなセリフをたどたどしく言う彼が、少しだけ面白かった。

「すみません」茅島さんは頭を下げた。

「いや…………良い。どうでもいい。お前たちと深い関係を持ちたくないんだ。さっさと行くぞ」

 彼は路地裏を突っ切って先頭を歩き始めた。

 その時彼の呟く声が、私の耳に届く。

「死ぬんじゃねえぞ……久喜宮……」

 心配をするような声色でもなく、ただ獲物を逃した時のような調子で、その言葉は吐かれていた。



      インタールード1



「さて、重荷がいなくなったわけだが」

 拳銃を向けた腕を微動だにさせず、久喜宮はそんな他愛もない話をする時の口調で、相手に話しかける。

 その相手とは、包丁を片手で大事そうに掴んだままこちらに向けている、一見ホームレス風の男。包丁の無い方の手は、ハリボテで作られたように、微動だにしない機械腕。模造品、代替品と呼ばれる事が多々ある。

「お前、何が目的だよ」

「なんてことを………………なんてことしやがるんだよお前……!」

 やんわりと尋ねただけだったのだが、彼は気に入らなかったらしい。

「もう遅い! 何もかももう遅いんだ!」

「おい動くな。撃たなきゃならなくなるぜ」

 何も聞いていない。

 こちらに向かって包丁を突き立てて走り込んでくる彼。

 速い。

 狂気に駆られた人間の、躊躇いのなさがあった。

 それでも久喜宮は、それ以上の事務的処理のような判断で、彼の足を撃った。

 ぱん。

 小気味の良い弾ける音がして、鼻に火薬の匂いが漂った。

 聴衆の、金切り声が耳に届く。

 撃たれた足から血が吹き出して、ホームレスはうめき声を上げながら、包丁を地面に突き立てて、蹲った。

 この一般人も平気で撃つような態度が、上から久喜宮が厄介者扱いされている理由でもあった。実際無関係の人間を撃ったこともあったが、そこまでして事件が解決できなかったことはなかったし、一つとして間違った物を撃ったつもりはなかった。無関係の人を撃ったのは、それが犯人への脅しにつながると判断したからに他ならなかった。

 まあ、どうでもいいさ。

 心の中で、彼は言い訳をする。眼の前の危険を排除することのほうが、警察のメンツや規律やなんだよりも、最も重要視されるべきだ、と彼は常々考えている。

 ホームレスは、蹲ったまま、恨みのこもった目を、久喜宮に向ける。そんな目をいくつも見てきたが、もう何の感情も浮かばない。どうでもいい。同情するだけ非合理だった。

 久喜宮は問う。

「誰かに脅されているのか、あんた」

「…………言えねえ……」

「……見張られているのか」

「…………」

 ホームレスは押し黙った。だけどその様子を見れば、図星であることくらいはわかる。

 横目で、周りのビルを見回す。ここを監視できるくらいの位置。そんなところは、この街では腐るほど存在する。諦めた。

「爆破時刻は?」

「知らん! 何も言えないんだよ俺は! あの女たちが言うとおりにしてくれたら、それが一番だったんだ! もう遅いんだよ!」

「犯人は、どうせあんたを殺すつもりだったよ」

「わからないじゃないかそんなの! こうすること以外に、俺にどんな方法が取れるってんだよ! 俺にはこうするしかなかったんだ! お前たちに俺の何がわかるんだ! こうしないとだめだったんだよ俺は!」

 なるほどね……

 近づけば、こっちも即死というわけか。

 ふうっと、諦めたような長い溜息をついて久喜宮は、向けていた銃を、懐にしまった。

「そりゃ、どうしようもないね」

 それは彼なりの、別れの言葉だった。



      インタールード2



 久喜宮に言われて、本庄谷は女三人を警察署まで送り届けるはずだった。

 だが、地下鉄への入り口で、厄介な人間に絡まれた。

 さっき久喜宮が相手にしていたような、ホームレスの男。今度は右手が模造品の機械腕、左手に長い棒を持っていた。その先端に刃物が付いている。農作業で使われる鎌だろう。

 咄嗟に本庄谷は、拳銃を取り出して向ける。人に向けたことは殆どなかったが、その練習だけは人一倍やった。

「止まれ」

 そう告げると、後ろで女三人が息を呑む音が聞こえた。

 ホームレスは面倒くさそうに、鎌を握った。

「言うとおりにしてくれ……そこの、茅島ふくみを渡してくれ」

「出来るわけ無いだろう。大人しく武器を置いて、両手を上げろ。今ならまだ、軽い罪で済む」

 人だかりが気になる。

 もたついていると、また彼女らを狙う人間が現れそうな気がした。

 それに、なぜ自分がこんな女のお守りをしないといけないんだ、と彼は心の中で確かに嘆いた。

「それもできないんだよ……俺たちには、茅島ふくみが必要なんだ。時間がない、早くしろ」

「時間時間って、一体何を気にしてるんだ。何の時間だ?」

「言えない。早くしないと……誰かが怪我することになる」

 こんなやつの言うことを聞くつもりは毛頭なかった。だけど茅島ふくみのことが気になってしょうがない。無事に護衛できる自信が彼にはなかった。銃口がそれて、一般人にも当ってしまうかも知れない。

「おい、茅島ふくみ」

 本庄谷が話しかけると、彼女は答えた。

「はい」

「ここは俺が抑えるから、お前たちは地下鉄に乗れ。警察署は次の駅だ」

「そんな……大丈夫なんですか?」

「俺はお前たちを無事に送り届ける自信がない。早く行け」

 銃でじっとホームレスを狙った。その間に、茅島ふくみら三人は、地下鉄への階段を駆け下りていった。

 重荷が消えた。久喜宮ならそう言うだろう。あいつのような方法を取ることは不本意だったが、今はとりあえずの彼女らの安全を確保したことで良しとしよう。地下鉄の中には、それなりの警備員もいる。

 一転してホームレスは、泣きそうな顔で、本庄谷のことを見た。

「お前…………俺たちを見捨てるのか……いつもお前たちはそうだ……俺たちのことをこの区のゴミかなにかだと思ってるんだ……畜生……」

「何を言っている。良いから武器を捨てろ」

「もう……意味はない……何の……」

 ホームレスは、案外大人しく武器を捨てた。

 なんだ。意外だ。もっと抵抗すると思ったが、茅島ふくみを捕まえられないと知って、弱気になったのだろうか。

 安心して銃を戻して、近付こうとした瞬間だった。

 ――突然、ホームレスが爆散した。

 咄嗟。

 判断が遅れる。

 本庄谷は顔を伏せて熱風を凌いだ。

 身体が吹き飛ばされそうになりながら耐えた。

 とてつもない勢いの風邪が、耳の上を掠めていく。

 なんだ。

 爆発。

 何が?

 ホームレスが爆発した。

 さっきまで彼がいた場所には、ただ黒く焼かれた地面と残りカスだけが存在した。鎌は刃先を残して取っ手は粉砕された。

 耳鳴りで耳が聞こえない。爆風で狂ったのだろうか。

 だけど端末が鳴っている音だけが、かすかに聞こえた。

 出ると久喜宮だった。次第に耳が戻っていく。

『……ホームレスが爆死した。身体に爆弾が括り付けられていたらしい』

「…………こっちも同じようなホームレスと遭遇しましたが、同じく……」

『しかし凄い威力だ。肉や骨はもちろん、ハリボテ機械腕の破片すら残ってない』

「……なんとかならなかったんですかね」

『あのお嬢さんたちは?』

「地下鉄に逃しました」

『無事なら、これが最善だったって考えるしかないさ』



      9



 地下鉄は何時だろうがやはり混み入っていた。

 息をすることすらままならない。繁華街からの帰宅客が多くなっていく時間帯だからだろうか。それとも上での騒ぎがあったからだろうか。警察署も爆破されて、一気に緊張感が高まっていることが伝わってくる。

 改札までなんとか歩を進めて、改札を抜ける。ホームに降り立つが、電車すらもよく見えない。

「茅島さん、どれに乗れば……」

「えっと……わからない……さっき乗ったやつだっけ」

「はい…………何処でしょう」

「美雪、警察署行きの電車はどっち?」

 八頭司が人に押しつぶされながら、端末で調べた。

「二番ホームだって……でもこれじゃあ乗れないよ」

 ごった返している。入れ替わる人間の数が、すでに許容量を超えている。これじゃあ、いつまで経っても乗れないじゃない……

 そんな時に、端末が鳴った。

 私達は隅に移動して、電話に出る。

 医師だった。

『聞いてくれ。さっき君たちを襲ったホームレスが爆死した、と警察から連絡があった』

「爆死……?」

 私よりも茅島さんが身を乗り出して尋ねた。

『ああ、爆弾が括り付けてあったんだ』

「括り付けてって……」

『脅されていたんだろうよ。かわいそうに。君たちを連れてくるようにな』

 許せない……

 そんな人間らしい感情を、私は抱えた。

 だけど逸る気持ちとは裏腹に、電車は私達を拒んでいた。



      ★3



 自分のマンションのエレベーターが、こんなに遅く感じたのは初めてだった。

 知らない男とふたりで狭い空間にいると、それだけで吐き気がする。

 下りて角の部屋に向かうと、変な噂を立てられないように、速やかに扉を開けて、男に先に入るように促した。

 すると男は怪訝そうにわたしを睨んだ。

「なんで? 自分の部屋でしょ」

「……見られたくないんでさっさと入ってください」

「もしかして、後ろから殺そうと思ってる? 甘いね。先入れよ」

 背中を押されてわたしは中へ押し込まれた。

 バレている。

 この部屋にはもしものときに仕掛けた爆弾がある。先に男を入れて、扉を閉めて爆死させる寸歩だった。どうすればこいつだけを巻き込めるだろうか。

「爆弾なんてないですよ。自分の部屋ですよ」

 口ではそう言えた。真っ赤な嘘を吐くことに、わたしはもう慣れてしまっていた。

「……それもそうか。でも油断できねえな」

 訝しみながら、男は周りを見渡す。

 手前の部屋と奥の部屋。まっすぐに伸びた廊下。脇に入れば風呂場、トイレ。

「普通の家だな。爆弾がたんまりあると思ったが」

「自分の家ですって」

「製造途中の爆弾とかな……そんな物が見れると期待したんだが」

 男は奥の部屋をちらりと見る。

 そっちは…………

 そのわたしの反応を、男は見逃さなかった。

「……なんかあるな、奥か」

「ちょっと! やめてよ!」

「うるせえな、静かにしてろ。身の安全のためだ。お前はそこにいろ」

 男はわたしの静止も聞かずに、奥の部屋のドアを開け放った。

 ――ああ、

 わたしはその背中に、なんの躊躇もなく蹴りを入れた。

 そして扉を閉める。外側から鍵をかける。そのために、ここは外側に鍵を取り付けていた。

 ――だから言ったのに。

 扉を激しく殴りつける音が聞こえたが、私は玄関から外に出た。

 ここはわたしの部屋だが、正確は住んでいる場所ではない。念のために、自分の部屋の真下にもう一つ部屋を借りていた。誰かに押しかけられて、脅された時のために、そいつを確実に消せるように用意した、ただ爆弾があるだけの部屋。お姉ちゃんも、忌々しい父親も、ここにはいない。

 わたしは爆弾を起動させた。

 少量の火薬だったが、中にいる人間は一溜まりもないだろう。

 少しだけ大きな低音が響いた。爆発したらしい。部屋には防音処理も施してあるから、この程度で済んでいた。死体を確かめに戻る勇気はなかった。

 ――切り札を一つ使っちゃったな。

 残念だった。もうあの部屋は使えない。またもう一つ部屋を借りる金銭的な余裕もなかった。

 またエレベーターに戻る途中に住人とすれ違う。主婦ふたり。この階の住人だろうが、何事もなかったかのようにすれ違う。

 大丈夫。バレてない。

 時計を見る。

 大丈夫。遅れてない。

 真上の、本当のわたしの部屋に戻る。今日も時間どおり。父親の小言を封殺できる。

「おかえり。なんか物音がしたけど、何かあった?」

 わたしの顔を見るなり、お姉ちゃんは言った。

「そうなの? 最近物騒だからな……」

 防音を施したあの部屋から、音はさほど漏れないけど、それでも死体が見つかるのは時間の問題だろう。

 早く…………

 早くしなくちゃ……

 わたしには時間がない。

 いっそ、時間を守らないで爆発を遂行する勇気も必要なのだろう。

 だけどあなたのために頑張ってるわたしが、

 わたしはものすごく好きだった。

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