第8話

私は迎え人のナナシです

今日は

自殺をした少女を迎えに来ました

自分の葬式の様子を見ていた少女に近付き

「貴女を迎えに来ました、迎え人です」

少女は振り向き

「ねぇ、この葬式どう思う?」

私は顔を傾け

「どう思う?とはどういうことですか?」

少女は体ごと

こちらに振り返り

「だから、この葬式を見てどう思う?」

「皆さん、貴女のために悲しんで、良い葬式だと思いますが」

「そう見えるよね、だけど、あそこで泣いてる三人組」

少女は泣いてる少女達を指差し

「私をいじめてた奴等なんだ、あんな風に泣いているけど

きっと、心の中では笑ってるんだよ」

「そうなんですか?なら、遺書とかあるんじゃ?」

「書いたよ、だけどね、三人組の一人の親が警察の偉いさんで揉み消されたの、子も子だけど親もクズだよね」

「それは酷いですね」

「だから、私は行かない、ここに残ってあいつらを呪ってやる」

「そうですか、それでは、こちらに署名、捺印をよろしくお願いします」

ナナシは少女に1枚の紙とペンを手渡した

「そうですかって、行かないんだよ?良いの?それにこれは?」

「はい、私は迎え人ですが、一部を除き強制ではありませんので、

そちらの書類は簡単に説明すると迎えに来たけど拒否しましたっていう書類です」

「一部って?じゃあ、この書類を書いたら私は行かなくて良いの?」

「犯罪者は問答無用で迎えます、はい、本人の意思で拒否したことを証明できるので」

「わかった」

少女は自分の名前を書き

「朱肉とか無いの?」

「必要ありません、名前の横にどの指でも良いので押し当ててください」

「わかった」

少女が親指を押し当てて

離すと指紋がついていた

「それでは、書類をよろしいですか?」

ナナシは少女から紙を受け取り、確かめ

「はい、大丈夫です、それでは呪いを頑張って下さい」

ナナシが立ち去ろうとすると

「待って、一つ聞きたいことがあるの」

ナナシは振り返り

「なんでしょう?」

「呪いってどうすれば良いの?」

「そうですね、貴女の中にある負の感情をぶつけてみてはいかがですか?」

「わかった、やってみるわ」

「それでは、失礼します」

私は今日は迎えない





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