第7話

私は迎え人です

今日は病気によって亡くなった少年を迎えに来ました

少年の葬式にやってきました

泣いている母親の近くで

心配そうに母親を見ている少年に近付き

「貴方を迎えに来ました、私は迎え人です」

少年は私の方に振り向くと

「お姉ちゃんは誰?」

私は少年と目線を合わせるようにしゃがみ

「私は貴方を迎えに来ました、迎え人です」

少年は不思議そうな顔で

「迎え人ってなに?」

私は微笑みながら

「迎え人というのは、貴方のように亡くなった方を迎えにくる者のことです」

「亡くなるって?」

「亡くなるというのは死んだということです」

「じゃあ、僕は死んだの?」

「はい、そうです」

「じゃあ、お姉ちゃんは天使だ」

「いえ、私は迎え人です」

「だってお母さんが死んだら天使さんが迎えにくるんだよって言ってたよ?」

「そうですか、わかりました、それでは行きましょうか」

「ちょっと待って、お姉ちゃん、抱っこしてお母さんに近付いて」

「わかりました」

私は少年を抱っこして

母親に近付くと

少年は母親の頭を撫でながら

「良い子良い子、泣かないの」

「それでは行きましょうか?」

少年は笑顔で

うんと頷きました

私は今日も迎えに来ました

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