第3話

私は迎え人のナナシです

今日は

寿命で亡くなった

お婆ちゃんを迎えに来てます

お婆ちゃんは自分の葬式を見ていました

私はお婆ちゃんに近寄り

お婆ちゃんと話しかけました

お婆ちゃんは私の方に振り向くと

「葬儀屋の人かい?今日は誰の葬式なんだい?」

私は

「この葬式はお婆ちゃんの葬式ですよ」

と答えました

お婆ちゃんは頭を傾げながら

「なにを言っとるんじゃ?わしは生きてるぞ?」

「そうですね、生きてますね、失礼しました、私はお婆ちゃんの家族から、迎えに来るように頼まれたんです」

「そうか、それじゃあ行くとするかの?」

「はい、行きましょう」

私はお婆ちゃんと一緒に歩き出した

このお婆ちゃんは生前は認知症で

自分が死んでいることも忘れているのです

私は今日も迎えに行く

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