3-4話 1人ぼっちは寂しい?
──他人の家に泊まっているんだから、少しは考えてもらいたい。
隣のベッドで寝ている菜瑠美を起こそうとしたら、下着姿のままで気持ちよく大の字で寝ていた。
こんな状態で寝てしまったら、布団をめくった俺が悪いことになってしまい、俺が変態扱いされてしまう。そもそも、下着姿だけで眠っている菜瑠美の方に問題あるがな。
仕方ない、もう少し菜瑠美には寝てもらおう。俺は菜瑠美に、布団をかけ戻そうとした。
「つかさ……」
「え?」
菜瑠美が突然目を閉じながら、俺の名前を呼んだ。俺の気配を察したのか? すると突然、菜瑠美が俺の右腕を掴んだ。
「おはようございます……つかさ」
「お、おはよう菜瑠美……まさか君、本当は起きていたのか?」
「はい……あなたが起きる少し前からです」
この前もそうだったが、よくこんな状況で"おはようございます"なんて言えるな。
それに誰もいないとはいえども、菜瑠美がこんな格好してたら、俺自身もかなり恥ずかしいじゃないか。
「なんで俺の服を借りておきながら、半ズボンと長袖シャツも脱いで下着姿で寝たんだよ。また心臓止まりそうになったじゃないか」
「それは……またあなたが興奮しそうかな……と思いまして」
「あのな菜瑠美。ここが俺の家で、しかも父のベッドで寝てること忘れてるだろ」
全く……菜瑠美はまた俺の前で、とんでもないことやらかしやがった。俺が変態なのかを、何度も試そうとしやがって。俺も少しは怒るぞ。
それに菜瑠美が巨乳ということもあって、余計着けているブラジャーに目が入ってしまう。ここはなんとかこらえないと。
いくら『光の力』の譲渡人の菜瑠美でも、次俺の家で性的な描写をしたら出禁にするぞ。
「つかさ……約束の朝です。私は制服に着替えてから、今日は帰宅します」
「そ、そうだったな」
下着姿で寝てた印象が強すぎて、今日の朝に菜瑠美が帰ることを忘れていた。
「もう俺のこと変態だと思っていいが、さすがに制服着るときは1人でいいだろ」
「そう仰ってるということは、生で私の着ている所を見たいのですか?」
今日は菜瑠美の下着姿を見ただけで、俺は大満足だ。
とどめに、菜瑠美が制服を着ている所なんて見たら興奮してしまうし、明日の特訓を即キャンセルしてもいいくらいだ。
◇◆◇
「忘れ物はないか、菜瑠美?」
「はい、大丈夫です」
制服姿に着替えた菜瑠美は、家の玄関に向かい、今日もタクシーで帰ろうとしていた。
またしても菜瑠美の嫌らしい本性を見てしまった俺だが、菜瑠美はどこでスケベなことを学習したんだよ?
「つかさ……私を泊めてありがとうございます。明日もらまた、宜しくお願いします」
「こちらこそだ。今日のようなことをしない限りは、またいつでも泊めてやる」
一応、また泊めてあげようとまでは言うか。但し、勝手に服を脱いだりすることだけは、お断りだけどな。
朝までには帰ってくれとは確かに言ったけど、今の俺は菜瑠美と一緒にいることが生きがいだから、もっと俺の家にいてもよかったと後悔した。
「あとつかさ……明日あなたに、今日泊めてもらったお礼がしたいので……ついでに持っていきます」
「お礼か……楽しみにしとくよ」
なんだよ……菜瑠美からのお礼って? すごく気になるじゃないか。
明日がすごく楽しみになってきたぜ。本来は菜瑠美からのお礼ではなく、『光の力』の特訓が目的だけどな。
菜瑠美がアパートから出ていき、俺はようやく1人きりの休日を満喫できる。
「ようやく1人になれた……」
俺の部屋が孤独な状態になっても、今日はずっと家にいるということだけは既に決めていた。やっぱり、菜瑠美をもう少し家にいさせても良かったんじゃないかな……と思ってしまった。
「俺の方から明日は誘ったんだから、くつろぐ前に先に支度しとくか」
明日は菜瑠美と特訓するとはいえど、実質デートみたいなものだ。のんびりする前に、支度が先だな。
支度といっても、服装選びぐらいしかないんだよな。でも、その服装こそが重要なんだよな。俺の私服がダサかったら、菜瑠美の好感度が下がってしまう。
「色々候補はあったが、明日の服はこれでいいか。俺自身も結構気に入ってるしな」
俺が愛媛県から千葉県に引っ越す前に、父が記念に買ってくれた黒色の愛媛魂の文字が入ったTシャツを眺めた。このTシャツを、明日着ることにした。
生まれてから15年間はずっと愛媛県で育ってきたし、千葉県在住になった今でも、愛媛にいることは忘れてはいけないと思っている。
さすがにTシャツ1枚だけでは寒いから、玄関に掛けてある黄色の革ジャンも着ていくか。光使いである今の俺からすれば、この色は菜瑠美にも合ってると言われそうだ。
他にも予備のTシャツ・汗拭きタオル・レジャーシートも持っていこう。タオルは菜瑠美の分まで用意しておくか。
「よし、明日の支度は完了だ、明日は『光の力』を存分に使いたい所だ」
俺はようやくくつろげる前に、右手の手のひらを見つめた。この『力』に関してはまだまだ、俺の知らないことがたくさんある。
虹髑髏を壊滅するのは当然だが、ハイトが言っていた令和を代表をする能力者になることも目的だ。世の中には、俺の知らない強者の能力者がごろごろいる。
明日も特訓してるうちに、『力』の新しい何かがわかっていくのかもしれない。そして、最強の光を手にいれる為に──
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