28.女奴隷と寿司
「♪ご主人様、今日のごはんはお寿司ですっ」
「♪お寿司いいね」
「♪召し上がれ~」
と言って食卓に出されたものは何だったかというと。
おにぎりに無数のメザシがぶっ刺さった何か。
以上。
俺はしばらくそれを見つめ、こちらに無垢な眼差しを向けてくるクローラの手を取る。
そして歌唱再開。
「♪一緒に料理教室を探そう、ケ○コとマ○ブで~」
いや学ばねぇよ。料理以前の問題だよ。必要とされるべきは国語力とかそのへんだよ。
なんだこの……斬新さとシュールさを足して二で割ったような物体は。
「えっと、確認だけど……お寿司?」
クローラちゃんはその問いかけに自信たっぷりに答える。
「はい! お寿司です! このにほんという国に古来より伝わる、最も高級な料理であるとぐーぐる先生に教わりました!(ここで胸を張りながら堂々と言う)」
ここで胸を張りながら堂々とクローラは言う。
こんなものが日本の誇る高級伝統料理だというのなら、路地裏のゴミ箱に捨てられた残飯はビッグマックか吉野家の牛丼だな。
「えへへ……クローラ、ご主人様に喜んでほしくて頑張って作りましたです……(と言いつつ褒めて褒めて~という感じで頭を差し出す)」
褒めて褒めて~、という感じでクローラは顔を赤くしながら俺に頭を差し出した。
「(ここでマスター、クローラの頭を撫でる。撫でずに寿司じゃないことを指摘された場合は飛ばす)」
「よしよし、頑張ったね~。ありがとうね~えらいえらい」
と言って、俺は彼女の頭を撫でる。とたんにクローラはこの世で最も幸せそうな顔でニヤけた。
それでもやはり一体なぜこの物体Xを寿司と認識してしまったのか、聞いておく必要はあるだろう。グーグルで検索したのだというならなおさらだ。
「でもねクローラ。お前が作ったこの料理は『寿司』じゃないんだ」
「ええ!? そうなのですか!?(と、大仰に口に手を当てて驚くリアクションをする)」
と、大仰に口に手を当てて驚くリアクションをするクローラちゃん。
そんな彼女に、俺はそのおにぎりからメザシを引き抜きつつ言う。
「うん。ていうかまずどうやって寿司のこと調べたの? 普通にググったんだよね?」
「はい。お寿司とは酢を混ぜたお米と、お魚を使って握ったものであるということはわかりました」
「いや概要だけなら合ってるけどさ……。せめてちゃんとした作り方まで調べようとは思わなかったの?」
「(胸に両手を当てて感慨深そうに)最初はクローラもそうしようと思ったのです」
胸に両手を当てて感慨深そうに女奴隷は語り始めた。
「ですが、『ねっと』や本に書いてある料理法や手順通りに調理したところで、結局それは他人がやっていることの模倣でしかないと考えます」
「模倣することを悲観的に捉えていいのは、その模倣が完璧に出来る奴だけだよ」
「(ここで目に涙を浮かべる)」
俺の言葉をガン無視してクローラが取り出したのは、いつの間に買ってきたのかわからない目薬。
それを己の目に垂らして、彼女は瞳をうるうるさせる。
「よしっ、これでいいですね……」
「……」
「(そして悲痛な声で訴える)」
悲痛な声で訴えてきた。
「大切なご主人様にお出しするのであれば、そういったものよりもクローラ自身が編み出したお料理であるべきだと思うのです。私にしか出せない、ご主人様のためだけの、特別な味を堪能していただきたいのです!」
「はぁ……」
オリジナリティを追い求めてるってのはわかったけど、その結果がこれじゃなぁ……。完全に別物になってちゃ本末転倒だろうに。
「それに私自身、ちゃんとしたお寿司というものを食べたことがありません。なのでどんな味なのか、どんな食感なのかてんでわからないです。にもかかわらず、他人のお寿司のレシピを参考にしても、作ったものが成功なのか失敗なのか判別することは極めて困難であるとクローラは思います」
とりあえず、今俺の目の前にあるこのメザシめった刺しおにぎりは成功なのか失敗なのかを問いたい。切に。
喰ったこともない料理を作るというのは、場合によっちゃ高難度になるのかな。俺は進んで新しい料理のレパートリーを開拓するようなことはしてこなかったからよくわからない。だがこの異世界人にとっては、見たことや聞いたことすらなかったわけだしな。
俺はしばらく考えながら、その寿司と言い張られたものを完食。ごちそうさまを忘れずに言い、クローラに向き直る。
「ま、出来の良い悪いは置いておいて。やっぱり味は寿司とは程遠いな」
「やはりそうですよね……実際にお寿司を食べたことがない私がどんなものを作ったって駄目に決まってます(よよよ、と泣き崩れるようにして言う)」
よよよ、と泣き崩れるようにして言うクローラの頭をもう一度撫でながら。
「そう落ち込むなよ。始めの頃に比べりゃ腕は上がってるって」
「(マスターが慰めてくれた場合は次の台詞。そうでない場合は慰めてくれるまでいじけ続ける)いいえ! これではっきりと分かりました。クローラはご主人様にお料理など振る舞うべきではないということが! だって……お寿司を食べていないのですから! お寿司さえあれば……うぅ、不甲斐ない私めをお許しくださいませ(号泣)」
号泣するクローラちゃん。
うーん、困ったなぁ。こんなことで自信喪失されてもというのが正直な感想なんだけど。
お寿司か……。ここ最近喰ってないけど、別に余裕がなかったわけじゃないし。これも現代食文化の勉強の一環だと思えば、まぁいいか。
「クローラ」
「ぐすっ……はい?」
「お寿司、食べに行くか?」
瞬間。
ぱぁぁ、とクローラの顔に笑みが訪れた。さっきまでの泣きっぷりが嘘のような快晴である。
「(マスターが寿司屋に連れていくと言ったら以下の台詞。調子に乗って喜びすぎないように注意)ですが、よろしいのですか!? 私のような奴隷をそんな、最高級の料理を出すお店に同伴させてくださるなんて」
「そんな気にしなくても大丈夫。確かにお寿司って高級品だけど、庶民が手を出せないものばかりじゃないさ。超高いものもあれば、リーズナブルなものもある。ピンキリってやつ? 別に寿司が喰えりゃいいんだろ? だったら行こうよ、せっかくだし」
「あ、ありがとうございますご主人様!」
「いいっていいって。まぁ強いて言うことがあるとすれば――」
俺は中腰になって彼女に目線を合わせると、単刀直入に尋ねた。
「演技するなら台本くらい隠そうや」
と、エプロンのポケットに丸めてつっこまれていた紙束を指差す。
言われたクローラ、沈黙。
俺はそれをそっと拝借し、中身を確認。
するとあら不思議。さっきまでの台詞と動作、俺の言動によるパターン分岐まで詳細に記述されているではありませんか。
クローラは暗記の天才という隠された長所がある。これくらいの内容はすべて頭に入っているのだろう。そう、カッコの中の部分まで一言一句な。
そのまましばらく時が流れた後、俺は静かに質問した。
「誰が作った?」
「リファさんです」
「リーファーちゃーん?」
クローラが影の首謀者を密告し、即座に俺がそいつを召喚しようとした瞬間。
廊下の方でドタバタとうるさい音がした。
「クソッ! 作戦失敗! 直ちに離脱する!」
「もう帰ってこなくていいよ~」
俺は追うこともせず、玄関から退散していった黒幕に向かってそう言った。
まったく、まどろっこしい真似を……。なんで素直に「連れてって」と言えないのか。
「あの……ご主人様?」
気がつくと、クローラがエプロンの裾を握りしめて言いにくそうに俺を呼んだ。
彼女もあのポンコツ女騎士にそそのかされただけとはいえ、罪悪感がないわけではないらしい。
俺は無言で寿司もどきの乗っていた皿を台所に持っていくと、後を追ってきた彼女に言った。
「これ洗い終わったら、二人で行くか? 寿司屋」
「……!」
クローラは目を見開いて伏せ気味な顔を上げた。
「ふ、二人……『きり』で、ですか?」
「うん。あいつはしばらく戻ってこないだろうし」
「ごしゅじんさまとふたり……きり」
ぽやー、とした表情のまま呆けた声で女奴隷はそう呟く。その頬は心なしか紅みがかかっていた。このまま寿司屋の話は流れてしまうのかと思っていたのか、予想外の結果に驚いているのだろうか。
「あ、もしかして嫌だった?」
「い、いえっ! とんでもございません! これ以上ない、一世一代の幸せでございます! ぜひ、ぜひ行きましょう!」
しっぽをふる子犬みたいに俺へ駆け寄ると、ハキハキとクローラは言ってきた。
俺は苦笑しながら興奮する彼女をなだめるようにまた頭を撫でてやる。
「オッケー。じゃあ今のうちに着替えと支度済ませておいて。準備ができたら出発だ」
「かしこまりました! ご主人様!」
クローラはエプロンの裾をつまんで恭しくお辞儀をすると、いそいそと他所行き用の衣装へと着替えを始めた。鼻歌を歌いながら、まるでダンスでも踊っているみたいに。なんだかいつにも増して楽しそうだ。
「……作戦成功ですっ」
「え、なんか言ったか?」
「いえ、なんでもありません」
○
「かいてんずし?」
「ああ。寿司屋ってのは回るところと回らないところの二種類がある。庶民が簡単に手を出せないものが後者で、レストラン感覚で食べられるものが前者だと思ってくれ」
「……基準がよくわからないです。それに回る、とはどういう意味なのでしょう。複数人で食べ回しでもするのでしょうか」
「それは見ればわかるよ」
と軽く雑談をしながら歩いていると、ようやく目的地が見えてきた。
そびえ立つ看板を指差すと、クローラは目を細めながらその店名を読み上げた。
「く……○……寿司」
そう、く○寿司。寿司屋の中じゃ最もポピュラーかつコスパの高いとこだ。全国にチェーン展開しており、今じゃ知らない奴の方が少ないだろう。
一皿百円という破格の値段で寿司が食えるってんだから、人気が出るのも納得。実際俺も高校時代は何度か友達と行った記憶があったりなかったり。
「さて、じゃあ入ろうか」
店の前に並んで立つ俺達。だが女奴隷は俺から、一歩引いて尻込みしているようだ。初めてだからきっと不安なんだろう。ワイヤードで彼女は外食の経験なんか無かっただろうし。
ちなみにこの世界では、一度だけスタバ(ラーメン二郎)に行ったことがある。でも、今回は寿司という一応高級料理が振る舞われる場所だから、勝手が違うとでも思ってるのかな。
「クローラまだ心臓がドキドキしてます……」
「そんな緊張してたら、中の様子見たら息が止まっちゃうぞ」
と冗談めかしながら暖簾のかかったドアを開けた。
中は意外にも空いていた。平日の昼前というピークタイムからはズレた時間のためだろう。並ぶかと思ってたけどよかった。
入り口から見渡してみると、辺り一面に色とりどりの寿司が乗った皿がレーンに乗られて店中を徘徊している景色が。大袈裟かもだが、圧巻だ。
やっぱりこの眺めっていいよな。幼心がくすぐられるというか、ワクワクするというか。食べる前から既に楽しい。
だが、それを初めて見る異世界人にとっては、受ける衝撃はそんな程度物ではなかった。
「すごいです……食べ物が動いてる。それも、あんなに沢山……」
「驚いたろ? ああやって店の中をぐるぐる周回してるから『回転』寿司なんだ」
「クローラ……驚きすぎて、本当に息の根が止まってしまいました」
どこから声出してんだよ。
「あ、あれ……全部食べていいものなのです?」
俺の袖を小さく引っ張りながら、おずおずとクローラは訊いてきた。
「もちろん。流れてるもんぜーんぶ、よりどりみどりだ」
「……」
感動してるのか、はたまた困惑しているのか……もはや言葉が出てこないらしい。ただそのレーンに釘付けになっていた。
「いらっしゃいませ~。二名様ですか?」
受付にやってきた店員さんに人数を伝えると、席に案内される。カウンターとテーブル両方選べるとのことだったので、後者にした。
向かい合って席についたら、いよいよ食事の時間だ。
「あー、お腹空いた。早く喰おうぜ」
「も、もうこれ……食べてもよろしいのでしょうか? 注文とか、そういうのは……?」
「必要ないよ。こうやって流れてくる寿司の中から好きなもんを取ってけばいい」
彼女にお茶を注いでやりながら俺は答えた。
回転寿司のなにがいいかって、とにかく待たなくていいところ。ファミレスみたいにどれだけ混雑してても、料理が出来上がるまで何もありつけないなんてことはない。
強いてウェイトタイムが発生すると言えば……。
「この中から、好きなもの……えっと……えっと……」
こうやって何にしようか迷う場合、かな。
確かに安い店ではあるものの、そのラインナップは高級店に負けず劣らず超豪華。
トロ、はまち、しめ鯖、イクラ、サーモン、エンガワ、ウニ……様々なツヤのある海鮮が乗った皿がどんどん目の間を通り過ぎていく。それはまるでファッションショー。魅力的な一品が次々と俺達にアピールしてくる。迷ってしまうのも納得のシチュエーションだ。
「あぅ……なんだか目が回ってきました……あふぅ」
あまりに選択に頭を使いすぎたのか、クローラはこめかみを抑えて座席にもたれかかった。ちょっと刺激が強すぎたかな。
「大丈夫か?」
「はい。好きに選んでいいと仰いましたが、興味が惹かれるものがありすぎて……。どれを取ってどれを捨てるか考えておりました」
もしかして一皿しか頼んじゃいけないとでも思ってるのかな。まぁ奴隷らしいといえば奴隷らしい謙虚さだ。
「別に欲しいもんがあれば全部取ってっちゃっていいよ。結構お金多めに持ってきてるし、クレカもあるから、そのへんの心配はいらないって」
「えっ? 今日はこれ全部食べていいんですか!?」
そう言った途端。ガバっと彼女は跳ね起きて、テーブルを乗り出してきた。
「ああ……。おかわりもいいぞ!」
「そ、そんな贅沢なこととても……」
「遠慮するな。今までの分喰え……」
「ご主人様……」
ニコっと笑って俺が言うと、女奴隷は少し涙ぐむ。
「奴隷の私にこんなにまでしていただいて……クローラ、嬉しすぎて吐きそうです」
「それは毒ガス訓練の時間まで待ってね」
さて、商品選びに再び戻った俺達であったが……やっぱり迷うものは迷うもので。散々悩んだ挙げ句にクローラが手にしたものとは……。
「あ、ご主人様! カレーがありますよカレー!」
「おお、ホントだ」
見てみると、深い皿に盛られたカレーが二つ。ゆっくりとこちらにむかってどんぶらこ。
他のものとは異彩を放つそれは、クローラの大好物。到着するよりもずっと早く目をつけていた彼女は、キラキラと目を輝かせていた。
「こ、これ……これとってもよろしいでしょうか!」
「いいよ。こぼさないように気を付けてね」
というわけで。俺とクローラはめでたくカレーの捕獲に成功したのである。
ホカホカと湯気を立つそれを前にして、二人共思わず舌なめずり。そして食べる前にはもちろん、両手を合わせて……。
「「いただきます」」
スプーンでごはんとカレーが均等になるように掬い、口に運んで、ゆっくり噛みしめる。じゃがいもや肉などの具もゴロゴロ入っていて、食べごたえは抜群。
決して本場のような味とは言えないが、ピリッとした辛さとまろやかな口当たりのギャップに舌鼓。
「美味しい……」
クローラは長く息を吐くように、感嘆の声を漏らす。
美味いと感じたらテンションがハイになるとばかり思ってたけど。こうして他人を見たら……本当に美味しいものを口にすると逆に落ち着くもんなんだなと、新たな発見した気分。
「やっぱり食べ慣れたものが一番性に合いますね」
「だな」
ものの数分でカレーの皿は空になった。他のものも楽しめるように、量を予め少なくしてあるんだろう。こういう配慮もありがたい。
「知ってますかご主人様」
「ん?」
「カレーって、実は日本ではない、遠い異国のお料理だそうですよ」
「ああ、インド?」
はい、とクローラはうなずく。自分の好物故か、ルーツまで細かく調べていたようだ。
「でも、見たところ私達が食べているようなものとはぜんぜん違うんですね。手で食べたり、ご飯がなかったり……少しびっくりしました」
「うん。外国の文化って、伝わってきても何かしらの形でローカライズされるもんなんだよ」
「ろーからいず、ですか?」
「簡単に言えば、その国に合ったようなものにアレンジしちゃうこと。異国の文化をそのまま流通させようとしても、どうしても日本の価値観や慣習とかの関係であまり人気が出なかったり、場合によっちゃ拒否感示す時もあるんだ」
「……?」
ちょっと難しい話だったか、女奴隷は小首をかしげるばかりだ。
「例えばお前が調べたインドのカレーみたいに、ご飯もなくて手づかみで喰えー、なんていきなり言われたらちょっと困るよな?」
「クローラは別に困りませんし、奴隷の身としてはむしろそっちの方が慣れてるというか――」
と、そこで言葉を切ってクローラは慌てて頭を下げた。
「も、申し訳ありません! 私ごときを基準にして話すなど! そうですよね、確かにフォークやナイフを使うのが一般的な人達にとっては受け入れがたいものですよね!」
「あ、いやごめん。こっちも例えが悪かった」
とにかく、文化を伝えるのは容易いことではある。だがそれを浸透させるのはその何十倍も難しい。
だからその原型を留めつつ、伝える先の人間が親しみやすい形へとシフトさせる。それがローカライズなのだ。
「なるほど……つまり、このカレーはあくまで『にほん風のカレー』ということですか」
「そういうこと。これに至っては原型すらない、ほぼ完全な日本料理と化してるけどね。でもうまいだろ?」
「はい! カレーを生み出した人もすごいですが、それをこんなにも美味しい料理に『ろーからいず』してしまうにほんの料理人さんもお見事です。いい勉強になりました」
「それは何より」
さて、談笑もそこそこにして、そろそろ次のを頼もうか。
○
「うーん……うーん」
「また迷ってんの?」
レーンの縁に顎を乗せるようにして、さっきからクローラはずっと唸ってばかりだ。どんどん取っていいよって言ってるのに。
「あ、いえ……欲しいものがないわけではないのですが……。どんどんこう目まぐるしく流れていくのを見ると、自分は何が欲しかったのか忘れてしまって」
「あはは、暗記の名人様でもそういうことは覚えてられないんだ」
「面目ないです」
こういう面で言えば、回転レーン式も良し悪しだな。
恥ずかしそうに頬を人差し指で掻く女奴隷に、俺はテーブルの傍に設置された小さなモニタを指さした。
「ならこれ使いなよ。ここからメニューを直接指定すれば、後でそれが流れてくるから」
「なんと! こんな便利なものがあったのですか」
画面はタッチパネル式で、ここで提供されているすべての品目が映し出されている。クローラはそれをじっくりと眺めた末に、とあるものに決定した。
「カツ丼?」
「はい。なんだか、ちょっとおもしろそうな名前だなって思って……駄目でしたか?」
「いやいや全然いいって。じゃあ俺も同じもの頼もっと」
二皿注文し、あとは到着するのを待つだけだ。注文した品は専用の皿に乗ってくるので他の人に取られたりすることはないし、近づいてきた場合はブザーで知らせてくれるから取り逃す心配もない。
程なくして目当てのものが届けられた。
揚げたてのカツを熱々の卵でとじて、それを熱々のご飯の上に乗せた、できたてのカツ丼。
「わぁ……」
「喰うのは初めて、だよな?」
「はい! えっと……いただきます」
我慢出来ないというふうにクローラは箸を手にとって、がっつくようにカツ丼をかっ喰らう。幸せそうに頬張る彼女をしばらくみつめて、俺もいざ実食。
衣はサックリ、中はジューシー。そんな得も言われぬ食感が口いっぱいに広がる。ふわふわの卵もいい感じにアクセントになってて箸が進む。専門店のものには劣るけど、なかなか馬鹿にできないクオリティだ。
「クローラ……カレーの次に美味しいものを発見したかもしれません……」
カツを咀嚼しながら、うっとりとした声で彼女はそう感想を言った。カレーにカツ丼……完全にお子様の舌だな。俺も似たようなもんだけど。
「ご主人様……これもカレーのように『ろーからいず』の賜物なのです?」
「そうだね。元はカツレツっていう海外の料理を、ご飯の上に乗っけただけなんだけどね」
「いわゆる『丼もの』というカテゴリですよね。ただおかずを乗せただけでここまで美味しくできるなんて……盲点でしたね。ワイヤードでももしかしたら、作ろうと思えば作れたかもしれないのに」
「それはどうかな」
「?」
俺はカツ丼の上に七味をブチ撒けながら、彼女の持論に異を唱える。
「確かに発想自体は単純さ。でも、一つ重要なこと忘れてない?」
「重要なこと、ですか?」
しばらく考え込んでも、クローラは答えが出せないままだったので、俺はヒントを出すことにした。
そっと彼女の顔に手を伸ばし、ほっぺたについていた米粒を取って見せてやる。
「いろんなものを乗っけているこの米……ワイヤードにもあった?」
「あ」
ようやくそこで合点がいったという表情になった。指先に付いたクローラの米粒をぺろりと舐めて俺は解説した。
「乗っけるだけなら確かに簡単だけど、米を作って食べるって習慣がある国だったらって話だろ? この日本じゃ当たり前のように毎日米を炊いて喰ってる。でももしワイヤードみたいにパン食が主流で、そんな見たこともない穀物を使った料理が伝わっても、広めるのは難しいんじゃないかな?」
「そうですね。異国の文化を、自国の文化と組み合わせることが『ろーからいず』なら、このカツ丼は日本のお米があったからこそ発明できたもの、ということになるのでしょう」
日本人は米、なんてよく言われるけど、世界で見れば生産量も消費量も高すぎず低すぎずといった位置。この国以上に米を作って食べてるところなんてごまんとある。でも、こういうふうに「なんでも白米の上に乗っけて喰う」文化ってのは日本が一番多様性に富んでる(と思う)。
「寿司だってそれに準じたようなものだよ。酢飯の上に、魚介類を乗せて握る。それだけなのに、何百年も前から日本の伝統料理として続いてきたんだから」
「はい。日本のお米の文化……侮りがたし、です」
そうやってお米談義をしているうちに、俺達は早くもカツ丼の丼をカラにしてしまっていた。
○
カツ丼を喰い終えてから、クローラも慣れてきたのか、スムーズに注文したりレーンから取ったりできるようになった。
豚汁、茶碗蒸し、ラーメン、ハンバーグ……などなど、多いかもと思ったが結構いけたな。
少し時間が経つと、ランチタイムに突入したのか、徐々に人が増えてきた。物静かだった店内もざわつき始め、にぎやかになってくる。会社員、カップル、老夫婦、学生グループ。老若男女問わず大勢の人が入り乱れている。
「いろんな方がいらっしゃいましたね。それほどお寿司は人気だということなのでしょうか」
「ま、日本が誇る文化だからな。それにほら……」
俺は通路を挟んだ向こう側のテーブルに座っている客を顎で示した。
そこには若めの男女が明るく話し合いながら寿司の味を堪能していた。別にどうってことない普通の食事風景だったが、二つほど注目すべき点がある。
それは、全員が金髪で青い目、高い鼻に白い肌という容貌。そして俺達には読解不可能な言語で喋っていたことだ。
「ボングギドギグショグシパ、ババババンロボザバ」
「ギララゼダデダロボンババゼロ、ロドドログラギロボザドゴログ」
「ゴセパギブサグギヂダングビザグ、ゴラゲサパゾグザ?」
うーん、何言ってっかさっぱりわかんねぇ。ここではリントの言葉で話す必要はないから別にいいけどさ。
ちんぷんかんぷんなのはクローラもそれは同じなのか、眉をひそめて彼らを見つめるとぼそっと言った。
「……少々頭がイかれてるお方達なのでしょうか」
「こらこらこらこら」
久々に聞いたよこいつの無意識毒舌発言。ナチュラルに喧嘩を売る一言だが、向こうには一切それは伝わっていない模様。ふぅ、危うくゲゲルの餌食にされるとこだったよ。言語の壁により事なきを得た俺はホッと一息。
「外国の人だよ。日本の外からやってきた人達」
「ああ、異邦人の方でしたか。通りで支離滅裂な言語をお使いになられてると思いました」
「言い方言い方」
クローラは食べている途中だったサラダをフォークでつつきながら訊いてくる。
「しかし、どうして異国の人がこんなところに。密偵だとしたらあからさますぎますし、商売人にしては些か容姿がそぐわないといいますか……」
「どっちでもないよ。多分観光客だろ」
「かんこうきゃく……え? 異邦人なのにですか!?」
口にレタスを含んだまま彼女は驚きの声を上げた。
そういえば、ワイヤードは国の出入りに非常に強い制限がかかってたんだったな。入るにしても出るにしても、厳しいチェックが待ち受けているという。他国との隔たりが大きく、いつ戦争が起きてもおかしくない状況下、当然観光なんて理由が通るわけがない。それを踏まえると当然のリアクションか。
「この世界じゃ普通に国内外を行き来できるんだよ。当然観光でだって訪れることは可能だ」
「……そうなのですか。ちょっと危ない気もしますけど」
「ちゃんとチェックとかはしてるよ。ワイヤードと同じかそれ以上にね。でも、何の問題もないと判断されれば、別に遊び目的でも全然問題はない」
「遊び……つまり隣の彼らは遊び人ということですか」
「だから言い方ぁ!」
まったく、放っておくと何喋りだすかわかったもんじゃねぇなこいつは。
「要は寿司を食べたいから、国外からはるばるおいでなすったってそれだけでしょ」
「お寿司を食べるためにわざわざ?」
「寿司は海外から見ても人気の料理なんだよ。世界中に店も出てるし、海外風にアレンジもされてる。あの人達みたいにこうして本場の味を楽しみたいっていうコアなファンもいるってこと」
「国の伝統料理を食べるために……国境を超えてくるなんて……そこまでの価値がお寿司にあるものなのですね」
「少なくとも彼らにはね」
黙々とサラダを食べながら、もう一度クローラは外国人グループを横目で見た。
「そっか……他の国の文化が日本に伝わっているということは、その逆もあるということなのですね」
「そゆこと。とはいっても、輸出できる食文化っていえば寿司くらいのもんだけどね」
「どういうことです?」
「それだけこの国独自の文化が廃れてきてるってことだよ」
観光要素として残っている文化はまだまだたくさんある。だがそれが海外に広められるものかというとそうでもない。それの上位互換とも呼べるような文化がたくさんあるからだ。そして日本自体もそういった文化を尽く捨てて、国外の生活様式にシフトしていった。
その中で、寿司だけは江戸時代から発明されて以降、全く廃れることなく日本文化の代表としての地位を確立していった。そしてそれは世界中に広まり「ジャパンといえばスシ」みたいな認識を、多くの人に植え付けることに成功したのである。
「お寿司って、ただの国土料理としか思っていませんでしたけど……そんな背景があったなんて知りませんでした」
「まぁ正直何が外人にそんなにウケたのかは俺もよくわかんないけどね。きっとそれだけ心を掴む魔法があるんでしょ」
「心を掴む、魔法……」
サラダを食べ終えたクローラは、じっとその外国人達が楽しむ様子を眺めながらポツリとこう呟くのだった。
「私にもあればなぁ」
○
その後も天ぷら、ポテト、唐揚げなどを頼んだところでようやく俺達の腹は満杯に。
仕上げということで、デザートを注文。
小さなカップに入ったアイスパフェだ。
「ん~♡ 甘くてほっぺたが落ちそうですっ」
一口食べた途端に、とろけそうな表情になるクローラ。ワイヤードにいたころは、甘いものなんて経験したことがなかったらしい。異世界の砂糖というのは超高級品だったらしく、一部の富裕層にのみ味わうことのできる特権だったとか。
初めてこの味を知った彼女はたちまち虜になり、気を付けないと家のあらゆるお菓子を食いつぶす化物になったのである。
「王様でも貴族でもないのに、こんな甘いものが当たり前のように食べられるなんて……転生者冥利に尽きるなぁって思います」
「そりゃ何より」
「ワイヤードではお砂糖の生産量なんて雀の涙ほどでしたからね。それが庶民の私達でも手が出せるくらいこの国では取れるというのだから驚きです」
「いや、日本も多分ワイヤードと似たようなもんだと思うぞ? むしろ生産量は消費量の三分の一くらいだな」
「? お言葉ですが、それだと普通にお砂糖が手頃な値段で買えるわけがないと思うのですが」
「それはもちろん、輸入してるからだよ」
「輸入……他国から買っているということですか」
「そう。砂糖だけでなく日本の食料自給率って年々下がってるんだよ。今じゃ輸入なしではおそらくまともな食事はできないだろうね」
俺は横を流れる景色のように過ぎ去っていく寿司達を指さした。
「この寿司に乗ってる魚介類だって、日本でとれたもんはほとんどない。別の国から安く買い叩いたものを使ってるんだよ」
「日本の料理なのに、日本の食材を使わない……ということです?」
「皮肉だろ? 伝統的食文化とか謳っておいてこれじゃあさ」
「確かにちょっとおかしい気はしますけど……それでも、他国に頼ることで食の体制を維持できる環境にクローラはすごく驚いてます」
「え? どういうこと?」
純粋に疑問に思ったので訊いてみると、クローラは苦笑しながらこう言うのである。
「だって、自分の国で食を賄えないという状況は、他国からしてみれば攻め込む絶好の好機なのですから」
「ああ、そうか」
いつどこの国も、他国と協力ではなく支配したいと思っている世の中。そこで食料自給率が下がるということは国力が弱まっていることに他ならない。そういうことを危惧するのは当然だろう。
「もちろん、ワイヤードの近隣諸国と貿易をしていなかったわけではありませんが、そういうのは大体自国のものよりも割高になるんですよ」
「だろうね。でも、こっちじゃむしろ輸入品のほうが安いっていう状況だ。なんでだかわかる?」
「おそらくそれは……原産国側が不況などの自体に陥ってるからでは?」
「ま、だいたいそんな感じかな」
輸出側である発展途上国などは、今なお俺達とは違って厳しい生活を強いられている。食材を輸出しようとしても、生産者が得られる対価は微々たるものだ。その利益は、ほとんどその貿易業者が吸い取ってしまっている現状。
それはまさに、貧富の差が激しかったワイヤードそのものである。
「なんだか……それを知ってしまうとあまり素直に味わえませんね」
一通りの解説を聞いた女奴隷は、その過酷な現実を生きる生産者達の姿を自分に投影したらしい。しゅんとしてスプーンを動かす手を止めた。
「私のような奴隷でもこんな美味しいものが食べられるようになったのではなく、単に私が『そういう身分』の人間になっただけ……」
つまり、搾取される側の人達というのは、どこにでもいる。
たとえそれが異世界だろうと、現実の世界だろうと。
「確かにそういう人達の苦労の上に、俺達の食生活は成り立っているのかもしれない。だが今の俺達にはどうしようもない問題だ。少なくとも、ここで食べることをやめたところで、向こうの人達は救われない」
「それはそうですけど……でも」
やるせない気持ちになるというのはわかる。だけどそれだけで終わるなら、知ったような気になるだけなら、何の意味もない。いや、むしろもっと悪い。
何の力も持たない俺達がするべきなのは、そういう人達の苦労を無駄にしないこと。
国内外問わず、これを作るために頑張ってくれた気持ちを、ありがたくいただくこと。つまり――。
「ちゃんと残さず食べろよ、ってことだ」
「……」
クローラは目をパチクリとさせていたが、俺の意を汲み取ったのか、優しい表情を浮かべて頷いた。
「はい。かしこまりました、ご主人様」
そう言って、溶けかかったアイスクリームを二人して頬張るのだった。
○
「はぁー、満腹満腹」
膨れた腹をさすりながら、満足気分で俺達は店を出た。
クローラも美味しいものがたくさん食べられて、非常に幸せな面持ちでいる。
「どうだった、初めての寿司屋は」
「はい。とても貴重な体験でした。あんなに美味しいものが食べられるなんて、クローラ感激ですっ」
「そっか。連れてきた甲斐があったよ」
「あ、でももちろんご主人様のお料理の方が断然美味しいですよ? あれより勝るものなどこの世に存在しないと思います!」
さすが、どんな時でもさすごしゅを忘れない奴隷の鑑。
ありがとね、と礼を言うとクローラははにかみながら隣に並んだ。そして俺を斜に見上げながら上目遣いで訊いてくる。
「あの、ご主人様?」
「んー?」
「今朝はすみませんでした。演技とはいえ、あのようなゲテモノをお出しするなんて」
どうやらあのメザシめった刺しにぎりのことに対する謝罪らしい。そんなに気にしてないからいいんだけど。
「次は絶対にちゃんとしたものを食べていただけるよう頑張ろうと思ってたのですが、しばらくは無理そうですね」
「クローラ……」
「今日色々なものを食べて実感しました。今の私なんかの料理の腕とは、格が違います。生半可な知識を得たところで、結果は変わらないかと」
それに、と言葉を区切ったところで、クローラの顔が曇った。
「お寿司屋さんの料理を食べていたご主人様の表情が……いつもよりもすごく、幸せそうだったので」
「あ……」
それは、先程までずっと俺がクローラに感じていたことだった。だが、他ならぬ俺もそうだったようだ。確かにどれも美味しかったけど、その顔を今の彼女に見せることがどういうことか。あの時の俺はわかっていなかった。
「やっぱりご主人様を喜ばせるくらいには、あれくらいの料理でないと駄目……。今の私では、到底届かないレベル……ですから」
「……」
すっかり自信喪失してしまった彼女を見て俺は困惑した。知らず知らずのうちに俺は少なからずクローラに喜びと同じだけの悲しみを与えてしまっていたらしい。さて、どうしたものやら。
「クローラ」
「はい?」
「確かにお前の料理は、あの店のと比べりゃ見た目も味も格下だ」
「……」
きゅっ、と下唇を噛んでクローラは俺の率直な言葉に耐える。
「でも、たった一つだけ勝ってる点がある」
「……気休めはおやめくださいませ。余計につらくなるだけです」
「まぁ聞けって」
すねたように言う女奴隷の頭をポンポンしながら、俺は続けた。
「お前の作ったものが店のものよりも勝ってる点……それは――」
「……」
「気持ち、だよ」
「きもち?」
そう、と俺は頷いてポケットに両手をつっ込みながら空を仰いだ。
「店の料理は俺達が金を払ってるから出てくる。それは当然といえば当然のこと。金さえ払えばどんな人にでも提供される。でも、クローラの料理は、俺のために、俺のためだけに作ったもの、そうだろ?」
「?……はい」
「それだよ」
「え?」
俺は照れくさくなる気持ちを抑えて、その先の台詞を一気に言った。
「キミが俺のために作ってくれた。その気持ちが、純粋に嬉しい」
「……!」
「店の料理はどこに行っても同じ味だけど、クローラの料理は……クローラが作ってくれなくちゃ味わえない。そういう特別なものを振る舞ってくれた方が、ずっと幸せだよ」
ぴた、とそこでクローラが足を止めた。
俺もワンテンポ遅れて一時停止し、彼女を振り返ろうとする。だが、それは失敗に終わった。
「ずるいです、ご主人様」
どん。
と音がしたかと思うと、背骨のあたりに軽い衝撃が響いた。
クローラが、俺の背中に頭を密着させてきていたのである。信じられない行動に一瞬ドキッとした俺である。
「そういう事言われたら……ますますご主人様のために頑張りたくなっちゃうじゃないですか」
「……ごめん」
「違うんです」
着ていた俺のシャツの裾を握りしめて、クローラは静かに否定した。
「私も嬉しいんです」
「何が?」
「ご主人様が……私の気持ちを嬉しいって思ってくださることが」
「……そっか」
言った後ではあるが、非常に恥ずかしい気持ちになってきた。いくら正直に告白したからって、ちょっと大胆に成りすぎたかな。
「だからクローラ……これからももっとがんばります」
「……うん。ありがとうね」
雨降って地固まる、とはこのことか。
互いに気持ちを確かめあったところで、一件落着だ。
「クローラ、そろそろ離れてよ。人目もあるしさ」
「申し訳ありませんご主人様……もう少しだけ、このままでいさせてください」
「え……」
「だって私……」
そっと俺の両肩に手を置くと、クローラは背伸びをして耳元に口を近づけてくると、小さな声で囁いた。
「今、とてもはしたない顔をしておりますので」
「っ!?」
それを聞いた途端に、俺の顔が綻びていくのがわかった。俺もちょろい男になっちまったもんだな。
ひとまずこの体勢は、このままにしておかざるを得ないか。
「わかった、じゃあ転ばないように気をつけろよ?」
「……はい、ご主人様」
こうして、クローラの初寿司屋の体験会はこれで幕を閉じたのである。
ただ単に食事に来たのとは違う。食文化について色々なことを考えさせられたし、勉強という意味でも決して来たことは無駄ではなかっただろう。それは着実にクローラの身についているはず。
これを機会にして、料理の腕を磨くモチベーションにしたり、この世界の文化のことについて一層深く考えるようになってくれることを俺は切に願うのだった。
さて、そろそろ締めくくるとしようか。
最後はもちろんあの言葉で。
食事が終わった時の挨拶。
美味しい料理を出してくれた料理人に、
その料理の食材を一生懸命作ってくれた農家や漁業の人達に。
感謝の気持ちを込めて。
ごちそうさまでした。
「ご主人様?」
「何?」
「そろそろツッコミ入れてもいいですか?」
「ダメ」
「でもこれだと普通にタイトル詐欺――」
「ダメ」
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