ラノベ化しません3
大人のロディは困った顔でも
いや、変な考えを起こしちゃダメでしょう。
ラノベのシルヴィエラはダメ、絶対!
だけどそれって、どういう意味だろう?
気を遣わないからこそ、ここで働きたいと願い出たのに。
「女官がそんなに嫌?」
「嫌というよりいきなり女官では、ひんしゅくを買うと申しますか……」
修道院にいた私でさえ「王族は全員美形だ」という噂を知っていた。独身の王子達の
前世に置き換えると、社長の知り合いだから入社試験はパス。新人で何もできないけど、主任からスタートでいいよね? といったところだろうか。
まあ、実際には就職したことがないので、よくわからないけれど。
「僕では君の助けにならない?」
「いいえ、十分助けていただいておりますわ。貴方はただ、いてくださるだけでいいんです」
王城に……だって王子だから。
採用はありがたいけど、下手に手を回されたら、職場の人間関係が気まずくなると思う。
王子が口元を手で
じっと見つめていたところ、彼は私の手を握り、甲に口づけた。
「わかったよ、それなら『女官見習い』でいい。女官長には話を通しておこう」
契約するたびこれだとしたら、女官希望者が殺到するのも納得できる。昔のロディを知る私からすれば、くすぐったいだけだけど。下働きにはなれなかったが、正式な女官ではない。見習いって、なんかいい響きだ! もちろんコネ採用であることは、内緒にするつもり。
そして今、私はさっぱりして気分がいい。
ローランド王子は「着替えたい」という私の話を覚えていて、早速叶えてくれたのだ。用意された湯につかり、身体の汚れを落とした私は、女官の制服に
ちなみに、はじめに渡されたのは、見たこともないほど豪華な淡い桃色のドレスだった。サイズはまあまあだけど、誰のものかもわからない。そのため、謹んでお断りさせていただいた。代わりにこうして、女官の制服を用意してもらったというわけだ。
けれど、ここにいる女官達も明日からは私の上司となる。自分から「見習いになりたい」と申告しておきながら、偉そうな態度はいただけない。そう思って手伝いを断り、自分一人で着替えている。
鏡で全身を確かめていたところ、ノックの後でローランド王子が入室してきた。彼は濃い青に金色の
――あれ、なんかダメだった?
「シルフィ。どんな恰好でも似合うけど、さすがにこれは……」
王子はまたもや困った表情だ。
女官は明日からなのにって、言いたいのかな?
「時間がない。そのままでいいから、こちらへ」
そう言われて、王子について行く。女官長に挨拶に行くのかと思いきや、通されたのはとんでもない場所だった。ここって――
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