ラチ男の災難 その2ー中
郵便局の建物は、駐車スペース側の1階にテナントが入っている。
その全面ガラス張りの大きな窓の向こう、商品棚の奥に店員のおばさんが立っていた。
そして、いつからコトの成り行きを見ていたのか、隣の車が持ち上がって驚いたようで、すぐに店から駆け出してきた。
もう私は、運転席側が塞がってしまって普通には降りられない状況で、シフトレバーを乗り越えて助手席側から降りようとしていた。そして、降りたところでおばさんがやってきて、青くなっている私を気づかってくれた。
「どうしたらいいんですかね」
と半泣き半笑いの私に、まずは警察に電話して…とおばさん。
そして、「ここねぇ、(スペースが)狭いのよぉ〜」と私を励まして(?)くれる。
てことは、おばさんは今までも何度かこういうことを見てきたのだろうか……!?
そんなことで、少しは気が晴れた。私だけじゃない、よね、と。
私が電話してる間、おばさんは郵便局の中へ行って、局員を連れてきた。局員が隣の車のナンバーを見て、中に戻って、持ち主に知らせてくれるらしい。
そして、しばらくしてまた戻ってきたけど、呼んでも誰も反応しないと言う。
私はさらに夫のM夫くんに電話して報告し、M夫くんも落ち着いた声で、このあとどうすべきかを指示してくれた。
あとは、警察と隣の車の人が来るのを待つばかりとなった。
その間、何人もの通行人たちが、「何があったん!?」って顔してジロジロと現場と私の顔を見比べながら通り過ぎて行く。
いいさらし者だった。
しかも、長い!! 待ってる時間が!!!
しばらくして、やっと警察が来た。
なのに、被害者の車の人は、全っ然現れないのだ。
警察がいろいろチェックして、本当にいつになったらこっちの人は来るんだろう?? って、警察の人も思うくらい、現れない。
「バックで入れないとダメでしょ」
「ほんと、ここ(地元)の人は頭から入れる人多いんだから」と呆れ顔の警官。
天地天命に誓って、私はいつもバックで入れてますけど?
だからこそ、前から入れるのに慣れてなくて、こうなったんですけど??
とは、今の立場では言えるわけもない。
神妙に、はい、はい、とご指導ご鞭撻を頂戴する私。
「どうしても前から入れる時は、もっとこう、大回りして入れないと、ねぇっ!」
だって、でっかいダンプがいたんだもん。。。
っていうか、もうこれがトラウマになって、今後、何があっても前から入れる気にはならんでしょうね。
とは、言えるわけもなく、また、はい、と答えながら、頭の中は「いったいいつになったらこっちの車の人来るんだろう」だった。
そして、もうやることも話すこともなくなったころ、やっと若い兄ちゃんが現れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます