ラチ男の災難 その2ー上
ラチ男の災難では、その2が一番重篤だろうと思う。
ラチ男は入院し、大々的に手術を受けることになったので。
もちろん、加害者はこのわたくしです。
車の操作で一番難易度が高いのは、何と言っても「駐車」。
いや、ただ駐めるだけならいいけど、時にはギリギリに「寄せて」、時には「すごく狭いスペースに」、時には「縦列に」、駐めなければならない。
ある時、私は一番大きな郵便局に行って、建物は大きいくせに収容台数が少なくてとても狭い駐車場にて、一番狭いスペースしか空いてなかったので、しかたなくそこに駐めることにした。
一番狭いスペースなんて、君子危うきに〜で、近寄らない方が身のためだったのに、なぜ駐めることにしたのか。それは、最初来た時はまったく空きがなく、私は一度敷地を出て、郵便局の区画をもう一回り走って、戻ってきたところだったからで、「空いている」というだけで吸い寄せられてしまった。。。
いつもはバックで駐めるように頑張るのだけど(その方が、出る時に周りの状況が変わっていても出しやすい)、後ろにも待ってる車がいてプレッシャーがかかってるうえに、前方の左手側にはデカいダンプが一時的に停まっていたために、バックで駐めるための切り返しスペースが少ししかなくてムリと思い、焦りまくって、生まれて初めて前から駐車枠に入れようとした。
そして、すべては私の車幅感覚が皆無なせいで、起こってしまったことだった。
ハンドルを回してラチ男を右に曲げながら進めた時、先に隣のスペースに駐まっていた車との距離が「近いな〜!?」とは思った。
そこで、いったん止まってラチ男を少し戻し、このわたくしごときが「微調整」をしようとしたのだ。
「微調整」ではダメだったのだった。大幅にやり直さなければ。
でも、後ろにはほかの車がいて、私がどくのを待っている。そのプレッシャーが(当時の私には)半端ない。
少しだけ戻して(なにしろダンプのせいで狭いスペースがさらに狭くなっている)、少しハンドルの回し方を変えて、もう一度前に進める。
「あれっ!? もっと近くなった?」
ヤバいヤバい…と思い、さらにもう一度戻して、性懲りもなく「微調整」。
これでどうだっっ、と進めてみたらば、かすかにミシミシという音が。
いやいや、気のせい気のせい。
これくらいなら、もう一度戻してやり直せば。。。
そして、戻そうとした時。
さらに、明らかなメリメリという音が。
私は、さっきからラチ男を隣の車から遠ざけようと意図していた。だから、どんどん近づくわけがないのだ、普通だったら。
これは何かの間違いだ、気のせいだ。
とにかく、ラチ男を戻さなければ。
冷たい汗をかきながら、焦りに焦ってバックさせると、今度はバキバキという音とともに、隣の車が持ち上がった。
何が起こっていたか、やっとわかった。
ラチ男の右サイドミラーが、隣の車にめり込んでいたのだった。。。
そして、こんな小さなサイドミラーごときで、隣の車は持ち上がり、見事に変形していった。
もうごまかしようがない。
これは、「事故」ってヤツだろうか!?
相手は止まっていて、こちらだけが勝手にやらかした。
だったら、器物損壊??
背中に冷たい汗を感じながら、しびれた頭でそんなことを考えていた。。。
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