ラチ男の災難 その1
私の運転のダメっぷりはどれだけ書いてもキリがないので、ここらで一度目先を変えて、これまでラチ男が被った災難というか、悲劇をいくつか書いておこうと思う。
とはいえ、結局は、運転がダメなことに起因するケースが多々なのだけど。
最初の事件は、大きな病院の駐車場に入るためのパーキングチケットの発券機でのこと。
私の苦手な操作のうち、上位に入るのが車を「寄せて停める」ということ。
道の左に寄って停める時など、歩道の縁石があれば、そこにできるだけ寄せるべきところ、私の場合は、けっこう距離が空いてしまうか、寄せ過ぎてラチ男の下腹部やタイヤ周りにガリガリと縁石がこすれるか、どっちかになってしまう。
それでも最近、時々うまくいくようになったけど、まだまだ「ゼッタイ」ではない。
で、病院の駐車場で。
遮断機付きの発券機、なるべく寄せて停まらないと、チケットに手が届かないというおマヌケな事態を招く。そこで、加減を見ながらそろそろと近づいたわたくし、「ここでいったん止まって、ハンドルをもう少し左に切った方がいいな」とブレーキを踏んだつもりが、アクセルを踏んでしまい、発券機がのっかってるコンクリートの台の上に、ラチ男を乗り上げてしまった!
しかし、あまりに高い台で、奥行きもほとんどなかったため、完全に乗り上げる前に、ラチ男は地球の引力で戻された。
慌てて車から下りて、発券機やラチ男にケガはないか見たのだけど、なにしろ発券機周りはそもそも傷だらけで(私のような人が少なからずいるらしい)、私のつけた傷があるのかどうかよくわからない。
だけど、監視カメラが作動していて、すべての傷を把握している敏腕警備員(んなもん、いるわけないと今はわかるけど)が新しい傷を発見してカメラをチェックして、私とラチ男の面が割れてもマズい。
駐車場に入ったあとで、私は律儀に病院の職員に事情を話した。
私の頭の中のストーリーでは、警備員が呼ばれて、発券機周りをいっしょにチェックしてくれて、もし新しい傷があったとしても「これくらいだったら、いいですよ」と、私の嫌疑が晴れてスッキリ、となるはずだった。
が、私の話を聞いた病院のスタッフは怪訝な顔をすると、「そういうことは警察に言ってください」と言うではないですか。
け、けいさつ!?
いきなり私、逮捕されちゃうヤツ!?
いや、今ならわかります。
明らかに事故を起こしたなら、何はなくとも「警察に連絡」なんだけど、この時の私はそれも知らず、ただ、あとからやり逃げ(?)したと言われたらイヤだし、このまま知らんぷりは気になるから、おたくの設備が大丈夫かこの場で確認してくださいっていうノリだったのだ。
それが通じない。
病院の用事が終わってからも、私は去りがたくウロウロし、途方に暮れていた。
すると、いかにも警察っぽい車がこちらに走ってきて、近くに停まったじゃありませんか。
天の助けと思って駆け寄ると、中からオバさんたちが出てきた。車体を見ると「交通安全指導車」と書いてある。警察官より好都合かも。
そう思って、事情を説明した。
すると、発券機を見にきてくれて、んーむ、これじゃあよくわからないし、かと言って重篤な傷もついてないようだから、このまま帰って大丈夫だと思いますよ、とのことだった。
というわけで、災難その1は、ラチ男が事なきを得た、というお話でした。私だけが、やけに疲れたけれど。
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