3章 この世界は馬鹿ばかり 〜その6〜
「....本当にありがとう!」
アルナさんは元気良く、俺達にお礼を言った。
アルナのお父さんが起きたのだ。
「本当に....すまなかった。人間を殺してしまったのは、私が悪い」
....皆助かったんだし、ハッピーエンドでしょ。
魔物に殺された人間は、全員眠っているそうだ。
でも、ハッピーエンドじゃないな。
サナの親は魔物のせいで死んだわけじゃない。
タミハだって、家族の暴力が原因で....
「すまないが、全員の記憶を消させてもらう。お前達で言う6月1日に記憶を戻し、全てをなかった事にする。そして、魔物と共存した記憶をお前達に与える」
「....は?どういう事だ?」
マークと皆は、流石に驚く。
「いわゆる記憶操作だ。お前達で言うオリジナル魔法だ」
え?....何で、共存の事もオリジナル魔法の事も知っているんだ?
というか、オリジナル魔法強過ぎない?何その世界ぶっ壊す魔法....
「プラインダル国王と話をした晩に、私は死んでしまった」
「そして、私が暴走して殺してしまったの」
....そう言う事か。魔王も共存を....
でも、記憶を消すなんて....
「何故、記憶を消すんだ?」
「魔物と共存するのは、今のままでは無理だ」
....俺は、それでも目指したいんだ。
「元々、プラインダル国王がここに来て、共存の道を目指していた日が6月1日なのだ。マウストがいなければ....」
『殺しちゃダメです!』
マウストが何してようが、それは復讐になる。やってはいけないんだ....
「でも、記憶は消させてもらう」
....俺の6月1日の記憶って、なくない?
「僕は勇者として召喚されました。どういう記憶を消されるんですか?」
「....この世界の記憶を全て消させてもらう」
....俺もこの世界の記憶を消されるのか?
「そして、6月1日に起きた時のようにお前達は目覚める。これで、共存した世界で元通りだ」
いや、元通りじゃない。....魔物によって死んでいない人達を無かった事に記憶を変えるつもりなんだろ?
全てがハッピーエンドになっているわけじゃない。
それは、偽りの世界....
「私達の記憶が....なくなる?」
皆の記憶....友達の記憶を全て消される....
それが、ハッピーエンド....
『殺された魔物はどうなるんですか?』
「それは、私の魔法で何とか出来る」
何とかって....まぁ、記憶操作できる魔王が言うんだ。そうなんだろうな。
「....僕は、記憶を消されてもいい」
マーク!?何でそんな事言えるんだ?
「僕は....共存出来るんだったら、それでいい。僕は何も出来ないしね」
....勇者として、何かやったわけでもない。それでも、俺の友達でいてくれた事で十分だ!
「私も賛成だ」
ガルさん....
「特殊部隊がなくなる世界....それが、私の目指していた夢だ。それが叶うんだ....」
特殊部隊なんて知らないけど、マーリンさんと結婚している世界じゃないかもしれないじゃないか!
「....ガル、貴方とまた会えるなら、私も賛成するわ」
....マーリンさんも、そんな確証ないじゃないか!
「....少し記憶がなくなるだけで、世界が救われるんですね」
チヒラさん....
「はぁ....なんか面倒くさいですね。早く、記憶消して下さいよ」
黄泉子さん?何で?
「私、記憶なんて....別に......」
強がりなだけで、本当は記憶を消して欲しくないんだろうな....
「....別に消してもいいけど、影人の記憶が消えるわけないから!」
ミラ?また、変な事を....
「影人は、私....私達の友達だもん!」
....ありがとう、ミラ。
「何泣きそうになってんのよ!ミラ!大丈....夫だって....」
ミルさんも、泣きそうになってるじゃないですか....
「私と影人さんが結婚した記憶にしてくれないですかね?」
....タミハ、馬鹿な事言って......
「俺は絶対に忘れないぞ!影人!」
忘れて欲しいって、言えないな....
「....私も忘れない」
起きてたの?サナ......
「....私は大丈夫ですから......」
那美子さん....
「....後は影人だけだ。どうなんだ?」
俺は....
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