3章 この世界は馬鹿ばかり 〜その3〜






....魔王城で、ゆっくりしてしまった。


何、やってんだろ....


「....お腹、空いたなぁ」


ザックさんの事は無視して....


『そろそろ、行きますか?』


「僕は少し寝られたので、他の人達は....」


「私は大丈夫だ」


ガルさん、俺に声をかけてくれてありがとうございました。


「私も行けるわよ」


マーリンさん、倒れた時に助けてくれてありがとうございました。


「私も大丈夫!影人!」


ミラ、知らなかった事を色々教えてくれて、ありがとう。


「....これが、最後の戦いですか......」


黄泉子さん、あの起きた時に助けてくれてありがとうございました。


「影人さんなら大丈夫ですよね?」


ミルさん、死にかけましたが、ありがとうございました。


「....影人さん。あの料理は、私の料理より....」


那美子さん、美味しい料理を作ってくれて、ありがとうございました。


「....影人、結婚の準備出来た?」


サナ、結婚しないけど、ありがとう。


「私と結婚する準備は出来ましたか?影人さん」


タミハ、準備しないけど、ありがとう。


「....お腹さすってくれてありがとう」


チヒラさん、ここは言うの逆ですが、ありがとうございました。


「僕を助けてくれて、ありがとう」


マーク、貧弱だけど、ありがとう。もう、逆なのは突っ込まないよ。


「俺は——」


国王、ありがとうございました。


皆、ありがとうございました。


魔王を元に戻して、魔物と共存する楽しい世界にするんだ。


『行きましょう。皆さん、魔王を戻しに』






魔物に魔王の場所を聞き、魔王がいる扉まで来た。


「....開けます」


マークが扉を開けようとしたら、聞いた事がある声が聞こえて来た。


「待って....勇者」


ん?....呪剣を渡して来た魔物だ!


「エイナさん?何でここに....」


「あ....それは偽名だから、本当はサキラって名前で....」


「何の用ですか?」


魔王戦前なのに、何をしに来たんだ?


まさか!魔王の刺客がサキラさんだったのか?


「....マウスト様の目的は、魔王になる事なの——」






「——俺が魔王になるには、勇者が魔王を倒して、疲れている所を狙う。これで、魔王の座は俺だ!魔王の料理に毒を仕込んで殺した甲斐がある!」


「あの父親を殺したのを人間だと嘘をつき、子供が魔王の代わりになった。そして、魔物を暴走させて、勇者を召喚させた。勇者が魔王を倒して俺が勇者を倒せば魔王になるのは俺だ——」






「——と説明口調で言っていたのを、隠れて聞いていたんです。魔王様は勘違いで暴走しているのですが、今は何を言っても聞いてくれる状況しゃないのです」


....そんなに、魔王になりたいのかよ。俺達は共存したいのに、マウストって奴は世界征服をしたいのか?


「......魔王様を止める方法はわからないです。殺さないで下さい!魔王様は——」


「わかっている。僕達は、魔王を元に戻しに来たんだ」


事情はわかったけど、マウストって奴は、今何処に......


『マウストって奴は、今何処に?』


「....あ!お前、あの時の......」


いや、今気付くの?影薄いキャラはまだ生きてたの?


「....マウスト様は、この部屋の何処かに隠れている可能性があります。気をつけて下さい」


....隠れられる程、広いんだな?


「....ありがとう。僕達は、必ず戻して帰ってきます」


「......カッコいいです、貧弱なのに」


え....まさか、魔物が勇者に惚れて?


....そんなわけないな。


「開けます....」


サキラの言葉を無視して、扉をマークが開けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る