3章 この世界は馬鹿ばかり 〜その2〜


『何が目的だ!』


「ですから、我々は魔王様を倒して欲しいのです」


....魔物が何言ってるの?王を倒して欲しい?


「それが、マウスト様の命令であります」


......マウスト様?誰だよ。


って、皆食べ始めてんじゃねぇよ!


「んー、美味しいよ!これ!」


いや、めっちゃ美味しそうに食べやがって....


死ぬかもしれないんだぞ?


「....あれ?力が......強くなった気がするわ!影人!」


え?....まさか、本当に強化魔法が?


「....これで、信じてくれましたか?」


『そのマウスト様って何が目的なんだ?』


「我々は、マウスト様の目的を知らされていません」


......何がしたいんだ?


とりあえず、害はないんだな。


さっきから、美味しそうに食べやがって......


俺も食べるぞ!


そうして、思考が馬鹿になった全員は、1時間程、食事戦を開始した。






「もう、食べれない....」


....ミラ、食い過ぎだ。俺もだけど。


辺りを見渡せば、空の皿が山のようになっている。


マジで、動けなくなるまで食べた感じ....


魔王城で何やってんの?俺達は。


「....そろそおぇーー」


馬鹿!ガルさん、何吐きそうになってんの?


....まさか!本当は、俺達を食べ過ぎで動けなくする為にいっぱい料理を....


くそ!何で気付かなかったんだ!


『早く、逃げるぞ!俺達は罠にかかった!』


苦しい....字を書くのも......


「....一旦、休憩したらどうです?ぜひ、客間へ......」






言われた通りに来てみたが、暮らしやすそうな部屋がある......


ここ、魔王城だよな?


「ここで暮らしたいな....」


....変な事言うな!マーク!ここは、魔物の王がいるんだぞ?お前勇者だろ!


まぁ、暮らしやすさで言ったら、ありになるけど。


「魔王って、そんなに悪いやつだとは思えないですね....」


....確かに、黄泉子さんの言う通りだ。何かがあって変わったのかもしれないな。


「....こんなに、ゆっくりしてて良いのか!皆!」


うるさい!ザックさんはお腹壊して何も食べてないからって、俺達の気持ちも知らないで....


「マジで、お腹痛いんだ。ゆっくりさせてくれ、ザックさん」


ガルさんの言う通りだ!


「影人。お腹さすって......」


何でだよ!


サナは、変な事ばっか言うな....


「私も....」


だから、やらないって......


「今は、誰かに助けを....」


え?何?....チヒラさん?


俺の腕を掴んで倒れてしまった。


え....本当に大丈夫?


「......お腹をさすってくれない?影人さん....」


涙目で俺に言ってくる、チヒラさんがおかしい。


「お願い、影人....」


いや、いきなり呼び捨て?


「....気持ち良い」


離れてくれそうにないので、チヒラさんのお腹をさすった。


....俺も、お腹痛いんだけど。


「....あ、ずるいわ!影人....私もやって......」


やめてくれ、ミラが言うと他の人達も....


「影人さん。....さすってあげましょうか?」


いや、それはやばいです。那美子さん。


「やばい、吐きそう......」


やめて!ミルさんが吐いてる姿なんて見たくない!


というか、何で吐きそうになるまで食べるんだよ!


「....休憩というか、寝たいな。僕は」


....魔王城で寝るとか言う勇者、見たくないよ。


今、見てるけど。

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