2章 俺だけが異世界に来たわけではなかった 〜その21〜






俺は、皆から逃げ、朝ご飯を食べてから、神に質問した事について思い出した。






——1つ目の質問は、元の世界に帰る方法だ。


『....貴方、知っているよね?別の世界の人を殺す事だよ』


じゃあ、2つ目だ。それ以外の方法はあるのか?


『....一応ある』


....3つ目はその方法を聞かない。あると知れただけ良い。


最後の質問は....


この世界についてだ!馬鹿が多いんだよ!友達以上を求める人が多過ぎなんだよ!おかしいだろ?


『......で、結局何が知りたいの?』


俺は、元の世界では全然話しかけられなかった。


俺は友達を作る事が出来なかった。


俺は、能力のおかげで友達ができたんだ。


だから、聞きたい。


俺は能力がなくてもこの世界で友達を作れたのか?


『....作れていたよ——』






....神の言葉を聞いて、安心した。


俺は、能力がなくても良かったんだ。


だけど、それは何も救えない俺だ。


前は、能力がなかったら、なんて考えていた。だけど、今を受け止めて思った。


薄井影人は、影の創造と透明化を持ち、この世界に来た。


それが、事実。


俺はもう、何かが違ったらなんて事を考えなくていいってわかったんだ。


皆が教えてくれた。


俺の周りには、友達がいる。






皆の準備が終わった。


これから、命がけの戦いなのにふざけてて、俺に平気で冗談を言うし、馬鹿な人が多い。


そんな楽しい俺の世界を続けていきたいんだ。


俺が友達にこだわる理由は、ただ楽しく過ごしたいからなんだ。


それ以上を望まない。誰かが悲しむんだ。


俺は人の気持ちを動かしたんだ。


こんな俺でも好きになってくれたんだ。


....俺は何も背負えない。


友達という立場なら、色々話したりできる。


....選択しないで、逃げてるだけかもしれない。


俺は人を好きになった事がない。


でも、今は皆が好きなんだ。この楽しい世界を選択して、壊さないようにする。


だから、友達が良いんだ。


背負う必要のない、この関係を......






『行きましょう、魔王を戻しに』






2章 完。

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