2章 俺だけが異世界に来たわけではなかった 〜その18〜


「....ライバルが増えても、私が影人さんと結婚するんです」


いや、結婚しないよ?


「タミハ、結婚するのは私よ」


だから、しないって。


「私が最初に会ったのよ?私に決まってるじゃない?」


だから......


「俺が影人と——」


「ホモザックは黙って」


「....私も、結婚を......」


....本当に、友達ってなんだろう。


「やっぱり、ハーレムしてるじゃん」


チヒラさん....勘違いなんです。本当に......


「私が、1番疲れるじゃん!瞬間移動も回数制限あるんだよ?」


....そうだったの?知らなかった......


「....やっぱり、勇者なんじゃないか?」


マークさん....貴方が勇者です。


「影人、今は楽しいか?」


ガルさん....俺は......


『楽しいですね。皆がいるから』


友達と一緒って、こんなに楽しい事だったんだな。


「....そうか。良かったな......」


....俺だけが楽しんでいる。


この世界の人間じゃない、何も背負っていない俺が。


「....そろそろ、行こうか」


マーリンさんが4人ずつ瞬間移動していった。






....気絶して、また来たようだ。


いるんだろ!ダミ声神!


『....その呼び方、貴方だけだよ?』


聞こえるな、あの声が。


俺が質問したい3つは——






....目が覚めた。ここは....あれ?誰もいない....


小屋で寝かされていたようだ。


とりあえず、外に出てみる。


外に出ると、誰もいなかった。


だけど、1つだけ紙があった。


その紙を見ると......


『喋ると殺すぞ』


....これ......俺は......


いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!






......また、目が覚めた。


ここはさっきと違って、宿か?


ミラ達が心配そうに俺をみていた。


あれは、夢?


「大丈夫?影人....汗が凄い......」


....確かに、汗が凄いな。


「悪い夢でも見たの?....というか、何回気絶するのよ....」


......人と喋れなくなった理由があの紙に書いてあった。


何でだよ....


『すみませんでした。もう、大丈夫です』


「もう夜だし、この村で1回泊まってから行くって、ガルが....」


『わかりました。部屋はどこで寝れば?』


「....ここだけど。貴方、朝も昼も夜も食べてないでしょ?私は行かないけど、今から食べに行って来れば?」


確かにお腹が空いている。....ものすごく。


『わかりました。では、1人で——』


「....私達を無視して行こうとしないでね?」


....ミラが怒ってる?何もしてないよね....


「....私が食べさせてあげる」


いや、サナ、自分で食べれるから......


「その仕事、私がやりますよ?」


タミハが何で、食べさせようとしてるんだ?


『自分で食べるから大丈夫』


「....本当ですか?顔色悪過ぎですが....」


....体調は良くないな。


魔王と話す前なのに、こんなのじゃダメだよな。


『大丈夫だから、早くご飯食べよう?』


俺は、早く忘れたい。


でも、忘れられない....それが、人間だから。






騒がしかったけど、ご飯は食べた。


少しだけ。


俺に無理矢理食わせようとしてきたりしたけど、拒否した。


....何で、今更あの事を......


「....そろそろ、話して下さい。夢で何かあったんですよね?」


ミルさんが勝手に入ってきた。


....鍵開け使わないでよ......


『大した事じゃないですよ』


「....それでも、話して下さい。それで、影人さんがスッキリするなら......」


....いつか、乗り越えなきゃいけないと思っていた。


それが、今なのかもしれない。

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