2章 俺だけが異世界に来たわけではなかった 〜その7〜


『それは、親友とかですか?』


「....結婚」


何でなの?俺の何処に惚れるのかがわからない。


『嫌です。友達で——』


「結婚結婚結婚結婚結婚結——」


それを使っても、ダメなものはダメだろ!


いきなり結婚とか、俺はそもそも17歳で無理だ!


....この世界は、何歳で結婚出来るのか知らないけど。


『落ち着いて。まず、何で俺と結婚なんて事言ったの?』


「....私の生きる意味を変えてくれた。復讐の道から外してくれた。生きる意味を....教えてくれた」


....復讐したいって言われたら、誰でも止めるだろ......


『そんな理由で結婚なんておかしいよ』


「....人を好きになる理由なんて、そんなもの。私は、貴方が好き」


俺は、人に好意なんて持たれた事がないから、どう受け止めればいいか、わからない。


『でも、結婚は考えさせてくれ。いきなりは流石に』


「....振られた」


泣きそうになっている。どうしよう......


『友達としてなら、一緒にいていいから!ただ、宿の部屋は流石に別にするけど』


男女が一緒にいるだけで、おかしいとは思うが....


「....わかった」


なんか残念そうにしているが、当たり前だな。


『そろそろ、飯を決めるか』


「わかった」


なんか、すぐに戻った気がする....






昼飯を食べ終わってすぐに宿の予約をした。


部屋がなくなるという心配をなくす為に。


「....一緒でもいいのに」


馬鹿は黙ってろ....






無事に予約が終わった。


次は、雑貨屋を目指すとするか。


「....服が欲しい」


『お金、返す気ないよね』


「うん。結婚したら、主婦を....」


馬鹿な事しか言わないな!


『このお金で買ってきて。俺は雑貨屋に用がある』


「....一緒がいい」


『早く行ってきて。宿屋集合な』


「....わかった」


また、残念そうにして、歩き始めた。


....少し歩いて、こっちを見るのを繰り返している。


構って欲しいの?


....無視しよう。


「....あっ......」






雑貨屋を見つけた。やっぱりでかいな。王都の店は....


ドアを開けようとしたら....


「....君!」


聞き覚えのある声が後ろから......


「やっぱり君か。その黒い服」


ガルさんがそこにいた。何故?


『何でここに?』


「君....いや、影人さんを探しに来たんだ」


何で俺を?


というか、あの手紙は届いたのか。名前を知っているということは。


『呼び捨てでいいですよ。何故、私を?』


「黄泉から聞いたんだ。....影人、オリジナル魔法を2つ持っているんだね?」


黄泉って黄泉子さんの事?オリジナル魔法を見せたけど、何故黄泉子さんがガルさんと....


いや、話はここでするべきじゃないな。ドアの前だし。


『場所を変えて話しましょう』


「....そうだな。邪魔になるし....場所は、あそこの飲食店でいいか」


さっき飯を食べたばっかだ....まぁ、話をするだけだし、いいか。


「マーリンと黄泉もいる。集めてくるから、待っていてくれ」


『私も、もう1人連れてきます』


「そうか....では、13:30ぐらいにあそこに」


『わかりました』


そう言って、ガルさんは行ってしまった。


色々、誤解を解かなければ....どうせ、勇者だなんだ言われそうだし......


とりあえず、サナを探しに行くか。






....何処だよ!服屋の何処を探してもいないじゃないか!


しかも、最後に行った服屋で、時計は13:10を指していた。


何処に....ん?あそこに....


路地裏っぽい所で、戦っている姿が見える。


どうせ、喧嘩かなんか....


じゃねぇだろ!サナじゃねぇか!


俺は、すぐに路地裏へ向かった。






「おい!何で....」


「私に勝つ事は出来ない。私も勝てないけど....」


「何だそのオリジナル!使えねぇじゃねぇか!くそ!覚えてろよ!」


俺が来た時には、もう喧嘩が終わっていた。


「....貴方、何で?」


『何で喧嘩してた?』


「....この人が」


そう言って、サナの指を指した方向には、縮こまっている人がいた。


「....も、もう終わったんですか?」


「うん」


震えながら、立ち上がった。


服などが、ボロボロになっていて、痩せ細っている。


....俺の想像する奴隷のように。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る