2章 俺だけが異世界に来たわけではなかった 〜その5〜






....着いた。入り口に。


流石に、審査官はいるな。頼む、魔物来るのやめてね。


後は、サナがミスをしなければ......


『この能力は、1分くらい経つと切れてしまうから、注意しろよ』


「わかった」


....よし。


「はい、次....上?何が......」


今だ!


俺は透明化を使って入れた。


サナは、大丈夫か?


透明化が切れてから、周りを見た。


....いたわ。めっちゃ人がいて、途中で能力が切れてバレてる......


本当に馬鹿だよな!


俺は、サナの手を掴み、走って何処かへ逃げた。






広過ぎだろ....適当に走って、今回は靴に命令してないから......疲れた....マジで......


とりあえず、路地っぽい所にきたが....


「....ありがとう」


どうでもいい....何処に......ってあそこに城みたいなのがあるわ......


「透明化で入るの?王城に」


『今度は透明化が切れる前に門を開けて、すぐ近くに集合しよう。また、使う時に合図する』


「わかった」


また、変な所で透明化が切れて、バレたらやばいからな。






ここが、王城という所か。でかいな....


「....王城は、原則立ち入り禁止だけど....また、完全犯罪をやるの?」


その言い方をやめて欲しい。


....だが、犯罪だな。勝手に家に入るようなものだし。


『国王に直接言うからな。最悪、創造を使って脅すかも』


めっちゃ、悪役じゃない?俺。


....でも、俺は奴隷を助けたい。人は絶対に平等であるべきだ。


「わかった。....でも、兵士が門の前にいる」


確かに、門の左右に2人、強そうな兵士がいる。


大きな門で、透明化を使って開けようとしても、すぐには開かなそう。


....2人を動けなくするしかなさそうだ。


最初は、人に危害を加えないで行こうと思ったが、面倒くさくなった。


別に、殺すわけじゃないから大丈夫だよね?


「どうするの?」


『兵士を創造で縛って動けなくする。サナは、やらなくてもいいよ』


「やる。私も」


....まぁ、その方が楽だけど、何故、いきなり積極的になったのか、わからない。


本当にこの人、わからない人だ....






「....これで、いい?」


俺と同じく、ぐるぐる巻きになっていた。


....そういう所まで、真似して欲しくないな......


「....開ける?」


『うん』


少し力がいるけど、門が開いた。


中には、人が見当たらない。


「国王は、玉座にいると思う」


『探すか。効率良く別行動にしよう』


この紙を見せたら、くしゃくしゃにしやがった。どっかの誰かみたいに。


「一緒に行く」


『でも、別行動——』


早くない?紙をくしゃくしゃにするの。


「一緒に行く。....一緒に行く一緒に行く一緒に行く一緒に——」


『わかったから!』


....怖い、本当に。






色々探して、1番ドア....っていうか、扉が大きい所に来た。


「多分、ここに玉座がある」


『適当に言ってるだろ』


....国王ってどんな人なんだろう。お爺さんだと俺は思っているが....


まぁ、どうでもいいか。扉を開けよう......






「——それで、頼む」


「はい。勇者の件は....」


「何とかしておく。今日はとりあえず寝る——」






開いた....


ん?あの玉座に座っている高校生っぽい人がまさか......


「貴様!この城にどうやって....」


「待て、クラーマ。....お前、もしかして2人目の召喚勇者か?」


文字を書いて....


「貴様!まさか、筆談しようとしているのか?無礼にも程が....」


やばい、久しぶりにそんな事言われたよ。


こういう事を言われないで、今まで話せてたけど、今回はそう上手くいかないみたいだ。


「良いよ、別に」


本当に?優しい世界だ....


「しかし、国王......」


マジで、この人が国王じゃん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る