2章 俺だけが異世界に来たわけではなかった 〜その3〜


『変な事言うのをやめて下さい。もう寝ます』


「....わかった」


そう言うと、馬鹿は寝た。


俺も寝るか....






「——ガル、どう思う?もうイルスタンにいないんじゃない?」


「そうだな....チヒラに頼みに行くか?あいつなら、オリジナル魔法で見つけてくれるはず......」


「ガルさん....修業で、オリジナル魔法を2つも使えるようになるんですか?」


「何だ?黄泉、いきなり....普通、オリジナル魔法を覚えるのも運みたいなものだし、2つなんて、勇者しか不可能じゃないか?」


「ですよね....。でも、2つオリジナル魔法を使っている人、見たんですよね......」


「は?それって....」


「....ん?何だ?黒い変な奴が手紙を....」


「え?あの分身は......」


「黒い服、何処かで......」


「....凄い人だったんだな。やっぱり......」


「え?どう言う事?その手紙に何が......」


『ガルさん、マーリンさんへ


言葉で伝えられなくてすみません。分身は、私のオリジナル魔法です。気にしなくていいです。言う事は1つ。


ありがとうございました。


影人』


「この字......そう言う事ね?」


「黄泉、この人と何かあったのか?」


「ノスタで——」






「——国王、勇者の件はどうしますか?」


「そうだな....。召喚勇者が死んで、2人目の召喚勇者を召喚された可能性がある、とアルベルトから聞いたが、どこの国で召喚したんだ?....前に、ベルベストに勇者がいたと聞いたが......勝手に召喚するのは、違反なはず......」


「国王!会議の準備が整いました」


「わかった。今すぐに——」






....ダメだろ!一緒に部屋にいる事が!


俺は、少し寝てから思った。


馬鹿なのは俺だ。友達でも、結局は他人同士。


......でも、眠い。


俺は、結局寝ようとしたが......


「....トイレ、何処?」


この馬鹿も起きやがった。


まぁ、いいや。無視して寝る....


「何処?....何処何処何処何処何処何処何——」


怖い!


うるさいし、寝れないから....


『ドア開けて、右に行けばわかりますよ』


「....一緒に——」


『行きません』


少し間があったら、何言うのかわかりきっていた。


子供じゃねぇだろ?ミラじゃあるまいし......


「....じゃあ、ここで......」


『行きます』


....馬鹿だ。本当に......






「....ありがとう」


俺は、行きたくて行ったわけではないぞ。馬鹿みたいなこと言うからだ!






部屋に戻って来た。


早く、寝よう......


「私の家族の話....聞きたい?」


何だ?いきなり、面倒くさいな......


『結構です。おやすみなさい』


「....私は、サナ・レイリー」


名前をいきなり名乗ったり....本当に、意味がわからない。


無視しよう......






「....おはよう。貴方」


....眠い。今、何時......


時計を見ると、5:00を指していた。


....早過ぎだろ!ミラと泊まって、起きた時は7:00ぐらいだったぞ?何でこんなに早く......


....とりあえず、名前ぐらいは名乗っておくか。貴方って言われ慣れてないからな。喋りかけられないからな!


『私は、薄井影人です。貴方と呼ぶのをやめて下さい』


「....私は、貴方って呼ぶ。貴方は私をハニーと——」


『サナさんと呼びますね』


馬鹿みたいな事しか言わないな!


「....貴方、さん付けをやめて。私は、20歳よ」


....さん付けするだろ。歳上だとわかったら、尚更......


『わかりました。ですが、本当について行くつもりですか?』


「敬語もやめて。....私は、帰る所なんてないの。王都に用事もあるし......」


『用事があるんだったら、何でついて来るの?1人で用事に行けば良いんじゃないのか?』


「私では、勝てない。貴方の力が必要なの」


....勝てないって、戦うの?用事は......


「貴方に頼みがある。貴方の用事が終わったらでいいから....王都の魔法研究所に復讐したいから、力を貸して」


は?何で魔法研究所なんて所に......


....まさか!


『研究員の中に、リーリアって人はいた?』


「....その人は、研究のミスで死んだ人。何で知ってるの?」


....やっぱりか。魔法研究で思い出したよ。


『話を聞いただけです』


「....そう。....その人のお陰で、研究員はその人以外全員助かった。....研究員は」


『その研究か何かで、復讐したい事が?』


「....私のお父さんとお母さんは、その研究で死んだの」

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