2章 俺だけが異世界に来たわけではなかった
2章 俺だけが異世界に来たわけではなかった 〜その1〜
俺は今、これが夢だと思いたい。何故なら......
雑貨屋がやってないからだ!
紙があと2枚だぞ!?これから、話しかけられたら、どうするんだよ!無視するしか、選択肢がないじゃないか!
雑貨屋は、この街に1つしかないらしい。なので、絶望している。
....よく考えたら、話しかけられなきゃ良いんだ。俺は、影が薄い。
....大丈夫なはずだ。
宿屋とかお店ならジェスチャーでなんとかできるだろう。
2枚のうち、1枚はあれで使うとして1枚で王都まで....
まぁ、大丈夫だろうな。それより、この紙に......
よし、出来たな。後は分身が届けてくれるだろう。....そういえば、ずっと晴れだな。雨とか降ったら紙が濡れる可能性があるな。
影をカバーのようにして、紙を守るか。
....これで、大丈夫か。
命令して、分身はイルスタンに向かった。
俺は、王都までの行き先を那美子さんに聞いて、靴に命令した。
....ズル過ぎるね、この能力。
ご飯は、昼と夜の分まで貰ってしまった。その時は、流石に断ろうとしたけど......
「....すみませんでした。私が作ったおにぎりなんて......」
なんて言われたら貰わざるを得ないよね。
途中で泊まれる村なども教えてもらった。本当は王都まで1週間ぐらいらしいが、俺の予定は、明日の夜までに王都に行きたい。
....そんなに早く行けるわけないと最初は思っていた。
俺の能力....自分の身長ぐらいまでの大きさならほぼ何でも創造できるわけですよ。
なので、空飛んだりで、簡単に人知を超えられる能力なんだよね....
ミルさんは、出来るだけ能力を見せない方が、召喚勇者と勘違いされなくて良いと言っていた。
確かにその通りだが、俺は身分証を持ってないので、結局使う。だが、少しは抑えて使おう......
——まぁ、少しだけだけど。
俺は、王都の近くの村まで来た。
....何で?
今は夜なので、村の宿に泊まっている。ジェスチャー難しかったぞ、馬鹿野郎。紙めっちゃ必要じゃねぇか。
....そんな事じゃない。俺が何故、こんなに早く来たのか、それは——
....暇だ。この歩いている時間......
「......その速さ、貴方のオリジナル?」
俺の速さと一緒の速さで歩く、片目が青色、もう片方が黒色の厨二病っぽい女の人が話しかけて来た。
いきなり、意味がわからないが......
話しかけて来たら、やる事は、1つ!
逃げる!
....何でだよ!速さを上げたのに、何で同じ速さでついてくるんだよ!
「....何で無視?」
うるさい!なら、俺はもっと速く——
それで、夜になったので近くにあった村に来たけど、那美子さんに聞いた名前の村と同じで、ここが王都に近い村だと気付いた。
「開けて。私は貴方に話がある」
ここはプラナ村という村で、王都から近いお陰で色々、物が揃っている村だ。ベッドも良くて、寝やすい。
「あのオリジナル魔法について、教えて」
朝ご飯も出してくれるらしいし......1泊40エンで....安くて......
「貴方は、速さも変えられて——」
うるさい!何なんだ?俺が受付をしていた時も、後ろについて来やがって......
ずっとついてくる意味がわからない。
助けて!ベッドは良いのに、寝れないじゃん......
「何で無視?貴方は聞いているはず....」
....そろそろ、イライラして来たよ。いや、とっくにイライラしていたかな......
俺は、ドアを開けた。何故なら....
「....やっと、開けてくれた。話は——」
俺がドアを開けた理由は、雑貨屋に行くためだ。
....面倒だが、靴に命令して雑貨屋に行く。
「どこに行くの?」
無視して、俺は受付に鍵を渡して外に出た。
「あの、お客様?この鍵は......え?お客様?」
....あった!雑貨屋が!そして、まだ開店している!
俺は、すぐに入り、紙を探した。
見つけたが、200枚18エン....マーリンさんの雑貨屋より安いけど、王都から近いからだろうな。
これを、買って......
俺は宿に戻り、受付の人に紙で説明した。
『さっきはすみません。紙がないと私は話せないので。もう1度払えば、部屋に戻れますか?』
「....そうですか。なら、払わなくて良いですよ」
え、マジで?優し過ぎるよ?この世界....
そんな事言ったら、泊まり放題じゃね?
....そんな事はしないけど。
後は、厨二病の馬鹿を......
「....やっと来た。何で無視して——」
『部屋で話を聞きます。どうぞ』
俺はドアを開けた。
ドアの前でずっと立ってるもんな。とりあえず座らせて....
「部屋に連れ込んで何を——」
『入らないんですね。さようなら』
「....入る」
優しい人と馬鹿な人の差がよくわかるよ、本当に。
よく見たら、目が両目黒色になっている....。カラーコンタクトみたいなのとか?
まぁ、どうでもいいな。とりあえず......
『何でついてくるんですか?』
まずは、敵かどうかを....
「貴方のオリジナルの事を聞きたくて」
『私のオリジナル魔法は、ただの身体強化の上位版みたいなものです。それだけを聞きに?』
「....そう。わかった」
そう言うと、出て行った。
....え?
....頭が痛くなる。何でそんな事でついて来て、俺はここまで来たんだ......
もう考えるのは、やめよう。明日は、国王に話を....いや、ぶん殴るのは最終手段だから......
俺は、ベッドで横になり、目を閉じた。
ただ、閉じただけだった。
『村の人達は、隠れて下さい!魔物がこの村に来ています。冒険者など、戦える人は今すぐ、戦って下さい!』
適当なアナウンスだな......
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます