1章 異世界でも人と喋れない 〜その24〜






......目が覚めた。


そして、またよくわからない状況が今、起きている。


左隣にミラ、右隣にミルさん、その隣に那美子さん。


....ね?よくわからないでしょ?


「....ふぁ〜あ。....あ、おはようございます、影人さん」


ミルさんが起きた。とりあえず、紙を取って聞いた。


....紙が少なくなって来たな。


『何故、隣に?』


「....私は、影人さんが......好きになりました。だから、もうミラの好きにはさせません!」


そう言って、いきなり抱きついて来た。....俺は頭の整理がつかなくなっていた。


いきなり何言っているんだ?俺の何処が良いと言うんだ?喋れないし、暗殺者だぞ?格好が......


「....あ。影人....お姉ちゃんと何やってるの?影人〜!」


ミラも抱きついて来た。....マジで意味がわかんないよ!


とりあえず俺は、離れようと......


「....逃がさない!」


抱きついている2人が俺を取り押さえる。


やばい、動けない....誰か......


「那美....ただいま......って、何?」






『黄泉子さん、本当にありがとうございました』


今、俺は朝ご飯を食べている最中である。


黄泉子さんに助けられ、那美子さんが朝ご飯を作ってくれた。


何故、俺の隣に寝ていたのかを聞いたら......






「——お姉ちゃん、トイレ......」


「......」


「....お姉ちゃん!」


「....何?トイレは、廊下出て....」


「一緒に来て!」


「....子供なんだから......」






「....付いて来てくれて、ありがとう、お姉ちゃん」


「....姉だからね」


「そういえば、影人は何処で寝てるんだろう?」


「....何するつもり?」


「....夜這——」


「痛い!....何でよ?」


「....何で影人さんの事、好きになったの?」


「え?....それは......優しかったから......」


「....単純ね」


「......だって!私に——」


「単純なのは、私もだけど......」


「....え?それって......」


「....私も、好きになってしまったの。だって、他人の私に対して、泣くのを我慢しなくてもいいって....私はミラの前で泣いちゃいけないと思ってたのに......」


「それはもういいよ。私の前で泣いたお姉ちゃん、初めて見れて良かったし」


「....泣いた私、変な顔してた?」


「変じゃなかったよ。むしろ、泣いていたお姉ちゃんは可愛かったよ....」


「そんなわけ無いでしょ。....那美子に聞けば、影人さんの場所、わかるかもよ?」


「え?....行くの?」


「何、今更弱気になってるのよ。グイグイ行かないと私に取られちゃうよ?」


「....弱気になんてなってないもん!行くよ!」


「決まりね、那美子の部屋の場所はわかるから......」






「え?何で....影人と那美子さんが......」


「....これは、良くないね。私は......」


「あっ!お姉ちゃんずるい!私も隣に——」






....という事らしい。那美子さんがいた理由は、客の為の部屋を片付けていなくて、仕方なく自分の部屋を....


って、馬鹿なの?那美子さんって......


「いいわよ、那美子って、馬鹿!だし....。それに、私は貴方に聞きたい事がある......」


....そんなに馬鹿って所を強調しなくても......


まぁ、俺に聞くことだ、最近の魔物は何故街に来るのか、とかだろ......


『出来る限り、答えますよ』






「....ねぇ、お姉ちゃん。黄泉子さんといっぱい話してるけど、どう思う?」


「そんなの、妬くに決まってるじゃない。....でも、いちゃいちゃさせないように、って黄泉子に言われて、離れて食べているのよ?だから、早く食べれば影人さんの所に....」


「頭良いね!お姉ちゃんは....早く、食べる!....熱い!」


「馬鹿ね....そんなに急いで食べるから......」






....味噌汁みたいなのが美味しい。朝にこんなに美味しい物を食べられるなんて......


「では、質問します。貴方は召喚勇者ですか?」


ブーーーー


....吐いた。


いきなり、何言ってるの?....そういえば、黄泉子さんも俺の能力を見ていたな。オリジナル魔法を2つ使えるのは、勇者ぐらいしかいないんだっけ?


『違います!修業してたら、2つ使えるようになったんです』


「そんなわけ....貴方!どれだけ修業を......」


何だ?いきなり....


『ずっとです。喋れなくなるぐらいまで』


「そんな....。でも....強過ぎるオリジナル魔法を、2つなんておかしい....」


『そろそろご飯食べますね』


「あっ....すみませんでした。どうぞ....」


よし、俺の朝ご飯を再開....


「影人さん、これは、残してるんですか?ダメですよ?食べなきゃ....」


違う!俺はまだ......


「ふぁっふぇ!(待って!)」


食べ終えてから話せよ....


まぁ、いいや。無視して食べよう......






「....そろそろ、私は仕事に戻ります」


そして、黄泉子さんは席を立った。


俺は、朝ご飯を食べ終わり、考えていた事をまとめた。

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