1章 異世界でも人と喋れない 〜その23〜






とりあえずまとめてみると、奴隷商のオリジナル魔法は特定の場所に一瞬で移動できる魔法らしい。


それで、特定の場所が家という事だが、すぐ帰るだけの魔法ってそんなに使えるか?


まぁ、奴隷を牢屋に入れるのには、便利だろう。逃げる事が出来ないから......


ミルさんは、奴隷にされてから、首輪で繋がれて、服をぼろぼろの服に着替えさせられ、そのまま牢屋に入ったらしい。


そして、アナウンスが流れて奴隷商が避難した間に......


オリジナル魔法を使い、牢屋を出た。


ミルさんのオリジナル魔法は鍵開けらしい。


何でも開ける事が出来るけど、この魔法はバレてはいけないと思って、あまり使わないようにしていた、と言っていた。


誰かに魔法を悪用されたりしないようにするミルさんの考えは、尊敬するよ。


首輪を壊したり何かしたら、奴隷商はすぐにわかると言っていたので、今逃げてもダメだと思ったミルさんは、殺そうと、部屋で待っていたらしい。


針は、部屋にあったらしいが......


その針は、契約魔法の為に使う針らしい。






「あの時はちゃんと言えずにすみませんでした!本当に申し訳ないです。助けて貰って....命の恩人に針を......」


『色々話して貰ったし、別に気にしてないですよ』


「......そうですか。....では、今度は貴方のお話を......」


あ....やばい......そういえば、目の前で能力使ってたわ......


「その話!私も聞く!」


何で起きているんだ....くそ、まだミルさんなら話がわかるのに、聞いてはいけないやつが......


「....あの魔法、オリジナルですね?」


「でも、2つのオリジナル魔法を使えるのって......」


「召喚勇者ぐらいしか、普通使えないはずですが....貴方は一体何者なんですか?」


待て。勇者がいるのは聞いたが、召喚勇者?


....どうゆう事だ?


『その前に、召喚勇者とは?』


「はぁ!?いくら修業してたからといって、そのくらい知ってるでしょ?」


『いや、修業のせいで言語はわかるけど、この世界については何も知らないんだ。その修業で、喋れなくなったんだ。今まで、言えなくてごめん』


と嘘をついてみました。


だって、修業というワードが使いやすく、説明するには、1番楽に言い訳できるんだもの。


「だから....オリジナル魔法を2つも......色々、頑張っていたんだね......」


「....では、召喚勇者について......」






....やばい話を聞いてしまった。


本来、召喚勇者というものは、召喚師という職の人達が大量の魔力を消費する事で別の世界から強いオリジナル魔法を覚えている勇者を召喚するらしい。


そして、オリジナル魔法を2つ使える代わりに他の魔法が使えないらしい。


今も、勇者は生きていて、旅をしているらしいが....


誰の事言っているんだろう?....え?俺は森から来たので、人違いですよ。決して、勇者ではないです。


....絶対違うから!


「....本当に、何も知らないのね」


俺がもし、勇者だったら......いやいや、関係ない話だ!大丈夫。


『もう寝ましょう。おやすみなさい』


「....え?何?いきなり......」


俺は、お茶を持ってきて、外で話を聞いていた那美子さんに寝る場所がないか聞いて、部屋を借りてすぐに寝た....


早く、忘れよう......






「....私達も寝ましょうか」


「お姉ちゃんと一緒に寝る!」


「もう、子供なんだから....」






「本当に....お姉ちゃんが......。やっと......平和な私の世界になって......」


「....泣かないでよ......。私も....一生奴隷のままだと思ってた......。あの人が......」






ただ、友達を作りたいだけと思ってた。


....俺は、やらなくてはいけないのかもしれない。


だけど、今は......






「——無事でしたか!黄泉子さん....って、魔物は......」


「もう、終わりましたよ。多分、魔物を倒した人は召喚勇者です」


「....え?勇者は今、ベルベストだと聞いていますが......まさか....」


「....私は確かに2つのオリジナル魔法を見たのですが......」


「....一応その人の名前を知っていますか?」


「影人って言ってましたね。服は真っ黒で......」


「真っ黒の服......何処かで——」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る