1章 異世界でも人と喋れない 〜その21〜






急いでいる理由はわからんが、急いで階段を上る。


そして、上った先には、人がいた。


まさか....奴隷商?


いや、おかしい。アナウンスがあってすぐだぞ?


まさか....マーリンさんのオリジナルと同じようなオリジナルの魔法で、移動をしたのか?


「おやおや....売り物が逃げて、一体何処へ行くつもりですか?それに、首輪は......」


やっぱり奴隷商か....。悪人って、顔してるな。


こいつが来るからお姉さんは、早く逃げたかったのか......


「....お姉ちゃんは私が助ける!もう....何も出来なかったあの時とは違う!」


おい....ミラ、足が震えてるぞ。


俺は、ミラに色々と助けられたんだ......今だけは、俺にカッコつけさせてくれ。


「オリジナル魔法を持っている私に君のような子供が勝てるとでも?」


俺も、一応二種類あるけどね。


....さて、流石に殺しはしないけど、奴隷と同じ生活を送らせてやるよ。俺が......






いや、馬鹿だ。俺は。


....そんな事をして何になる?


俺がやる事は、やらなければいけない事は......


『二度と俺達に関わらないで下さい、言う事はそれだけです』


「....いや、私の売り物に関わって来ているのは、貴方達でしょう。早く、それを返して欲しいのですが......」


....今、それって言ったか?売り物とか、それって言ったり......


人を何だと思っている!


少なくとも、あまり人に関わらなかった生活をして来た俺でも人の気持ちは、顔や態度でわかる。


....ミラのお姉さんは、売り物って言われるだけで反応した。


それが許せない。俺は......それを許したこの国を......


俺がやらなければならない事は、国王をぶん殴って、奴隷というものをなくす!


....奴隷の生きる場所がなくなる?


作るんだよ....そんなの。


俺は....友達が出来たら、何をするのか......


人を助ける能力があって、ただ遊んで暮らすなんて事、奴隷の差別とかの話を聞いて、放っておけるわけないだろ。


こんな....世界じゃ......ダメだ!


俺は、勇者という主人公じゃなくても、誰かを幸せにだって、出来ると思っている。影で動いていて、何が悪い!


「聞いていますか?....早く......ん?いきなり消えて、どんな魔法を使ったんですか!?早く!出て来なさい!」


俺は、透明化で奴隷商の前に来て、創造した。紐を。


....やる事は1つだ。


「ん?いきなり、何を....!」






....出来た。ミルとお姉さんは......


「....で、何してたの?」


『縛って動けないようにしたんだが』


「その....縛り方が......」


確かに、ぐちゃぐちゃに縛ったが、逃げるだけだけの時間を稼ぐだけだしな。


「....ぐ....ぐが....」


まぁ、口もテープを創造して、閉じといたけど......まぁ、誰か来るだろ。






『とりあえず、お腹空いたから飯食べたい。何処か、すぐに食べ物を出してくれる店を探そう』


「それなら、私の学校の友達がここに住んでいるから、事情を話せば、多分大丈夫だと思います」


「流石はお姉ちゃん!知り合いが多いね!」


....今は何でもいい。早く、食べたい......


『そこに行きましょう。その人の名前を教えて下さい』


「え?はぁ....。月宮那美子という名前ですが......」


「え?まさかの黄泉子さんと同じ苗字......」


確かに、月宮って言ってたな。


「....双子よ。まぁ、黄泉子さんとはあまり話してないけど......」


凄い偶然だな。でも、俺は早く......


『そんな話はどうでもいいんです!この靴履いて下さい』


「あ....。また、使うの?」


俺は、お姉さんが靴を履いたら、すぐに月宮家の場所へ行く命令をした。


ミラが嫌がっていた気がしたが、気にしない、気にしない。


「え....何?足が....勝手に......」


「お姉ちゃん、頑張れ」


いや、別に疲れるわけじゃないのに、頑張るとかないだろ......






着いた。....ここは、日本の屋敷っぽい家だな。和室っぽい所もあるし......


「こんなにも、よくわからない体験をしたのは、初めてですよ」


「私は、もう慣れたよ。お姉ちゃん....」


『とりあえず、中に入らせてもらっても?』


「あぁ、そうですね。先に入って説明します。」






そうして、俺とミラの2人きりになったわけだが......


『ミラのお姉さんを助けたから、友達だな』


「友達は、約束とかでなるものじゃないわよ」


え?....でも、必ず友達になるって......


「....冗談よ、私は影人と友達。というか、婚約者ね」


違うわ!何処で結婚の約束なんてしたんだ?


『違うので、それは置いといて、俺は初めて友達が出来ました』


「え....友達いなかったの?」


そんな引き気味で言わなくても....


酷い....が、何にしても俺はこの世界で....友達が作れたんだ!


「ミラ、影人さん、入っても良いと....何の話を?」


「私が影人の初めての人になった話を....」


おい!間違ってはないが、言い方!


お姉さんが勘違いを......


「....話は、部屋で聞きます」


やばい。顔が怒ってる!


誤解を解かなきゃ......


「早く行きましょ?影人」


なんか嬉しそうに言ってるが、そんなに俺に嫌がらせしたいのかよ....


まぁ、今はご飯を食べてから話を......

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る