1章 異世界でも人と喋れない 〜その19〜
後は、魔法と魔物についてだ。魔物は元々、人を襲う事はなかったらしい。
でも、文明が進化し続けていくうちに、いつからか魔物は人を襲うようになり、人達は魔法や武器で対抗した。
それから、冒険者という職業が作られたり、勇者もいるらしい。魔王もいて、それが原因で、襲うようになったとか。
勇者とか魔王とか、RPGとかでありそうな設定だな。
後は、街に結界のようなものを張って魔法を使えなくしている。魔法で犯罪などを起こさないようにしている。
....で、今に至るという事らしい。
そして、人は必ず1つは魔法を覚えるらしい。....必ず1つ!
....まぁ、強過ぎる能力があるから、別に覚えられなくてもいいか、怪我しなくて済むし。
魔法は、炎とか色々出すものや攻撃力上昇などの強化するものなど、様々らしい。想像力によって魔法が使えるようになってくるらしいが、俺には関係ないな。
オリジナルの魔法もあり、この世界の10%の人しか特別な魔法が使えないらしい。
マーリンさんの瞬間移動も多分オリジナルだな。俺は能力について聞かれたら、とりあえずオリジナルって答えよう......
魔力というものもあり、魔力がどの位減ったかなど、ゲームのようにわかるわけではなく、慣れで何となくわかるのだとか。
....俺には、関係のない話だ。
色々話をしていると、遠くに街らしきものが見える。昼飯を食べずにいたから、お腹が空いた......
早く、行こう......
「ご飯食べたい....影人、奢って?」
『あ、奢るで思い出した。ミラのお姉さんを助ける方法だけど、金を払って助けるか、奴隷商をぶっ飛ばす。どっちが良い?』
「いきなり、ぶっ飛ばすとか......というか、奴隷を買う大金、持ってるの?」
そう言われたので、バッグからチップの袋を出した。
「......何でこんなにあるのよ。お腹いっぱい食べてやるんだから......」
いや、マジでやめてくれ、それは。
『お姉さんと一緒にご飯食べたいだろ?』
「....そうだった、お姉ちゃんとご飯食べる!」
子供っぽい口調で言うが、ミルは、お姉さんがここにいるの知らないだろ。
まぁ、助けてハッピーエンドが良いけど......
「あれ?......人がいない。ノスタって、割と人気で、普段は入る為に結構並ぶんだけど......」
確かに遠くから見ても、人が誰もいない。審査官も。....まさか、な。
「やっぱり人がいない....。勝手に入っていいのかな?」
『この感じ、街の人達は避難しているのかな?』
「え....じゃあ、どうするの?これから......」
『ミラは、避難していてくれ』
「影人は何処に行こうとしているの?....嫌よ!もう私は、1人は....もう......嫌なの......」
....俺は、魔物を倒す能力がある。
俺は今、人を助けないで、何の為に能力を使う?....何でもいい、理由なんて......
友達を作りたい。それだけ。
ただそれだけの理由で、俺はこの街を......ミラもミラのお姉さんも全て俺が守る!
『俺は、魔物を倒しに行く。ミラは、俺が必ず守る。来るのか?』
「え....告白?」
『冗談言えるなら大丈夫だな。じゃあ、俺は行くから』
「え....待って!すみませんでした!お願い、私も行くから!だから、待って!」
『最初から普通に言えばいいのに』
「影人も言い方が悪いわよ、必ず守るとか....カッコいいし......え?待ってよ!何で置いて行こうとするの?」
『変な事言うからだ。もう、行くぞ』
「別に....冗談じゃ......」
俺は耳は良いからな!小声で言っても聞こえるんだよ!
....まずは、靴に近くの魔物の場所に行く様に命令を......
「また、これを使うのね....。まぁ、いいわ。早く行きましょ」
なんか嫌そうな顔してるけど、気にしない、気にしない。
真っ直ぐ行ってるだけだが....もしかして、逆の入口かな?
....正解でした。
外に出ると1人で戦っている人がいる。
....何で?冒険者達は?
しかも、女の人が......
....やばくね?あの人、魔物を何体も......
しかも、大量の魔物の死体が......
「あの人を、早く助けなきゃ......」
ミラが、一歩踏み出しそうになった所を肩に手を当て、止めた。
「何で?早く......」
わかっているんだ。俺は、助けられるって......
でも、ここで能力を使ったら....
ミラは目隠し出来ても、あの人にいきなり目隠ししたら、あの人は怖いと思うしな......
......あぁ。俺は、思い出した。あの神様が言ってた事は——
『君なら、友達が必ず出来るよ。
貴方は人を見捨てない性格だから——』
....ミラはまだ、友達じゃないけどさ......。俺は、必ず全てを守るって決めたんだ。
怖がられても....何だっていいさ。
「....あれ?影....人?何処に......」
俺は....俺自身を怖がってたんだよ。
この世界に受け入れてもらえない、次元の違う存在だって......
でも、俺は怖がれたとしても......
この能力を....使う!
「何......あ....れ....」
俺は分身を大量に創造し、刀を装備させ、近くの魔物を倒すように、命令した。
透明化で、隠れながらだけど....分身の形で結局わかるか......
透明化が切れても、創造し続ける......
「....ねぇ!もう、終わったから!だから、それやめて!聞いてるの?......影人の大きな大きな聖剣は——」
....おい!俺は......って、終わった?
周りを見たら動かない分身でいっぱいになっていた。命令を終了しても、消えないのか....
......消しとくか。
そして、分身を全て消した。
....オリジナル魔法だよ?って言って信じてくれるかな......
「あの....大丈夫ですか?」
「この人は喋れないので、いつも紙で書いて話をするのよ」
あのな....俺はいつも紙じゃなくて、話をしないんだ。
話しかけられないから......
「そうですか....私の名は月宮黄泉子です。今回の助太刀がなければ、今頃......」
日本人みたいな名前だな。しかも、忍者みたいな格好......
「もしかして、ミナリアの方ですか?」
「そうですよ」
変な話を始めてるが、俺の能力について触れないのか?
....いつまで話してるんだ?
もう、夜だよ?飯食べようよ......
「そういえば、影人、あの魔法は......」
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