1章 異世界でも人と喋れない 〜その18〜
「....そろそろ、手を離してくれないかしら......」
そういえば....ずっと手を引っ張っていたな。
『ごめん、ミラ。ところで、ノスタに行くには、どうすれば良いんだ?』
ん?どうしたんだ?ミラ....赤面してる......
熱か?それはまずいな......
俺は、ミラのおでこに手を当てた。そして、ミラが熱い......
「か....影人?いきなり何してるの?」
『いや、熱があるだろ。お金あげるから宿屋で休んでろ』
「別に、熱なんてないわよ!それに、休んでいる時間なんてないじゃない....」
まぁ、そうだな。あのお母さんがいるし、早く助けなきゃ......
「確か、ノスタに行く方法だっけ?....何でノスタに?」
『ここには、奴隷商がいないみたいだし、ノスタの詳しい人に聞けば何か情報があるかと思って』
流石に奴隷商見つけたから行く、って言うのはやばいので、嘘をついて、行く理由を説明した。
「ノスタは、定期的に来る馬車で行っても数日かかるけど......行く当てもないし、行き先はノスタで決まりだね」
『いや、馬車だと遅い。後で説明するから、とりあえず西口を出たい』
「....どうするか知らないけど、わかったわ」
ミラはそう言って身分証を出し、外へ出た。
やっぱり出る時も身分証いるのか......
あの時のように上を向いている瞬間に入る作戦は無理だな。
ミラがいるからな......
....そうだ!
俺は、見えないようにカラスを一匹ずつ創造し、群れを作り、審査官を襲わせるように命令した。
「おい!何だ!このカラスは、いきなり....誰か!」
ミラはカラスに驚いている....助けてやれよ。
....まぁ、俺が出したんだけど......
よし、誰も見てない事を確認し、透明化を使って、俺は外に出た。
まだ、ミラは驚いているようだったから、肩を叩いた。
「....ひゃ!影人......いつの間にいたのよ....。早く、言いなさいよ!」
何だ?いきなり....まさか、怖かったのか?
『怖かったのか?あのカラス』
「しょ....しょんなことはないわよ......」
いや、めっちゃ足が震えているよね?
「それより!どうやってノスタに行くのよ」
俺は手を後ろに隠して、靴を創造した。そして、ミラに渡した。
「何?この靴。履けと言いたいの?....まぁ、影人に貰ったものだし、いいわよ」
俺があげなかったから履かないのかよ....
まぁ、いいか。これで......
「....履いたけど、そんな事より、ノスタへ....って、何?勝手に....足が動いて......」
『これは、自動歩行靴って言うもので、ノスタにこれで行く』
「....確かに疲れはしないけど、かかる時間は....って、何?だんだん速く......」
まぁ、今日中の夕方までに着くように命令したから、めっちゃ速くなるんだろうな。
「速すぎるわよ!これ....止まらないの?」
『止まらないよ。そんな事より、ミラに色々と聞きたいんだ』
「そんな事よりって....。私も影人が何者かを聞きたいわ......」
そして、俺とミラの情報の教え合いが、ノスタに行く途中に、始まった。
まぁ、俺は何も知らないので、ずっとミナリアで修業してた....と嘘をついたら、信じた....
この靴は、師匠に貰ったと適当に言った......
....という事で、この世界について色々、年下に教えて貰う。
別に、これが恥だなんて思ってないからな!
話を聞いたが、16歳とは思えないほど、わかりやすく説明してくれた。
意外と真面目な所があって、関心したよ......
まずは、街....というか、国についてだ。ここの国はプラインダルという国名で、大きな街が主に5つある。北の街ノスタ、東の街イルスタン、南の街ミナリア、西の街ニリアント、そして、中央の街の王都インダロス。
他にも小さな村などはあるらしいが、それは置いとく。俺のいた森も、色々な森があるうちの1つらしい。今は森とかの話はいいとして......
この国についてまとめると、国王は、信用が1番ある街の人を長とし、後は適当にやってくれ、みたいなノリの感じで、マジで頭おかしい人だと聞いて思った。
....要は、丸投げだよな?国王のくせして何やってるの?....丸投げの結果が、奴隷とかの身分を生み出してる原因だよな、これ。
長も、職のない人とかに仕事与えたりしろよな。
....文明は微妙に進化してないって事だよな。
まぁ、一応異世界だし、しょうがないと今も思っているが、まず言う事は、国王馬鹿だろ。勝手にしていいわけないだろ......
1番上の奴が、何もしないでいいのかよ!
....俺が口出す事なんかじゃないんだろうが、聞いた話だけでも、こんな国は間違ってるってわかるよ....
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