1章 異世界でも人と喋れない 〜その17〜
——小学生の時とは違う!
もう1人でやるんだ、この世界では......
『友達になってくね!』
あ....緊張して、誤字が......
「....ぷっ、あははっ!何で字を間違えて....面白いよ!」
畜生....。黒歴史じゃねぇか......
「....いいよ、友達。助けてくれたら、必ず友達になるわよ」
友達を作る為にここに来たんだ....何だってしてやるよ!
『とりあえず、今日は寝てくれ、俺は何処かで寝——』
......また、紙をくしゃくしゃにされた。
「だから!1人にしないでって何度も....」
『じゃあ、俺は何処で寝るんだよ!ここはダメだ!ベッドが1つしかないからな!』
「....私、小さいし、詰めれば何とか......」
『馬鹿じゃないの?もういい。地面で寝る』
「それはダメ!貴方が風邪を引くかもしれないじゃない....」
何で俺の心配してるんだ?
そんな事、どうでもいいか。影の創造で毛布を出して......
「....え?何それ!黒い布みたいなのをいきなり出してた気が....」
あー、説明が面倒だな....
『後で話す。今日はもう寝る』
「えー、気になって寝れないかも......」
そんな事を言っているミラを御構い無しに俺は眠りについた。
「——しかし、アラン。本当に見つかるのか?このイルスタンの冒険者からあの1人を探すったって......」
「いえ、おそらくですが、元冒険者の方ですね。少なくともこれでだいぶ数が絞られて、探しやすくなるはず......」
「あのなぁ。俺らとあいつら....どれだけ苦労の差があるか....まぁ、いい。早く、終わらせるぞ......」
「ガルさんは疲れているのに、良かったんですかね....」
「——眠い....」
「いや、だから寝てていいって何回も....」
「マーリン、俺は....大丈夫だから......」
「....大丈夫じゃないですよね?ガルさん」
「あぁ、黄泉。俺は......」
「....結局、寝てるし....。無理し過ぎよ?貴方」
「しかし、やばいですね......。増援要請を頼みます、マーリンさん。でも、あと1回でしたね......出来るだけ早くお願いしますよ。1日ぐらいは持ちこたえてみせますが、後は....」
「うん....。無理しないでね」
「....さて、それでは、本気でいきますよ!——」
起きたが......この状況は何だ?
地面で俺は寝ているのはわかるが、何でミラまで、地面で寝ているんだ?
....しかも、隣で。
寝相が悪くてベッドから落ちるなんて、あるわけないだろうし......
「....う〜ん。え....と、おはようございます!貴方」
その呼び方はやめて欲しいな....。でも、名前は....
いや、名前を変えてはいけない。親につけてもらった俺の名前は......
『俺の名前は、薄井影人だ。だから、貴方って呼ぶのをやめてくれ』
言ってしまった....
「え....いきなり名前を教えてくれたって事は......もしかして、結婚!?」
....ん?何か普通に通ってそうな感じだけど....
『俺のような苗字と名前がある人は他にもいるのか?』
「....ん?何を言っているの?影人は、南の街ミナリアの出身じゃなくて?....普通のミナリアの街の人達は、影人みたいな漢字の名前の人が多いって聞くけど....」
え....そうなのか。......やっぱり色々と混ざっている世界なのか?
『そうだよ。ミナリアの人なんだ!それより、何で隣に?』
「影人、覚えてないの......?....酷い」
え....?何で、泣きそうになってるの......?俺、何かしたのか....?
「影人の股間はまるで、あの聖剣のようにそびえ立つ——」
『嘘だよな、絶対嘘だよな。うん、嘘だ。俺はそんな事しない。しないしないしな—-』
「待って、ごめん!冗談だから!私が隣に行きたかったから行っただけだから!だから、ペン止めて!」
....マジで心臓が止まると思ったし、現実逃避しそうになった......
「それもおかしいだろ。なんで隣に来たんだ?」
「........い....な..い」
ん?聞こえない....
『すみません、聞こえなかったんだけど』
「....初めて泊まる場所で、1人でベッドにいるなんて、怖いに決まってるじゃない!」
....また、子供みたいな....いや、子供だったわ。
『まぁ、そんな事はどうでもいいんだ。昨日のパン食べて....準備したらすぐに行くぞ』
「そんな事って....というか、行くって何処に?」
『行けばわかる——』
....え?臨時休業中......?マジか......
「....まさか、マーリンさんに情報を貰いたかったとか?」
『いや、違う。飯を出してくれたんだ。ちゃんとお礼をしたかったんだけど、いないから、また後で来るか』
「....そういう優しい所が好きなんだよ....」
『俺は、別に優しくなんか——』
おい、またくしゃくしゃにして......
「私の独り言を聞くな!馬鹿!」
俺は、え?なんか言った?って言う主人公になる気はないんでね!
聞こえなかったら、ちゃんと聞き返す。そういう人間なのさ。
「奴隷商とか詳しい人なら、学校の友達にいるかも....けど、悪魔が学校に連絡してそうだし....」
いい加減、母親を悪魔って言うのをやめて欲しいな。
そして、奴隷商に詳しい友達って何だよ......
「....それより、どうするの?情報は......」
そうだな....ん?合図があったな......
俺は朝の時に、カラスを創造し、ミラのお姉さんを奴隷にした奴隷商を見つけたら、合図するようにと、操作出来た。
これは、操作というよりも、創造したものに命令をした。朝、命令や創造したものを編集したりできる事に気づいた。
創造したものを、また別の形にしたいと想像し、集中すると、柔らかくしたり、伸ばしたり、色々出来た。大きさはやっぱり制限があって、大きくし過ぎると、途中で創造したものが消えてしまった。
....まぁ、同時に創造出来なくても、命令が出来てしまった事に俺は、もう最強じゃね?と思ってしまった。命令は、奴隷商を探してくれ!いたら合図を!って冗談半分で朝やってみたら、本当に出来たし。
それに、編集が出来るなら怪我しないで、服で守れるな。
....そうだ、後で手袋をミラにバレないように作ろう。そしたら、顔を狙ってきた敵に手で顔を隠し、編集で何とかできるな。
強過ぎて、俺の能力がバレたら本当にやばいかも....。もうミラにバレてるが、気をつけて使おう......
まぁ、そんな事はどうでもよく、合図があった....。これは、北の街ノスタのある方に行ったやつの合図だな......
よし、ノスタへ行こう。
ん?引っ張って....何だ?ミル....,.
「....は、早く......。悪魔がいる....」
俺は、誰の事を言っているのかが、すぐにわかった。
....酒に酔って変な歩き方をしているあの人だな......
ミラは足が震えていた。
俺は、ミラの手を引っ張って、西口へと向かった。
「あっ....。ちょっと!」
....着いたな。また....疲れたと言いたいところだが、今回は靴に命令を行い、自動で歩いて行けたのさ!
いや、ズルイな。まぁ、今回はしょうがないという事で許して。
もちろん入国審査官みたいなのがいるが、よく考えたら街じゃん。
入国じゃなくて、街に入るだけで、審査があるとはね......
まずは、この世界について色々知る必要があるな......
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