プロローグ 〜その3〜

「俺は......行くよ。友達を作りに」


この世界では友達がいなかったけど、異世界では絶対に作る!


そして、俺を変える!


『そうか、では——』


「待ってくれ、一つだけやらなきゃいけないことがあるんだ」


『時間を過ぎたらダメだ。そうだな....あと10分だけ時間をやる』


「わかった。それで十分だ」


俺はすぐにペンと紙を取り出し、書き始めた。


『手紙じゃなくて、言葉で伝えたらどうだ?』


「父さんは疲れてるし....俺がこんな事言える度胸ないってわかってるだろ?」


『....そうだな』


父さんと会うのを拒んだ。なぜなら、俺は......


『字を書くの、速いんだな』


「どうでもいいだろ、そんな事。それにもう書き終わったぞ」


『そうだな。では、目を閉じてこの本の魔法陣に右手を』


俺は手紙を机に置いて、目を閉じ、右手をかざした。


まぁ、無理だろうと思うが、スマホと充電器とバッテリーをバッグの中に入れ、左手に持った。


よくわからん呪文を本が唱えているが理解出来ない。


「......あれ?ねむ....い......」


急に眠くなってきて、力が入らず、倒れてしまった。


うご....けな....い......


『君なら——』


本は最後に何か言っていた気がしたが、よく覚えていない。






「影人ー!ねぼ....う......し......」


部屋には手紙が机に置かれているだけだった。


手紙に書かれているのは......


『母さんへ


旅に出ます。こんな馬鹿でごめんなさい。いつも迷惑をかけてごめんなさい。あの時に謝れなくてごめんなさい。






でも、母さんの元に生まれてくることができて良かったです。生んでくれてありがとう。


影人』


そして、もう一つ手紙が置いてあった。

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