プロローグ 〜その2〜

なんだ?本が喋ってる?


......いや、そんな事あるわけない。


俺は疲れてるのかな?


....聞き間違えだ。よし、寝よう。


『おい、聞こえなかった風に寝たふりするのをやめろ』


やっぱり、ダミ声の女の人の声が聞こえる。


......幻聴だ。そうに違いない。


違いないけど....少し怖いな。


『いや、聞こえているだろ?』


俺の考えている事がわかるのか?


「色々と、聞きたいことがあるんだが」


『質問か......仕方ない。少しなら答えてやろう』


「....なんで上から目線なの?歳上?」


『まぁ、そうだな......。私は18歳だ』


どうせ嘘だろうが、歳上ということは敬語を使った方がいいのだろうか。


....まぁ、使わないけど。


『いや、18歳だよ?本当だよ、本当だか——』


「で、何の用だ?」


『何故、本が喋っているのか、とか聞かないのか?』


俺は、何故18歳だと言って年齢を偽る必要があるのかの方が聞きたいが。


『いや、だから18歳だと何度も言っているだろう』


「......やっぱり。俺の考えている事が分かるのか?」


『......全てを知ってるぞ?君は影が薄くて、友達が——いや待ってくれ、窓を開けて捨てようとするな』


「......話してくれ。なんか、事情があるんだろ?」






とりあえず簡単にまとめると、神様の分身に会うような運命があるらしい。


その運命は神様の分身が本やら何やらに擬態しているものが特定の人に見つかるようになっているらしい。


そして、その特定の人は異世界へ行く機会を神様の分身から与えてくれるということらしいが....何故、異世界へ行く機会を与えてくれるのかを教えてくれない。


しかも、その異世界の事を聞いてもあまり教えてくれない。というか知らないらしい。


この本の声は、この地球の神様の分身の声で、地球の神様と異世界の神様はまた別にあるので、異世界の知識はないということだ。


異世界での言語は日本語に設定してくれているらしいが、問題はそんなことじゃない。


魔法があったりする世界だということだ。


最初は信じられなかったが、本が喋っているという事実があるわけで、本当の事を言ってそうだと思ってしまう。


『そして君は、魔法を覚えられない代わりに特殊な能力を特別に覚えられるが......趣味、特技を元に作るのが基本なんだが、漫画やラノベ、アニメ、ゲームから元に作られる能力なんて....』


「特別とか意味がわからない....。普通に魔法とか覚えさせろよ。そして、悪かったな!趣味がオタクみたいで....いや!オタクじゃない!って、俺は魔法が使いた——」


『そうだ!影の薄い君には、《影の創造》と《透明化》なんて能力はどうかな?』


「おい!喧嘩売ってんのか?いくらなんでも透明な程、影が薄いってわけじゃねぇよ!それに、影の創造って......ん?二つくれるのか?」


『まぁ、君は友達がいないし、可哀想と思って、私の慈悲で二つあげようとしているのだが——窓を開けるのをやめてくれないか?』


「次、俺を馬鹿にするような事を言ったら投げるからな!」


『落ち着け、あまり時間がない。どうする?強制じゃないが、明日になったら異世界へは行けないようにこの本には設定してあるが....』


時計の針を見ると23:30を指していた。


「あと30分!?え....と......この世界には帰れるのか?」


『詳しくは知らないが、一応方法はあるらしいぞ』


何があるらしいだ。神が多分とからしいとか言いやがって。全てを知っているんじゃなかったのかよ。


『まぁね。この世界の事なら何でもわかるが、君が行く異世界は違う神との会議でしか話を聞かないんだよ』


「考えている事を....って、時間やばいから......」


『決めたか?』


「あぁ、決めたよ」

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