第14話 レアの近接戦闘


 もう、早く来なさいよ 私のボディーガードでしょ 私に何かあったら給料カットだからね・・・


 茂みが揺れる・・・風の悪戯にホッとする


 枯れ葉を踏む音がした。


 何か来る・・・レア?ぷぷ?


 レアの背丈より高い位置の茂みを掻き分けて現れたのは、馬ほどあるロックウルフのリーダー『サム』だった


  ☆


 へぇ コイツら結構やる


 ロックウルフ達は、木の影にかくれて射線を外してくる。

 ただ隠れてるだけじゃなく、背後側面から一瞬の隙を突いてくるので、なかなか前に進めない。


 時間稼ぎの隠れんぼに付き合ってる場合じゃない 右手に持っている『アックス』をアレッサに返す。


 「アレッサ、近接戦闘 刀を出して」


 『近接戦闘用 刀『雷』』


 レアの右手に刀が装備された。


 ロックウルフ達は銃が無くなるのを確認すると、作戦を変更したのか、木の影から出て一斉に襲い掛かって来た。


 「ぷぷ ほんの少し、力を解放するよ」


 「少しって言わずに、全開解放でも良いんだよ ぷぷ」


 刀の露を払うと、襲ってきた最初の一匹を一振りで両断する レアの瞳がうっすら赤みを増し 次の瞬間、レアの姿が、パッと一瞬だけその場から消えた。瞬きをしていたら消えた事にすら気付けないくらいの、刹那だった。一斉に襲い掛かった20匹が切られた事に気付くのは、数秒後。辺りには真っ二つに切り裂かれたロックウルフの体が、ヒクヒクと切られたことが理解できずに動いていた。


 仲間の血に濡れた赤い瞳の少年


 残り数匹のロックウルフ達は戦意を喪失し、一目散に逃走した。


 「あらら、逃げちゃったね まだまだこれからなのにね ぷぷッ!」


 「時間掛けすぎちゃったよ、急ごう!」


 ☆


 ゆっくりと近づくサム


 目の前には久しぶりの若く瑞々しい雌の人間、興奮が押さえられない


 何処から食いちぎろう、首?腕?太股?やはり・・・一番柔らかい腹からにしよう。


 恐怖から抵抗することも出来ず固まるセナのお腹に、サムの牙が当たる


 まさに、食い潰されそうになる瞬間、サムの牙の動きが止まった。


 後ろを振り返るサム、その先をじっと見つめる。


 もう一度、セナに振り返ると、悔しそうな顔をしてその場を立ち去った。


 レアが気絶したセナを見付けたのは、その数秒後だった。


 

 


 


 

 

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