第12話 出逢いは最悪
「ねぇ、ぷぷ 怒られると思う?」
「怒られるね、やばいよ トイレ掃除3日とか? 肩叩き2時間とか?」
それくらいなら・・良いかな
深く深呼吸して扉を開けた。
呼び鈴が小さく鳴る。
「戻りました・・」
扉を開けると右手のロビーにバネットさんと、知らない女の子がソファーに座ってボクに視線を向けた。
「来たね、こっちにおいで」
なんの話だろう、この間ぷぷが破ったシーツのことかな それともぷぷがこの女の子を苛めたとか まさかぷぷが宿の食材をこっそり食べちゃったのがバレたのかな それとも・・心当たりが沢山有りすぎてどれか分からない。こうなったら、先手必勝
「ご、ごめんなさい 後でキチンと弁償しますので」
今回の豚猫の報酬でなんとかなるかなぁ
「はぁ? 何言ってんだい」
「え?ぷぷが盗み食いした食材の事じゃ?」
困った顔をするバネット。
「じゃぁ、ぷぷが破いたシーツのことですか?」
「だから 何言ってんだいレア、私はあんたに会わせたい娘がいるって言ったろ」
え?え?違った!先手大失敗じゃん とほほ。
「レア 聞いてるかい?」
「あ、はい!」
「全く、あんたはそうやって少しボケッとしてるとこが良い仕事が来ない原因なんだよ、いいかい男ってのは」
「あの、、女将さん」
「あ、ごめんよ 歳を取ると説教も長くなっちまってね、レアそこに座りな」
「はい」
綺麗な女の子だなぁ 同い年位かな、この村の娘じゃないよね、見たことないし バネットさんのお孫さん?気が強そうだし ちょっと苦手かも
「はじめまして、ロゼ・エンドレス・セナと言います」
うはぁ 貴族っぽい名前 お金持ちなのかな、凄いな、良いなぁ あれ? どこかで聞いた名前があったような
「はじめまして、レアと言います」
うッ!凄い睨まれてる、なんで?怖いよぉ
「子供じゃないですか、女将さんは凄い人を紹介してくれるって」
「ああ、そうさ 最強の少年兵」
「か、からかわないで下さい」
「からかう?」
あのぉ なんの話か全然分からないんですが、なんて言えるタイミングが見つかりません
「だって 体なんて枝みたいに細くって、オドオドしてて、髪の毛は水色で長くて女の子みたいだし とても女将さんがおっしゃっている様な凄い人に見えません」
バネットさんは立ち上がると窓から外を見た。雨でも降るのかな?
「さっきこの村を襲って来たガリア連邦軍を倒したのは、私の仲間だって言ったのは覚えてるかい?」
「はい、ご迷惑おかけしてすいません ですから! 私は女将さんのお仲間の方を紹介してくださると思っていたんです」
「その私の自慢の精鋭部隊を倒しちまったのが、そこにいるレアなのさ」
勘違いなんです! ごめんなさい、ごめんなさい。
「そんなの信じられない、小娘だからってからかうなら、もう結構です!失礼します」
え?帰るの?なんだかよく分からないけど困ってたのかな?
彼女が扉を開けようとした時、玄関の呼び鈴が優しく鳴った。
入ってきたのは、狙撃銃を担いだマキさんだった。
「特佐が、バネットさんが言っている事はホントだよ 私は特佐の部下だから」
彼女は向きを変えると、ソファーに座り直した。
ヒィ さっきより睨まれ方が怖い、なんの話だろう早く終わってくれないかな お腹空いたなぁ 回収業者さん豚猫の回収してくれたかなぁ
「レア! 聞いてるのかい?」
「は、はい!」
「またボケッとして、仕事の依頼の話だよ」
「仕事の依頼!?」
「まだ納得した訳じゃありませんので、試用期間付でお願いします」
ちょっと待って、どんな依頼かも、まだ受けるとも言ってませんが
「あの・・仕事の内容を教えて下さい」
「言ってなかったかい?彼女の護衛が仕事だよ」
ええええええええええええええッ!
無理無理無理無理無理無理無理無理無理
「シーツ、盗み食い、あ、それとね あんたが頼んだ豚猫の回収業者、豚猫を回収してトンズラしたって連絡あったよ」
ぎゃああああああああああ
「借金は建て替えといたからね、3000ログだ 今すぐ即金で払えないなら、今回の仕事受けてもらうよ」
また借金生活に逆戻りだよ。とほほ
「ひ、引き受けさせて下さい」
彼女は、腕組みをして不機嫌そうにレアを睨み付けた。
「使えなかったら即クビよ、クビ!分かった?」
「よ、よろしくお願いします」
分かりましたから・・・指差さないで下さい
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