第11話 青い瞳と水色の髪をした少年


 「やぁ 危なかったね ごめんね、レアが迷惑かけちゃって、ボクがいないとこうなっちゃうんだよね、アレッサは堅物で融通がきかないし レアは甘ったれの子供だから、え?お礼?良いよ良いよ、でも、まぁそんなに言うなら ロロの所の特大アイスクリームで良いよ ぷぷっ」


 なに?これ?レア?アレッサ? アイスクリーム!?


 「どうしたの?お腹でも痛い?アイスクリーム食べ過ぎじゃない?大丈夫?」


 

 「あっ!やっぱりぷぷッ!」


 上空を見上げた。


 ーーーーーーッ!?青い瞳と水色の髪の少年


 拳銃を抜き取り引き金を引く。


 パンッ!パンッ!パンッ!


 カン カン カン


 『シールド展開 シールド損傷率0.02』


 「待って!待って!レアは、勘違いしてただけなんだよ撃たないで」


 変な生き物は、短い両腕をいっぱいに広げ、私の前に立ちはだかる。


 ちッ! あいつが佐治とボブを殺った。刺し違えてでも倒す


 「ちょ、ちょっと待ってください って全然 聞いてくれない! ぷぷッ!何とかして」 


 「もう 仕方ないなぁ ほいっ!」


 か、体が、動かない 


 「ごめんね、ちょっと大人しくしてね あっ!トイレ行きたくなったら言ってね 動けるようにするからさ」


 コイツらふざけてるのか


 「お前ら許さない、絶対殺してやる」


 佐治とボブの仇だ


 「ごめんなさい、ごめんなさい、色々勘違いしてたみたいで、キミの友達を撃ったこともごめんなさい 今すぐアレッサに治療してもらうから、アレッサお願い」


 『了解 損傷箇所は肩、損傷率30%完治まで2時間 損傷箇所は胸、肩、足、腕 損傷率65%完治まで6時間です』


 「ボクは治療が苦手でね、アレッサのが得意なんだ ぷぷッ」


 治療?完治だと!?佐治のキズはガリアの先進医療でも1ヶ月 ボブなんかは6ヶ月はかかるし、治っても後遺症は残るぐらいのダメージがあるはず それを2時間?6時間で完治するの?本当に?


 佐治とボブの体が青白光に包まれ、彼らに精気が戻っていくのが分かった。


 傷口が塞がっていく、なんなの?あの光は・・治療魔法じゃない

 

 「敵である私達を何故、治療する?お前らは何者、ガリア連邦軍なの?」


 もう抵抗をするのもバカらしくなった、何もかも格が違いすぎる。


 「ボクはただの旅人です、この村にお世話になってて、さっきまで豚猫の狩に行ってたんですが、この村が教われたって情報が入ったので、急いで駆け付けたらあなた達が村に居たから、襲った人達と勘違いして、本当にごめんなさい」


 なるほど、そう言うことか、この少年が駆け付ける前に私達がガリア連邦軍を倒してしまった。そこに駆け付けた少年は、武装した私達をこの村を襲ったガリア連邦軍と間違えた訳か。

 てっことは、私達が戦わなくても、どのみちガリア連邦軍はこの化け物の少年に、あっという間に倒されていたんだな。


 「分かったわから、とりあえず体を自由にして」


 「あ、トイレ?本当にお腹痛いんだね、早く行ってきな」


 「違うから! さっきからあなた、何ッ! キツネ!?ネコ!?ウサギ!?」


 「ああ、ぷぷ?ぷぷはね、今はこんな姿だけど、魔十王の一匹『エンドレス・ファリネス』だよ」



 子供の頃、おばあちゃんに読んでもらった絵本に出てくる魔獣の一匹、世界を1日で破壊してしまったその話を聞いたワタシは、その夜は怖くて眠れなかったことをよく覚えている。


 その絵本でエンドレス・ファリネスは名前だけが載っているだけで、謎の多い魔獣だった。



 「あははははは、キミが化け物級に凄いのは分かったわけど、そのウソは笑えるわね」


 「そ、そうだよね 笑っちゃいますね もうぷぷったら何言ってるのさ、あはははは」


 その生き物は笑っている二人を見て、頬を小さく膨らませ不機嫌になる。


 「分かったわ、キミに撃たれた2人も治るみたいだし、今回のことは帳消しにするわ ところで、私の名前はマキ、キミ達の名前を教えて」


 「ボクはレア、こっちがぷぷ、あれがアレッサです」


 「じゃぁレアに会わせたい人がいるの私達の上官、バネット特佐に会ってくれる?」


 あれ?何だか露骨に苦手ですオーラが出てるわね。軍人とか苦手なタイプなのかしら?とりあえず連絡っと


 「特佐 全部終わりました、最後にイレギュラーがあり佐治とボブが負傷しましたが、現在治療中で両名とも明日には完治する見込みです」


 『了解した、マキご苦労様  それと・・・・レアがそこにいるね、代わりな』


 「え! 特佐!? 何で? 彼と知り合いだったんですか!?」


 『フンッ 知り合い?何言ってんだい! レアはうちの宿に泊まっているお客だよ 良いから早く代わりな』


 無線機を渡そうとするが、レアは頭を高速で横に振る。


 「特佐・・・出たくないみたいですが」


 『レアッ!サンドイッチ食べたね 出ないならサンドイッチ代100ログ 請求しても良いんだよ』


 「ハイッ! レアです! 」


 『あんたに会わせたい娘がいる、宿においで』


 「会わせたい人?宿ですね、分かりました」


 レアは私に一礼すると、宿へ飛んでいった。


 

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