第2話 探し物が分かりません


 空に向けて救援信号弾が上がった。


 「アレッサ!距離ッ」


 『目標まで1023m、北西に速度20キロで移動中、その先に武装した1個小隊が展開しています』


 追い込まれてる、急がなきゃ。


 ハロー、展開が急で目が回ってきたよ。君もだよね。あのヘリは何を追ってるのかな?晩御飯のおかずかな?それとも恋人ッ!きゃああああ! 殺したいほど好きなのね! もう激熱だね! 燃え萌えだね! え? 字が違う? こっちのが可愛くない?おっと、君のせいで話が逸れたね。あのヘリが追っているのは、この国のお姫様だよ。ぷぷッ! 秘密だから誰にも言っちゃダメだよ。ぷぷぷッ!


 「通常弾! 出力0.1% 目標バロッサテール・ローター、走行間射撃、サポートよろしく」


 『了解、捕捉しました、目標までの距離、振動、抵抗、風速全て調整しました』


 テールローターに照準をセット、引き金を引いた。


 『ヒット バロッサ姿勢制御不可、不時着します』


 「よし次弾装填! 黄色信号弾」


 空に向けって発射した弾は、上空で弾けると黄色に輝いた。


 それに応えるように、上空で青の信号弾があがった。


 「気付いてくれた!」

 「アレッサ、軍に位置情報を送ってあげて」


 『既に送信ずみです、救援部隊到着まで3分』


 「網を張っていた部隊は?」

 『バロッサ墜落後、撤退しています、周囲5キロ圏内異常なし』


 望遠鏡を取り出すと、信号弾が上がった場所を確認した。


 「良かった、車は少し壊れちゃったみたいだけど、乗っていた人は軽症だね、もう大丈夫かな、お腹もペコペコだし、帰ろうアレッサ」


 『3日と7時間28分です』


 「もうっ! 忘れてたのに! わざとでしょ!」

 『・・・・』

 「逃げたなッ! コラ! 待てえええ!」


         ☆

 お姫様は夢を見ました。


 そこは暗い洞窟


 何かを探していました


 それが何かは分かりません


 でも、探し続けました


 この石かな?あの石かもッ! 


 ・・・違う


 見つけないと 見つけなきゃ 急がないと 早くッ!


 ・・・お姫様は一生懸命探しましたが、見つかりません


 とうとう 泣き出してしまいました


 見つけなきゃ ・・・見つけなきゃいけないのに どこにあるの・・・


 ぷぷッ


 泣いてるのかい?お腹でも減った?分かった! 歯が痛いんだね 歯みがき大切だよ じゃあボクはこっちだから!バイバ~イ え?まだ何か用?探しもの?みつからない?だから泣いていたんだね でもさ、見つかるはずないよ え?何で? ぷぷッ だってここは・・・ 夢の中だからね。 ぷぷッ


 夢?


 見つからない?


 私はなんで探してるの?


 分からない 分からない・・・


 あなた誰? 分からない


 分からないなら探してみなよ 運が良ければ見つかるかもね ぷぷッ!


       ☆


 「た、大変だあああああ!姫様がいないぞおおおおおお!」


 病院では救助された姫様がいなくなって大騒ぎだった。


 そのころセナは病院を抜け出し、行き先など見ずに近くに止まっていたバスに飛び乗った。


 私は運がいいの!絶対に見つけられる。


 ・・・何か分からないけど


 まぁ、なんとかなるさぁ!


 



    


 


 

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