2020/04/29 22:08/鷦鷯飛蝗

浮き城が崩れて、落剝する命はただ経過をそう呼び做しただけのもの

雲の上、雨の無い空を漂う城に

暖かさなんて求めるのが間違っている

空と宇宙の狭間を征く、孤独を瞬いて

未開の厚載掻き分けて、凪同然の継続を往く

区切りを持たない連続が概念を溶かして

知覚変動が存在の変容を強いるとき

生じた無理が浮き城の垣を崩す


雪代が零れて、落魄する命はただ経過をそう呼び做しただけのもの

苦悩の末、屋根も無い大山を寝床とする日々に

暖かさなんて求めるのが間違っている

人と獣の狭間に逝く、孤独を瞬いて

意味を最早捉えかねるこの虹彩を掻き分けて

強いられるというにはあまりにも自然に

託されたリズムがこの身を整えていく


隙間の限られた値から弾き出されて

ベクトルの向きだけが異なっていた

訪なう影の似姿たちも杳として知れない

孤独と呼ぶには前提となる群衆を欠く

茫漠をこそ間隙と見る間隙の住人には

決して視得ない仮託の節目

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