2019/09/23 7:07/鷦鷯飛蝗

さっさと帰りな、あたしみたいに

帰れなくなってしまう前に

そう言った姐さんに

あんたはここに帰れるだろうと

返してしまった自分を恥じた

あたしゃここから出られない

帰るためには出なきゃいけない

出るのが怖いだけだろう

思ってしまった自分を恥じた

なるほどこいつは帰れない

膨れ上がった鉤爪を撫でる

もう二度とどこにも帰れない

姐さんにも会わなくていい

荒ぶ砂塵の遠くへ征こう

還らなくて良いところへ逝こう

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る