2019/09/02 20:37/鷦鷯飛蝗

陽炎の塔

苔むした屍

ひりつく日射しは途切れて

暗がりにカメムシ

背中の顔が俺を睨む

癪で踏みつぶした靴底に

消えない罪状がこびり付く

わかっていて降ろした足だ

石畳を磨くように歩く

わかっていても少しは紛れさせたくて


暮れさせて歩く

蒸発する水分もない砂地を撫でる

靴に入り込んで踵を穿つ

触れば崩れる岩を抱く

服の隙間に入り込む残骸を纏う

進めば零れ落ち、或いは深みに潜るそれを意識しないで動く

気にしないくらいでいい

気付けば染みつき鎧となっている

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る