2019/08/13 17:18/鷦鷯飛蝗

諦念の海を

打ち寄せてくる砂丘の屋根を見下ろす

浜辺を欠き換えて

死のを攫う砂たちを

夜霧に煙る午前二時

昇降する棺は夜陰を映じてくら

霧雨の結ぶローブは重い

二つの棺が上下へすれ違う度

骨肉相喰む亡霊は

愁眉拓いて怒号を投げる


誰もが今は亡きかれに再会える時代

そのための棺として製造つくられた遺骸

ただ二人、救われなかった肉体

魂だけが棺を動かして

中身を天獄へ送る

打ち捨てられた彼らの野は

そのたび彼らの借噐しゃっきで埋め尽くされて

腐らないからだの骨組みに

泣き叫ぶだけ

幾千万の思いのために軋む身の

溶けきれなさに荒んで

滑車は果てる

波間に潜る

違和場が遺る

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