2019/07/31 23:59/鷦鷯飛蝗

ぬるい呼吸を塗りたくったきみの

頬の滑らかさを思う

冷え切ったゆびさきの切なさを撫でる

いたらないぼくの口癖を詰る

そうやって赦されたがっていたぼくを

ゆるしてくれるきみはもういない


きみのとなりはもう空いていない

ただ埋め尽くすものが

きみのとっておいてくれた場所を

塞いでしまっていて

なんぴとたりとも割り込むことを

許してくれない


何歩遅かったことか数えようがない

悔やむ意味だってどこにもない

今こんなことを考えていることだって無意味だし

独りなのに湧いてくるこの熱も無意味だ


届かない便りを書くのは自分に届けるため

思うだけじゃ沈んでいかない澱を鎮めるため

無駄じゃないんだって言い聞かせて

マイナスをゼロまで持っていこうとする


溺れないように蹴る水には手応えが無くて

結局深く引きずり込まれるだけだ

どうせ息だってできるのだからと

黙って墜ちていくのも身軽だ

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