2019/07/31 2:35/鷦鷯飛蝗

蜘蛛(雲)の巣があるだろう

そら、そこに、見えるだろう

両端が見えない糸と意図で紡がれた

網(罔)がそこらにあるだろう


その端はね

蜘蛛の巣に繋がっているんだよ

糸と意図に懸架された糸が罔で

繋がりに繋がれた繋がりが浮いてるんだよ

浮いてるのではなくて

しっかりとそこに結わえてあるのだ

結わえさせられてあるのだ

確かにそこに


よぅく見てごらん

その意図が結ばれた糸たちの端々を

それだって罔に繋がっている

端なんてものは無いのかもしれないね


線は点の集合と言うけれど

この網には点を繋ぐ線しかなくて

線をどんなに拡大しても点にはならないらしい

雲は解けない

そのうちに融けていく


いかな糧も絡み取れなくなった

クラウドのミイラが

燃えもせず萎びていくんだよ

それしかないんだ

どの蜘蛛もわかっているくせに

どの蜘蛛もみることのできない未来

蜘蛛の罔球の真ん中で

結節点の蜘蛛と雲を

糸と意図の網を

吸い込み続ける大蜘蛛がいる

蜘蛛じゃない蜘蛛の王


僕たちが食われるのだって死んだ後のこと

荒めないまま結節点の役割を担え

わかれないまま朽ち朽ちて逝け

命じられるがまま欠いてひれ伏せ

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