2019/07/24 23:41/鷦鷯飛蝗

斜陽、蝶の影が舞う

きみのかかとみたいに

かかとだけが舞う

忘れないように


二度と脚は舞わない

その影だけ対に

代わりに、とでも言いたげに

蝶の影が舞う


車椅子はもういらない

空回る車輪

主も無く錆逝く


時代はぐれのバンガロー

ほら日向に蝶の影が舞う

蝶も日向に居て、そうでなくては影があれない

はずなのに蝶は日陰に居る

日陰で舞う蝶の影を観る


きみのかかとが鳴る

響かない虚に鳴る

吸音室の雷鳴みたいに

聞こえるわけも無い音

矢鱈に響く

きみのうたごえみたいに


手拍子する僕ももういない

朽ちたバンガローで蝶が舞う

日陰で影絵の舞いを舞う

かかとでみえない愛を舞う

うちつけたそのきみの

やわらかなくるぶしの

音が鳴る

何も鳴りはしない


誰も聴けやしない

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