2019/07/23 22:55/鷦鷯飛蝗

世界を呪えるくらい荒み切った喉から

君を讃える愛のことばは出てこない

雑踏を捉えるくらい腫れあがった喉から

意味の剥がれる錆のことばは出てこない


草の根蔓延る化外の娘

嘲笑う、「代弁とはいい響きだね」と

クソッタレの謂いであって、地獄、都会の夜を幻視

ネオンなどありはしない、窓の外は田舎


平穏無事と、言祝ごうとも戸外はぬさの雨、耐えがたくて

喧噪とは無縁だとて神の渋滞に悩まされたりする

細道を食い破る土俵際

森然、コの字型、劇場状の視界

唄うのは瀕死の蛙、窓に張り付いて

室内だけはいつでも煌々

怠惰が齎す先送りが皓皓


咳き込む喉も大袈裟に吐血してはくれず

中途半端の華厳が盛る

ほら、どうにもならない、ずぶずぶに腐りもしない

ほら、顔向けできない、いまだにそんなこと考える

扇風機の首振りに赤子の時分を思い出させられる

覚えてもいないことを思い出させられる


全部湿気のせいだって忘れさせてくれ

寝て起きたらってやることばかりだ

明日を見ないで生きる赦しをくれよ

今日だけに生きる自由をくれよ

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