2019/07/21 15:49/鷦鷯飛蝗

無音が無意味で

ただ意識を断っている

雑音が無慈悲で

ただドリルで削っている


嘘をつけ、空の向こうで

解けない風は澱んでいる


耳を澄ませ、海の向こうで

流れない潮は凝っている


直接的にスライドする雲が

大袈裟に見えるのは

ただただ自分がちっぽけなだけだ

やらなくちゃいけないことなんてない

どうして僕らが

地面にへばり付いた瘤に隠れて

世界に蒸し出されていなくちゃならないんだ


こうやってぐずついているとほら

世界が彩度を上げて

雲が複雑性をひけらかして

捨てたもんじゃないって

思わせようとしてくる


その度もっと踊ってみせてと

傲慢な欲張りで不貞腐れてしまうのだ


空が三次元的に混濁していく、降りしきらない雨を予感させて

視界奥、薄い林が蠢いて左右に伸びていく

全部隠していく、面積だけ増して

返して

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る